多層ブロー成形

付加価値の高いプラスチックボトルを製造
多層ブロー成形は、複数の異なる樹脂を積層して容器を成形する技術です。一種類の樹脂だけでは満たせない機能要件に対応できます。
ブロー成形機のリーディングカンパニーであるタハラは、単層ブロー成形機だけでなく、各種ニーズに対応できる用途別の多層ブロー成形機の製造も行っています。
目次
- 多層ブロー成形とは
- 多層ブロー成形の方法
- 多層ブロー成形により提供されるメリット
- 容器のバリア性能の向上(内容物の酸化防止)
- 成形品の外観向上
- リサイクル樹脂や環境対応樹脂の有効利用
- 特殊機能の付与
- タハラが提供する多層成形技術のご紹介
- 多層成形で作られる容器の例
- 多層ヘッドについて
- 多層ヘッドの製造工程
- タハラ多層成形機の製品ラインナップ
- 食品・調味料用途:MSD-C46A / 64MKZ2-AP(C4)
- 食品・調味料用途:MSD-C56V / 43M-AP(C2)
- 消耗品・日用品用途:MSD-C44A / 43R-AP(C2)
- 消耗品・日用品用途:INNOVAREX400D
- 工業包装用途:MFL-C33A / 76LJ-A(C1)
- 工業包装用途:TJS25A-M
- 自動車・バイク用途:MSD-C66A/74L-A(C1)
多層ブロー成形とは
多層ブロー成形では、単層成形では製造できない高いバリア性能を持つ製品や、付加価値の高い製品を作ることが可能です。
例えば、食品分野では醤油やマヨネーズの容器などに多層技術が使われており、内容物の鮮度を保ち賞味期限を大幅に伸ばすことができます。他にも、化粧品の分野ではシャンプーや日焼け止めの容器などに多層技術が使われており、容器の外観に光沢を持たせて高級感を演出することができます。その他にも、農薬や半導体の洗浄液を入れる容器など、用途に合わせて様々な分野で多層技術が使われています。
この技術により、製品の機能性を高めると同時に、使用する材料の量を最適化し、コスト削減にも寄与します。
多層ブロー成形の方法
多層ブロー成形機では、使用する樹脂の種類に応じて複数の押出機が搭載されています。
それぞれの押出機から送り出された樹脂は、多層ヘッドの中で積層され、多層ヘッドから出てくるときには多層のパリソンとして押し出されます。
その後の成形工程は、単層ダイレクトブロー成形と同じようにパリソンを金型で挟み、空気を吹き込んで製品の形状を作り出します。
多層ブロー成形により提供されるメリット
容器を多層化することによって、以下のようなメリットを得ることができます。
容器のバリア性能の向上(内容物の酸化防止)
PE / PP / PET 樹脂などで単層成形された容器は、酸素やガスを透過させてしまうため、内容物が比較的短期間で酸化して劣化してしまいます。その対策として、EVOHという酸素やガスを透過させにくい特殊樹脂を積層させることで、内容物の酸化を防ぎ品質や鮮度を長期間維持することが可能となります。
代表的な例として、マヨネーズ・醤油・ドレッシング・わさびなどの調味料容器にこの技術が使われています。
成形品の外観向上
成形品の外観や意匠性を向上させるために、多層ブロー成形技術が用いられることもあります。例えばPET-GやEVOHといった樹脂を最外層に使用すると、容器に光沢性が出て高級感が演出できます。
代表的な例として、シャンプーや日焼け止め容器などにこの技術が使われています。
リサイクル樹脂や環境対応樹脂の有効利用
近年では環境対応を目的として、リサイクル樹脂や植物由来樹脂などをプラスチックの成形に使用することが注目されています。しかし、このような樹脂だけを使って単層成形をすると、容器の外観不良や匂いの問題など、様々な課題があります。
その対策として、リサイクル樹脂や植物由来樹脂などを多層成形の中間層に挟み込むことで、上記のような課題を解決することができます。
特殊機能の付与
多層ブロー成形では異なる機能性を持つ樹脂の利点を生かし、製品に必要な特性を付与することが可能です。
例えば、最内層にPA(ナイロン)樹脂を使って耐薬品製を高めることで、農薬や化学薬品を入れるのに適した容器になります。また、最内層に無添加PE樹脂を使った容器は、半導体製造に使用される洗浄液を入れる容器として活用されています。
タハラが提供する多層成形技術のご紹介
タハラはダイレクトブロー成形機の国内市場で80%以上のシェアを誇る、ブロー成形機のリーディングカンパニーです。当社が提供するダイレクトブロー成形機の大きなメリットの一つとして、多層成形が可能な点があげられます。
私たちの普段の生活に欠かせない食品容器・調味料容器・化粧品容器の多くには、製品の品質を向上させるためにタハラの多層技術が使用されています。またリサイクル材を使用することで原料コストの削減にも貢献しています。
多層成形で作られる容器の例
多層ヘッドについて
高品質なパリソンを形成するため、ヘッド内の樹脂流路の設計には、当社独自の「多層ヘッド流路設計ソフト」を使用しています。
お客様が生産したい成形品・仕様・生産条件・原料樹脂の流動特性などをもとに、 滞留による熱劣化がなく、厚み分布が均等で層乱れのないパリソンが押し出せるように樹脂流路を設計します。 ヘッドの製作時には、当社の高い技術力をともなった最新の加工設備で高品質/高精度のヘッド用部品を加工します。 特に、高品質のパリソンを形成するために重要な流路表面の面粗度や、各マンドレルの同心度には厳しい数値基準で管理/組立をしています。
多層ヘッドの製造工程
樹脂選定: お客様にて樹脂選定を行っていただきます。
独自計算方法: タハラ独自の計算方法にて樹脂に合わせた最適なヘッドを設計します。
内部製作: 多層ヘッド部品はすべて社内にて製作します。
組み立て:厳しい基準の社内検査を経て、出荷されます。
タハラ多層成形機の製品ラインナップ
食品・調味料用途:MSD-C46A / 64MKZ2-AP(C4)
調味料容器の多層成形機です。
食品・調味料用途:MSD-C56V / 43M-AP(C2)
調味料用チューブ容器の多層成形機です。
消耗品・日用品用途:MSD-C44A / 43R-AP(C2)
外層光沢シャンプーボトルの多層成形機です。
消耗品・日用品用途:INNOVAREX400D
大ロット生産に対応した電動式汎用多層成形機です。
工業包装用途:MFL-C33A / 76LJ-A(C1)
工薬缶の多層成形機です。
工業包装用途:TJS25A-M
工薬缶の多層成形機です。
自動車・バイク用途:MSD-C66A/74L-A(C1)
燃料タンクの多層成形機です。