研究・産学連携推進機構が新たなチャレンジの扉を開く
この取り組みにより、企業と研究者の双方が利益を得ることを目指しています。具体的な事例として、次世代モビリティ社会実装研究センター「CRANTS」の2つの事例を紹介します。
目次
群馬大学 研究・産学連携推進機構のご紹介
群馬大学は、元々は地域に求められる人材を育成してきた、地域に広く根ざしている大学です。本学の「研究・産学連携推進機構」は、大学と、地域の企業、基幹産業との連携を進めるために生まれました。
具体的には、まず地元の企業と、日本の企業、いずれは世界の企業と連携を結び、協力し合い研究開発を進める「産学連携」を組織立ててやっていくことが目的です。
大学の中で研究に没頭している先生方の高い技術を、必要としている企業様とうまくマッチングする。デバイスからプラットフォーム、アプリケーション、サービスまで、産業と学術を連携させて、ビジネスとして成果を挙げることで、企業も研究者もWIN-WINとなることを目指しています。
まずは、地域との関わりを大切にし寄り添ってきたからこそ実現できた事例として、次世代モビリティ社会実装研究センター「CRANTS」の2例をご紹介しましょう。
事例:桐生市を走る低速電動コミュニティバス「MAYU(まゆ)」

桐生市の協力で実現した事例が、市内を走る無料の電動コミュニティバス「MAYU(まゆ)」です。
最高時速19kmと、移動の手段に使うにはいささか低速ですが、車内の観光ガイドとともにゆっくりと街をめぐり、桐生の歴史や観光スポットについて知ることができます。のみならず移動する公民館のような社交スポットとして機能したり、お祭りや結婚式のアトラクション的な乗り物に使われたりもしています。
環境に優しく、見た目もかわいらしいと好評をいただいていますが、街中を走らせて、渋滞がおきるのか否かとか、住民が本当に幸せになれるのか、ということを含めて継続してデータを取っています。全国への展開や、将来的に必要とされる自動運転の可否まで見据えた研究を続けている事例です。
事例:前橋市から中央前橋駅の間での自動運転プロジェクト

こちらは、無人バスを走らせる研究です。前橋だけではなく、九州の大分でも実走実験を始めており、自動運転の実走実験は全国展開を開始しています。
自動運転車を公道で走らせるには法改正に近いことが伴い、認可を取るのに大変時間がかかるところを、群馬県と前橋市の協力があり、早々に実現することができました。こうした協力が得られやすいのも、地元に密着した群馬大学ならではのメリットであると考えています。
事例として挙げたのはいずれも交通手段に関するものですが、共同研究の可能性は交通手段だけに限ったものではもちろんありません。
部門長としての働きかけ
共同研究講座という体制を作りました。企業からひとり社員の方を派遣していただき、群馬大学に籍をおいていただきます。群馬大学のスタッフとして、企業と大学の、ニーズとシーズをマッチングさせる役目を担っていただくのです。企業の内情を知る立場から、今本当に必要とされている研究を選んでもらい、それならこういう先生がいる、と一つひとつ結び付けていく枠組みみ、いわば組織対組織の共同研究です。組織を代表できる人、そして大学を代表できる人というのを置くことで、ニーズとシーズが枝葉に分かれ、たくさんの細かい共同研究をその中でできるような体制を作りました。
チャレンジをしたきっかけ

共同研究を始めるにあたり、当初心配な点もありました。というのも、共同研究講座には企業から人を派遣してもらわなければなりません。その人を雇うための人件費、それを企業から出してもらうとなると、講座を運営する以前に、その人件費で実際の研究費がほとんどなくなってしまうのではないかという懸念があったためです。ですが今回作った共同研究講座の規模は、そうした懸念を払拭するスケールでした。本当にやりたいことができる素地が整い、その何十倍もの価値が生まれるのならばと、思い切ることができました。
地域に密着した群馬大学ならではの利点として、以前から連携協定を結んでいた企業があったので、せっかくのつながりを生かそうと、発奮して声をかけていった結果、新規の共同研究案件が増えています。組織対組織でアプローチすることで、一つの企業との間で2~3の共同研究に結び付くこともあり、手ごたえを感じています。
企業に出向く際には、ほわっとしたニーズ、そんな段階でいいから、まずは困っていることについて話をお聞かせください、とお話ししています。話し合っているうちに、この問題は研究のテーマになるかならないかの判断がつき、共同研究に結び付きます。
相談案件を増やすことで、共同研究の数は増加しました。その分ボツになる案件も増えましたけれど(笑)。
これからの展望
地元の企業の方々に、群馬大学のこうした活動をもっと広めていき、知って頂きたいです。あとは学内の教員の意識改革ですね。自分たちの研究は、誰かが必要としている技術に結実するのだ、という事実に幸せを感じてくれる先生を少しでも増やしたいと考えています。
やっていきたいのは、組織対組織という形の共同研究です。例え小さな会社であっても、群馬大学に相談すれば問題をひも解いてくれ、適切な先生を紹介してくれる、と思っていただければ、それが組織対組織の共同研究となります。共同研究のハードルを少し下げるような、入り口をちょっと広げるような、そうした方向に進められたらと考えています。
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