医療・介護施設での転倒事故防止や安全確保に欠かせない離床センサー。その種類や特徴は施設の規模や用途によって様々です。
本記事では、離床センサーの基本的な機能から、導入のメリット・デメリット、代表的な種類、選び方のポイントまでを詳しく解説します。現場のニーズに合った最適な離床センサーを選ぶ際の参考にしていただけます。
離床センサーは、主に医療機関や介護施設で使用される、ベッドからの呼吸、心拍、体動、離床、転倒などを検知する機器です。患者や入居者の安全を確保し、転倒や転落などの事故を予防するために設計されています。
介護や医療の現場で欠かせない機器になっており、適切な種類を選択し、効果的に活用することで、より質の高いケアを提供することが可能です。
離床センサーのメリットについては、以下の点が挙げられます。
離床センサーは、利用者の動きを早期に感知するシステムです。ベッドから起き上がる、端座位になる、立ち上がるなどの動作を事前に検知し、介護スタッフへ速やかに通知します。素早い対応で転倒や転落事故を防止できるため、利用者の安全確保に大きく貢献します。
夜間の見守りが特に手薄になりがちな時間帯でも、確実な事故防止が可能です。
認知症の方は、昼夜を問わず突発的な徘徊行動をとる可能性があります。離床センサーは利用者の離床を即座に検知し、スタッフに通知を送ります。早期発見と迅速な対応で、徘徊による事故や行方不明のリスクを最小限に抑えることが可能です。
利用者とその家族の安心感を高める重要なツールとなっています。
離床センサーは、24時間体制での見守りを可能にします。リアルタイムでの状況把握により、必要な時に必要な介助を提供できます。定期的な見回りの回数を適切に調整でき、スタッフの労力を効果的に配分することが可能です。
限られた人員での質の高いケアの実現につながります。
離床センサーのデータは、利用者の生活リズムや行動傾向を客観的に記録します。蓄積されたデータから、各利用者の生活パターンや要介助のタイミングを分析。個別性の高いケアプランの立案や、効果的なリスク管理体制の構築が実現できます。
科学的根拠に基づく質の高い介護サービスの提供が可能になります。
一方、離床センサーの導入には以下のような注意点を考慮する必要があります。
離床センサーは職員の通過や利用者の寝返りなどで誤って反応することがあり、そのたびに職員は確認のために訪室しなければいけません。誤報による不要な訪室は職員の業務負担を大きく増加させ、本来必要な介護業務に支障をきたす可能性もあるため注意が必要です。
特に夜間帯は限られた人員体制であるため、誤報への対応は大きな負担となります。
センサーマットやコードによる段差は新たな転倒リスクを生む要因となります。利用者や職員がつまずく危険性があるだけでなく、利用者がセンサーの位置を認識し、意図的に避けようとして降りる行動も見られます。
むしろ危険な行動を誘発し、通常以上の転倒リスクが生じる場合があります。
有線タイプのセンサーでは、日常的な使用による物理的な負荷で断線するケースが少なくありません。また、介助後のスイッチの入れ忘れは深刻な事故につながる可能性があります。
機器の不具合や人為的なミスにより、肝心な場面で正常に作動しないリスクが常に存在します。
これらのデメリットを認識し、適切な対策を講じることが重要です。例えば、無線タイプの採用やスイッチ確認の徹底、センサーの適切な配置などが対策として挙げられます。また、利用者の状態や環境に応じて、最適なセンサーの種類を選択することも重要です。
離床センサーには様々な種類があり、それぞれ異なる特徴と用途があります。以下に代表的な種類を紹介します。
ベッドマットレスの上に設置するパッド型のセンサーです。利用者が寝返りを打ったり、起き上がったりする際の圧力変化を正確に検知し、ナースコールへ連動します。マットレス上に直接設置するため利用者の違和感が少なく、また防水加工により衛生面でも安心して使用できます。
