食品業界において、品質と鮮度を保持しながら効率的な保存・流通を実現する急速冷凍機の重要性が高まっています。
本記事では、急速冷凍機の基本的な仕組みや活用メリット、主要な種類について詳しく解説します。また、食品業界での具体的な活用事例も併せて紹介しますので、導入を検討中の企業様はぜひ参考にしてください。
急速冷凍機は、食品を短時間で急速に冷凍させる装置です。一般的な冷凍では-18℃程度まで数時間かけて冷やしていくのに対し、急速冷凍機は-30℃から-40℃の冷気やガス、液体などにより、わずか1〜2時間で食品を凍結させることが可能です。この技術は、食品の品質と風味を最大限に保持することを目的としています。
急速冷凍機は、「瞬間冷凍機」「ショックフリーザー」などの名称でも呼ばれています。
急速冷凍機の仕組みは、食品の品質を最大限に保持するために精密に設計された冷却プロセスに基づいています。このシステムの核となるのは、食品が最も氷結晶を形成しやすい温度帯を素早く通過させることです。30分以内という短時間で通過させるため、強力な風や特殊な冷却液を用いて食品を一気に冷却します。
通常の冷凍庫よりもさらに低い温度で食品を凍結させることで、食品内部の水分が大きな氷結晶を形成する時間を最小限に抑えることが可能です。この急速な温度低下により、食品の細胞膜が破壊されるのを効果的に防ぎ、解凍後も食品本来の味や食感を保持することができます。
以下のようなメリットにより、急速冷凍機は食品産業や飲食業界において重要な役割を果たしています。
急速冷凍によって、食品本来の風味や食感を高いレベルで維持することができます。解凍後も冷凍前とほぼ変わらない鮮度や味わいを楽しむことができ、食品に含まれる栄養価も高い水準で保持されます。
従来の冷凍方法と比較して、冷凍に要する時間が大幅に短縮されることで生産量を増加させることができます。また、調理作業の簡略化が可能となり、全体的な調理時間の短縮にもつながります。
食品の長期保存が可能になることで、廃棄ロスを大幅に削減できます。また、季節に左右されない安定した供給体制を確立することで、原材料調達コストの抑制が可能です。
さらに、食品の消費期限を延長することで、家庭や企業における食品廃棄を効果的に減らすことができます。
細菌が増殖しやすい温度帯を短時間で通過させることができるため、食品の安全性が高まります。また、保存料などの添加物を使用せずに長期保存が可能となり、より自然な状態での食品保存を実現できます。
急速冷凍技術により、ムラのない均一な品質で食品を提供することが可能となります。安定した品質管理と顧客満足度の向上に繋がる効果を期待できます。
大量の食品を作り置きして保存することが可能となり、需要の変動に柔軟に対応できます。また、季節や場所に関係なく多様な食品を提供できるため、メニューの多様化や事業展開の可能性が広がります。
急速冷凍機には主に4つの種類があります。これらの急速冷凍機は、それぞれ特徴や適した用途が異なるため、使用目的や対象となる食材に応じて選択することが重要です。
-30℃から-40℃の冷風を用いて食品を凍結させる方式です。操作が比較的容易で導入コストも抑えられることから、レストランや惣菜店など、幅広い業態で普及している冷凍方式となっています。
-30℃前後に冷却されたアルコールなどの特殊な液体に食品を直接浸して凍結させる方式です。液体との直接接触により熱伝導が効率的に行われるため、短時間での凍結が可能で、食品からのドリップを極限まで抑制することができます。
-196℃という超低温の液化窒素を利用して食品を超高速で凍結させる方式です。凍結速度が他の方式と比較して圧倒的に速く、高級魚介類や高級食材など、特に品質維持が重要な高付加価値食材の凍結に適しています。
金属製の冷却板で食品を挟み込み、圧力をかけて密着させることで凍結させる方式です。この冷却板の内部では-40℃から-30℃の冷却剤が循環しており、低温を維持しながら熱伝導を利用して食品を効率よく冷却します。食品に圧力がかかるため、多少押しつぶされても品質に影響が少ない食品の凍結に適しています。
急速冷凍機は様々な食品業界で広く活用されています。
魚介類 | 鮮魚や刺身の品質保持 マグロの赤身、イカ、タコなどの食感維持 |
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肉・肉加工品 | 食肉加工工場での品質保持 精肉店での在庫管理 |
野菜・果物 | 冷凍野菜・果物の製造 果物の長期保存(風味と見た目の維持) |
麺類 | 冷凍うどんの製造(モチモチとした食感の保持) |
パン・菓子 | パン工場での品質管理 ケーキショップでの商品保存 |
弁当 | 冷凍弁当サービス |
中華まん | 製造工程における皮と具の品質維持 |
季節商品の製造 | おせち料理やクリスマス限定商品の事前製造と品質保持 |
ZERO-03(ゼロ・ゼロスリー)は、高速な冷凍を可能にする液冷式の凍結機です。解凍後も食材の食感や香りをそのまま再現可能。これまで冷凍が難しかった食材の販路拡大に寄与します。また、食品本来の美味しさを提供できるため、ブランド価値の向上にも貢献します。
ご飯、カットした豆腐、レバー、生クリームなど、冷凍によって食感が損なわれやすい食材でも、ZERO-03なら高い再現性で冷凍が可能です。特にご飯は、冷結後に非加熱で解凍しても美味しく食べられるため、寿司や海鮮丼をまるごと冷凍することができ、冷凍食品のバリエーションが大幅に広がります。
商品を入れた「かご」を-35℃の液体内で上下に激しく振動させることで、食品を素早く冷却します。この仕組みは、「飲み物が入った缶を氷水の中で回すと早く冷える」という現象と同様に、冷却環境下で食品を動かすことで冷却速度を向上させています。
ZERO-03は、他社の同等機種と比較して1時間あたりの生産量が非常に高く、従来の液冷式に比べて約4倍の生産量を達成しています。また、空冷式と比較すると、約8倍の生産量を実現しており、高い効率性を誇ります。