M-BOMとは｜E-BOMとの違いや連携課題について解説します

M-BOMとは？

M-BOMとは、Manufacturing Bill of Materials (製造部品表)の略称で、製造部門が使用する部品表のことを指します。

製造プロセスを最適化し、生産効率を向上させる上で重要な役割を果たします。E-BOMとM-BOMを適切に連携させることで、製品開発から製造までのプロセスを一元管理し、顧客ニーズへの迅速な対応や部門間の連携強化などのメリットを得ることが可能です。

M-BOMとE-BOMの違い

M-BOMはE-BOM(Engineering BOM、設計部品表)とは以下の点で異なります。

M-BOMの重要性

M-BOMは製造業における生産管理の要となる重要なツールであり、その適切な活用は企業の競争力向上に大きく貢献します。

製造プロセスの最適化

M-BOMは製造に必要な部品・資材情報と工程情報を詳細に含んでいます。この情報を活用することで、製造プロセスの無駄を発見し、改善点を見出すことが可能になります。結果として、生産効率が向上し、製造コストの大幅な削減が実現できます。

さらに、製造プロセスの標準化にもつながり、品質の安定化にも貢献します。

生産管理の効率化

M-BOMを活用することで、以下のような生産管理業務を効率的に行うことができます。

生産スケジューリングの最適化

M-BOMの正確な情報を基に、より精密な生産計画を立てることができます。作業時間や設備の稼働率を最適化し、生産ラインの効率を最大限に高めることが可能です。

正確な生産指示の実現

各工程で必要な部品や作業内容をM-BOMから明確に把握できるため、生産現場での混乱や誤作業を防ぐことができます。

効率的な部品手配

必要な部品の種類や数量を正確に把握できるため、過剰在庫や欠品を防ぎ、ジャストインタイムの部品調達が可能になります。 これらの要素が相まって、生産管理業務全体の効率が大幅に向上します。

部門間連携の強化

E-BOM（設計部品表）とM-BOMを適切に連携させることは、設計部門と製造部門の情報共有を促進する上で非常に重要です。両者の整合性を保つことで、設計変更が製造プロセスに与える影響を迅速に把握できます。

結果的に、部門間の齟齬が減少し、製品開発から製造までのプロセスを一元的に管理することが可能になります。この一貫した管理体制は、製品の品質向上と開発期間の短縮に大きく貢献します。

顧客ニーズへの迅速な対応

M-BOMとE-BOMの連携により、製品の細かい変更や生産現場での改善を即座にBOMに反映することができるようになります。その結果、市場のニーズや顧客の要望に対して、驚くほど素早い対応を実現可能です。

製品のカスタマイズや仕様変更にも柔軟に対処でき、顧客満足度の向上につながります。また、この迅速な対応力は、競争の激しい市場での優位性を確保する上でも重要な要素となります。

品質管理の向上

M-BOMには製造に必要な詳細な情報が網羅されているため、製品の品質管理において極めて重要な役割を果たします。正確な製造情報に基づいて生産することで、製品のばらつきを最小限に抑え、一貫した高品質を維持することができます。

さらに、問題が発生した場合でも、M-BOMの情報を基に迅速に原因を特定し、適切な対策を講じることが可能です。長期的には、製品の信頼性向上とブランド価値の増大にもつながります。

M-BOMとE-BOMの連携が困難な理由

前述の通り、システムの異なるM-BOMとE-BOMを連携することで生産管理を効率化することができますが、E-BOMとM-BOMの連携は多くの企業にとって大きな障壁となっています。その要因としては、主に以下のような点が挙げられます。

部品番号の不一致 

設計部門と製造部門で使用する部品番号の体系が異なることが、連携を困難にする大きな要因となっています。設計思想に基づいて付けられた部品番号が、工場での実際の使用状況と合わないケースが多々あるのです。