枕の下に敷いて使用するタイプのセンサーです。頭部が枕から離れた瞬間を感知し、早期に離床の予兆を把握できます。特に脳梗塞後の安静が必要な方や、手術後で動作制限のある利用者の見守りに適しています。センサー自体が薄型で寝心地を損なわない設計となっています。
利用者の衣服にクリップを装着して使用するタイプです。起き上がりや歩行開始による一定の動きでクリップが外れ、即座に通知されます。装着が簡単で確実な検知が可能です。寝たきりの方の急な離床行動も見逃しません。
ベッド柵や手すりに設置して使用するセンサーです。利用者が立ち上がる際の動作を確実に捉えられます。特に筋力低下や平衡感覚の低下がある方の転倒予防に効果的です。握る・つかむなどの動作で反応するため、誤報が少ないという特徴があります。
床に直接敷いて使用するタイプのセンサーです。利用者の体重による荷重を検知して即座に通知します。ベッドの周辺や部屋の出入り口など、設置場所を柔軟に選べる利点があります。薄型で躓きにくい設計で、防水性能も備えています。
非接触で動きを検知できる最新型のセンサーです。赤外線や超音波により、広範囲の動作を正確に捉えることができます。設置場所や検知エリアの調整が容易で、目立たない設置が可能なため、利用者の心理的な負担を軽減できます。
ベッドの降り口に設置するパッド型のセンサーです。寝返りや体動では反応せず、実際に足をつく際の体重負荷のみを検知します。必要な動作に限定して反応するため、誤報が少なく、効率的な見守りが可能です。耐久性に優れ、長期使用にも適しています。
施設の規模や運用形態に応じた通知方法の選択が重要です。大規模施設では既存のナースコールシステムと連携できる製品が適しており、施設全体での一元管理が可能になります。
一方、小規模施設や在宅介護では専用受信機型が扱いやすく、初期導入も容易です。通知音の調整機能や複数の受信機での同時受信など、現場のニーズに合わせた機能を確認することが大切です。
センサーのケーブル仕様は安全性と費用面で検討が必要です。ケーブル式は導入コストを抑えられる利点がありますが、利用者や職員のつまずきリスクを考慮する必要があります。
コードレス式は安全性が高く、レイアウトの自由度も増しますが、初期費用や電池交換などのランニングコストがやや高めになります。現場の状況や予算に応じた選択が求められます。
利用目的に最適なセンサータイプの選定が不可欠です。転倒・事故防止が主目的の場合は、早期検知が可能なベッドセンサーやマットセンサーが有効です。
徘徊予防では、広範囲の動きを捉えられるマットセンサーや赤外線・超音波センサーが適しています。
頻繁な通知を避けたい場合は、床に敷くマットセンサーや人感センサーなど、実際の離床行動のみを検知するタイプを選択します。
設置環境に応じたセンサーの選択が重要になります。部屋のサイズや家具の配置、動線を考慮し、最適な設置位置が確保できるセンサーを選ぶ必要があります。また、入居者の生活習慣や好みにも配慮し、違和感なく受け入れられる設置方法を検討することが大切です。
定期的な清掃や点検作業のしやすさも考慮に入れます。
マット型の見守りセンサーであるAisleepは、主に介護施設での業務改善や事故対策、睡眠データの活用を目的としています。ベッドマットの下に設置され、心拍や呼吸などのバイタルデータを計測し、利用者の睡眠パターンや在床状況をリアルタイムでモニタリングすることが可能です。
主な機能 |
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リアルタイムモニタリング 利用者の離床、起き上がり、覚醒、睡眠状態をリアルタイムで監視し、異常があれば即座に通知します。 |
高速アラート 離床などの異常を3秒以内に検知し、介護職員に迅速な対応を促します。転倒や徘徊などの事故を未然に防ぐことが可能です。 |
個別アラーム設定 利用者ごとに心拍や呼吸のアラームを設定でき、自動で適切な設定が行われるため再調整が不要です。 |
睡眠解析 睡眠パターンや質を分析し、介護プランの改善に役立てます。利用者の健康状態をより良く管理できます。 |