フレームグラバーの役割と必要になる場面|インターフェース別の選び方
フレームグラバーは、産業用カメラから出力される画像データをPC側で受け取るために使用されるキャプチャボードです。すべてのカメラシステムで必要になるわけではなく、使用するインターフェース規格によって要否が分かれます。
本記事では、フレームグラバーの基本的な役割と必要になる場面、インターフェース規格ごとの構成の違い、そして選定時に確認すべき仕様項目を解説します。
- フレームグラバーが果たす役割と基本的な仕組みがわかる。
- CoaXPressやCamera Linkなど、フレームグラバーが必須となるインターフェース規格がわかる。
- GigE VisionやUSB3 Visionではフレームグラバーが不要な理由がわかる。
- フレームグラバー選定時に確認すべき仕様項目がわかる。
フレームグラバーとは
フレームグラバーは、産業用カメラが出力する画像データをPCに取り込むための拡張ボードです。カメラとPC間のデータ転送を仲介し、高速かつ安定した画像取得を実現する役割を担います。
一般的なPCには、産業用カメラが使用する専用インターフェースの受け口が搭載されていません。フレームグラバーはPCのPCIeスロットに装着して使用し、カメラからの画像信号を受信してホストメモリへ転送します。
また、フレームグラバーにはカメラへのトリガー信号送信やエンコーダー入力など、画像取得のタイミング制御に関わる機能を備えたモデルもあります。高速撮影や同期制御が求められる検査システムでは、こうした機能が重要な役割を果たします。
フレームグラバーが必要なインターフェース規格
産業用カメラのインターフェース規格のうち、フレームグラバーが必須となる代表的な規格はCoaXPressとCamera Linkです。これらの規格はPC側に標準的な受け口がないため、専用のフレームグラバーを介してデータを受信する構成になります。
CoaXPress(CXP)
CoaXPressは同軸ケーブルを使用する高速インターフェース規格です。CXP-6で1本あたり6.25 Gbps、CXP-12で12.5 Gbpsの帯域を持ち、複数リンク構成によってさらに広帯域な転送が可能です。
高解像度・高フレームレートの撮影に対応できるため、半導体検査やディスプレイ検査などで広く使われています。CoaXPressカメラを使用する場合、対応するCXPフレームグラバーが必ず必要になります。
Camera Link
Camera Linkは産業用マシンビジョンで長く使われてきたインターフェース規格です。Base・Medium・Full・Dekaなどの構成があり、構成に応じて転送帯域が変わります。
Camera Linkもフレームグラバーが必須であり、使用するカメラの構成(Base / Medium / Full等)に対応したフレームグラバーを選ぶ必要があります。成熟した規格であり、既存システムの保守や後継設計で選定される場面が多く見られます。
GigE Vision・USB3 Visionとの構成の違い
すべてのインターフェース規格でフレームグラバーが必要になるわけではありません。GigE VisionとUSB3 Visionは、PCに標準搭載されたポートを利用できるため、フレームグラバーなしでシステムを構成できます。
GigE Vision
GigE Visionは、PCの標準的なイーサネットポートを使用してカメラと接続します。LANケーブルでの接続が可能なため、フレームグラバーは不要です。
ケーブル長を長くとれる点も利点であり、カメラとPCの距離が離れる設置環境に適しています。一方で、転送帯域はCoaXPressやCamera Linkと比較すると限られるため、転送速度が求められる用途では制約となる場合があります。
USB3 Vision
USB3 VisionはPCのUSB 3.xポートを使用する規格です。こちらもフレームグラバーが不要で、ケーブル1本で接続できる手軽さが特徴です。
GigE Visionと比べて帯域に余裕がありますが、ケーブル長に制約があります。小型システムやラボ用途など、カメラとPCが近距離に配置される場面で多く採用されています。
構成の比較
| インターフェース | フレームグラバー | PC側の接続先 | ケーブル長の目安 |
|---|---|---|---|
| CoaXPress | 必要 | PCIeスロット(フレームグラバー経由) | 数十m以上可 |
| Camera Link | 必要 | PCIeスロット(フレームグラバー経由) | 数m〜十数m |
| GigE Vision | 不要 | イーサネットポート | 数十m以上可 |
| USB3 Vision | 不要 | USB 3.xポート | 数m程度 |
選定時に確認すべき仕様項目
フレームグラバーを選定する際は、使用するカメラやシステム構成に合わせて複数の仕様項目を確認する必要があります。カメラ側の仕様とフレームグラバー側の仕様が合致しなければ、画像を正しく取得できません。
対応インターフェースとリンク構成
フレームグラバーが対応するインターフェース規格と、サポートするリンク数を確認します。たとえばCoaXPressでは、カメラ側が4リンク構成であればフレームグラバーも4ポート以上の対応が求められます。
Camera Linkの場合も、カメラがMedium構成やFull構成であれば、それに対応したフレームグラバーが必要です。規格名だけでなく、リンク構成の一致を確認することが重要です。
PCIeスロットの世代とレーン数
フレームグラバーはPCのPCIeスロットに装着するため、対応するPCIeの世代(Gen2 / Gen3など)とレーン数(x4 / x8など)を確認する必要があります。フレームグラバーが求めるPCIe帯域をPC側で確保できなければ、転送性能が制限される可能性があります。
PCの空きスロット数や物理的なスペースも事前に確認しておくと、導入時のトラブルを防げます。
I/O機能とソフトウェア対応
外部トリガー入力やエンコーダー入力といったI/O機能が必要かどうかも確認ポイントです。検査ラインでカメラの撮影タイミングを外部信号で制御する場合、フレームグラバー側にその入力機能が備わっている必要があります。
あわせて、使用する画像処理ソフトウェアやSDKとの互換性も確認します。GenICam準拠であれば汎用的なソフトウェアから制御しやすく、システム構築の自由度が高まります。
よくある質問
- フレームグラバーはすべての産業用カメラに必要ですか?
- すべてのカメラに必要なわけではありません。GigE VisionやUSB3 VisionのカメラはPCの標準ポートで接続できるため、フレームグラバーは不要です。CoaXPressやCamera Linkのカメラを使用する場合に必要になります。
- CoaXPressカメラを導入する際、フレームグラバー以外に必要なものはありますか?
- カメラとフレームグラバーのほかに、対応する同軸ケーブルと、フレームグラバーを装着できるPCIeスロットを備えたPCが必要です。また、画像取得・制御のためのソフトウェアやSDKも準備する必要があります。
- フレームグラバーのリンク数が足りない場合はどうなりますか?
- カメラが要求するリンク数をフレームグラバー側でサポートしていない場合、カメラの性能をフルに引き出せません。転送帯域が不足し、フレームレートや解像度に制約が生じる可能性があるため、カメラの仕様に合ったリンク数のフレームグラバーを選定してください。
- GigE Visionでもフレームグラバーを使うことはありますか?
- 一般的にGigE Visionではフレームグラバーは使用しません。ただし、CPU負荷を軽減する目的でハードウェアアクセラレーション機能を備えた専用NIC(ネットワークインターフェースカード)を使用するケースはあります。
まとめ
- フレームグラバーはカメラの画像データをPCに取り込むための拡張ボードである。
- CoaXPressやCamera Linkのカメラを使用する場合、フレームグラバーが必須となる。
- GigE VisionやUSB3 VisionはPC標準ポートで接続でき、フレームグラバーは不要である。
- 選定時はインターフェース規格・リンク構成・PCIeスロット仕様・I/O機能・ソフトウェア互換性を確認する。