ニーズに最適な機能性を有する粒子を容易に生成
スプレードライは、単一工程にも関わらず、無限の可能性を有しています。下記の例のように、ユーザーのニーズに合わせて母体原料を3次元構造の別材料で包括した複合原料粒子を容易に構築することができます。これにより、さまざまな分野における研究開発の幅を広げ、最終製品の性能向上に貢献します。
ミニスプレードライヤー S-300の位置づけ
スプレードライヤーには、量産用の大型の製品もありますが、ビュッヒはラボ用の高機能、ミニスプレードライヤーに特化しています。基礎研究から試作に至るまで、試行錯誤の段階を効率的にサポートし、研究開発現場のニーズにお応えしています。
あらゆるニーズに対応可能なラインナップ
ビュッヒのミニスプレードライヤーS-300は、ベーシック、アドバンス、耐腐食の3種類のラインナップを有しています。有機溶媒や腐食性の強い材料にも対応可能なラインナップで、さまざまな産業における多様なニーズにお応えいたします。
研究開発効率向上に貢献する細部のこだわり
S-300は、ユーザビリティを最優先に考え、細部までこだわって設計されています。多品種・多条件の繰り返し運転を効率よく実施できる下記のような機能を備えており、研究開発効率の向上に貢献します。
高い拡張性
S-300は、有機溶媒の安全な取り扱いを実現するイナートループや、再現性向上に貢献する除湿装置など、用途や研究ニーズに応じて、システムを自在にカスタマイズできる拡張性・柔軟性を有しています。
ノズル目詰まりを手動・自動除去
S-300は、スプレー噴射部にあるノズルの目詰まりを除去する機能を標準搭載しています。これは、様々な試材を扱う研究開発段階の運転において、作業の中断を防ぎ、開発効率の向上に寄与します。本機能は手動はもちろん、自動化も可能で、ユーザー負担の軽減にも貢献します。
収率を向上させるコーティングサイクロン
コーティングサイクロンは、透明なガラス製で全体の運転状況を視覚的に確認できるため、作業効率を向上させます。さらに、静電気による付着ロスを低減する独自のコーティング施工により、製品収率を最大化します。
分解容易性
簡単かつ安全に手早く、分解・洗浄が可能です。これにより、運転中のダウンタイムを減少させます。多品種・多条件の繰り返し運転を効率よく実施できるため、研究開発効率の向上に貢献します。
高度なデータ管理機能
高度なデータ管理機能を搭載しており、運転記録におけるリアルタイムデータの取得および分析が可能です。これは、運転の最適化の実現や、スケールアップ時の検討用データとしても有益です。
自動モード
S-300アドバンスおよび耐腐食仕様の製品は、自動モード機能を追加する事ができます。設定した条件での自動運転を可能にしており、オペレーターの負担を軽減し、高い再現性を実現します。
ミニスプレードライヤーS-300の構造
スプレードライは、原料物質を溶媒またはキャリア材料の溶液に溶解または分散させた原料液を、高温の熱風が流れる乾燥室内に噴霧し、それを乾燥させることで微細な固形粒子を生成、サイクロンの遠心力を利用して、回収される構造になっています。
S-300 ラインナップ 比較表
ビュッヒのスプレードライヤーS-300は、下記3つのラインナップを有しています。本体および付属機器を組み合わせることで、用途や目的に応じた最適なソリューションをご提供いたします。
付属機器|イナートループ
イナートループ S-395と組み合わせることで、有機溶媒を含む試料を安全に取り扱うことができます。運転中の乾燥ガスには不活性な窒素ガスを使用し、排気に含まれる溶媒の蒸気は冷却凝縮して回収します。
付属機器|除湿装置
除湿装置 S-396は、吸引空気の湿度変動を抑制し、乾燥の再現性を向上させます。特に、水系材料の乾燥や、有機溶媒と水の混合材料のスプレードライに有効です。
仕様
代表的な分野での用途例
当社は、ラボスケールのスプレードライとカプセル化ソリューション開発において、40年以上にわたり市場を牽引してきました。ビュッヒのスプレードライヤーは、医薬品、化学、食品産業など、さまざまな分野で広く活用されています。
バッテリー
電極材料の微粒子化、電解質の調製、燃料電池用触媒の製造などに利用されており、例えば、リチウムイオン電池の負極材料として、グラフェンでコーティングしたシリコンナノ粒子の生成に成功しています。
化学・材料
ナノテクノロジーや先端材料の研究開発において、S-300は重要な役割を果たしており、セラミックス前駆体、触媒、顔料、コーティング材料などの微粒子化に活用されています。
製薬・医薬品
主な用途には、原薬の微粒子化や非晶質化、薬物送達システムの開発、ワクチンの製剤化、吸入剤の生成などがあります。S-300の精密な温度制御と高い再現性により、熱に敏感な生理活性物質の処理が可能です。
食品・飼料
食品業界では、S-300を用いて機能性食品の開発、香味料のカプセル化、プロバイオティクス細菌の安定化などが行われています。例えば、濃縮ジュースの粉末化、タンパク質やビタミンの安定化、プロバイオティクス菌の生存率向上などに成功しています。