例えば、設計段階では単一の部品として扱われていたものが、製造段階では複数の部品に分割されることがあります。また、製造部門では代替材や他製品からの転用部品を使用することがあり、設計時の番号体系と齟齬が生じることがあります。

このような違いは、両者のBOMを一致させる上で大きな障害となり、連携を複雑化させています。

情報の粒度と構造の違い 

E-BOMとM-BOMは異なる目的で作成されるため、含まれる情報の種類や詳細さが大きく異なります。E-BOMは製品の構造や設計情報に重点を置いており、部品間の関係性や技術的な仕様が詳細に記載されています。一方、M-BOMは製造プロセスや必要な資源に関する情報を含んでおり、作業手順や使用する設備、必要な人員などの情報が重視されます。このような違いにより、両者の構造や階層が一致しないことが多く、単純な一対一の対応付けが困難になっているのです。

結果として、E-BOMからM-BOMへの変換や、その逆の変換が複雑な作業となり、連携を阻害する要因となっています。

システムの相違 

多くの場合、E-BOMとM-BOMは異なるシステムで管理されています。この状況下では、データ形式や管理方法が異なることが多く、両者の間でデータを相互に交換する際に変換や調整が必要になります。また、異なるシステムを使用していることで、リアルタイムでの情報共有が難しくなり、常に最新の状態を保つことが課題となります。

さらに、システム間の連携を構築するためには追加の開発や投資が必要となることも多く、企業にとって大きな負担となる可能性があります。

部門間の連携不足 

設計部門と製造部門の間でコミュニケーションや情報共有が不十分な場合、E-BOMとM-BOMの連携がさらに困難になります。両部門が独立して業務を進めることで、互いの要求や制約を十分に理解できていないケースが多々あります。例えば、設計部門が製造上の制約を考慮せずに設計を行った場合、その設計をそのまま製造に移行することは困難です。逆に、製造部門が設計意図を十分に理解せずに製造プロセスを変更すると、製品の品質や性能に影響を与える可能性があります。

このような部門間の認識のずれが、E-BOMとM-BOMの乖離を引き起こし、連携を困難にしています。

変更管理の複雑さ 

製品設計や製造プロセスの変更が頻繁に行われる場合、E-BOMとM-BOMの同期を維持することが非常に難しくなります。設計変更が行われた場合、それに伴う製造プロセスの調整が必要になりますが、この変更をリアルタイムで反映させることは容易ではありません。特に、複数の製品や製造ラインを持つ企業では、一つの変更が他の製品や工程に波及する可能性があり、その影響を正確に把握し、全てのBOMに反映させることは大きな課題となります。

また、変更の承認プロセスや文書化の手続きも複雑になりがちで、これらの管理負荷が連携をさらに困難にしています。

M-BOMとE-BOMの連携を可能にするBOMシステム

BOMシステムは、E-BOMとM-BOMの連携を促進し、統合的な管理を実現するためのツールとして機能します。

BOMシステムの主な特徴と機能

統合的な部品管理
BOMシステムは、E-BOMとM-BOMの情報を一元管理し、両者の連携を促進します。設計から製造までの一貫したプロセス管理が可能です。

情報の一元化
製品に関する部品情報を統合的に管理し、各部門へのスムーズな情報提供を実現。部門間の情報乖離を解消し、効率的な業務遂行を支援します。

柔軟な管理機能
BOMシステムは、部品表や設計、生産などを属性ごとに管理できる機能を持ち、製品の製造工程に沿った管理も可能です。

更新と履歴管理
部品表の変更履歴を自動的に管理し、設計部門での情報共有を容易にします。伝達漏れや設計ミスを防止することが可能です。

製品管理機能
製品を属性ごとに管理し、関連情報を紐付けて登録できるため、製品情報の検索や管理が効率化されます。

BOMシステム「Celb」のご紹介

Celb（セルブ）は、クラステクノロジーが提供するクラウド型のBOM（部品表）管理システムです。このシステムは、製品のライフサイクル全体を一元管理し、透明性と効率性を向上させることを目的としています。