マシンビジョン(画像を使った検査)における課題点
マシンビジョンとは、産業用カメラで取得された画像を処理して情報を得るセンシング技術です。その名の通り、「機械の目」として分かりやすく有益な画像情報を収集できます。
そのため、マシンビジョンは従来の目視検査における「作業品質のバラツキ」や「作業員の確保」といった課題に貢献できるソリューションとして多くの製造現場で活用されています。
一方で、マシンビジョンによる画像処理には「導入までの技術的なハードルと高いコスト」といった課題も挙げられます。
高い精度で認識し、実用的な作業に対応するシステムを構築するためには、産業用カメラを単に購入して取り付けるだけでは不十分であり、カメラやレンズ、照明などのハードウェアの適切な組み合わせ、画像処理ソフトウェアの開発、最適な設置や取り付け、そして全体的な微調整が求められます。加えて、ソフトウェアの開発も素人が十分にこなすことは難しく、画像処理システムの導入にはビジョン技術に熟知した専門家やシステムインテグレータなどに依頼することが一般的となっているのです。
誰でも・簡単に画像処理アプリケーションを作成できる「Tech View」
TechViewは、「プログラミングスキルが無くともアプリケーションの修正や変更ができる」ことをコンセプトに開発された、製造現場の担当者でも簡易的に画像検査アプリケーションを開発することを可能にする製品です。
エンジニアと同じC++言語がベースになっている為、簡易的にアプリケーションを構築でき、動作は「C++言語でコーディングを行ったアプリケーションと同じ動き」になります。
操作方法はフローチャートを書くように、グラフィカルにプログラミングできます。画面や、ソフトのカスタマイズがマウス操作で実現可能です。
Tech Viewの構成イメージ
「画像検査システムを迅速に取り入れたい」「AI(機械学習)技術を導入したい」「システム構築までを自社で行いたい」などの要望にも、フローチャート型画像処理ソフトウェア「TechView」であれば対応可能です。複雑な特注システムでもフローチャート形式の設定でシステムを構築できます。
Tech Viewの特徴
直感的な操作
基本操作は、ノードと呼ばれるアイコンをマウス操作で設置、接続する事でグラフ作成を行います。画像処理アルゴリズムも、直感的にノードを繋いで構築します。2値化処理のしきい値などの設定はノードから可能です。
ノードのモジュール化
完成したノードの接続構成を、”サブセット”でわかりやすくモジュール化が可能です。
ユーザーインターフェースも簡単作成
アプリケーション作成の作業と同様の操作で、インターフェース画面まで作成が可能です。
画像処理ツール MILに対応
TechViewはMatrox Imaging Library(MIL)で提供する高度な画像処理ツールをノードで用意しています。
マウス操作とダイアログメニューの編集で実装する事が出来ます。
※ 使用する画像処理ツールに相当するランタイムライセンスが必要になります。
多様なカメラと接続可能
TechViewは、GigE Visionインターフェース、USB3 Visionインターフェースのカメラに対応しています。
センサー種類の豊富なエリアスキャンカメラ、GigE Visionインターフェースのラインスキャンカメラ、及びUSBインターフェースのSeek Thermal社製サーマルカメラにも対応し、多様なセンシングニーズへ柔軟に対応できます。
外部機器との接続
TechViewはコントローラのデジタルI/Oやシリアル通信を使う周辺機器の制御に加え、各種マシンコントロールインターフェースにも対応します。
【対応インターフェース】
・OPCサーバ(たけびし製)
・motionCAT(ハイバーテック製)
【コントローラ搭載I/O】
・デジタルI/O IN×8本、OUT×8本
・RS-232C×2本 RS-485×1本
・Gigabit Ethernet×6本(PoE4×本 GbE×2本)
・USB 3.0×4本 USB 2.0×2本
【その他】
・Contec製DIO、AIO
(*対応機種につきましては、事前にお問い合わせ下さい。)
レシピ機能
レシピファイル機能:
パラメータをファイルで管理可能です。
メモリの範囲内で登録可能:
複数のマスター画像登録が可能です。
ユーザーカスタマイズが可能
ソフト経験者なら、機能のカスタム追加が行えます(ご希望があれば、弊社でカスタム対応も可能です)。
連続撮像
ラインスキャンカメラメーカーならではの独自処理により、ラインスキャンカメラでの連続取り込みが可能です。
上図の例は、電車を連続撮像し、画像を5枚連結したイメージです。汎用コントローラにありがちな、取り込みフレームの欠損や、連結処理に煩わされることなく ラインスキャンによる長尺画像を簡単に取り込むことができます。
長く撮像する必要がある検査に最適です。ロールtoロールのインライン検査でも使用可能です。
並列処理・多種カメラの同時接続
マルチスレッド対応の為、並列処理が可能です。Camera Link, GigE Vision, USB3 Visionなど、各種インターフェースのカメラが混合していても同時撮像が可能。
【例】ラインスキャンカメラ(Camera Link)、エリアスキャンカメラ(GigE Vision)、Webカメラ(USB3.0)の組み合せによる同時接続
並列処理を導入するメリット
並列処理とは、パソコンの複数のCPUコアを活用して、同時並行で複数の処理を行わせることをいいます。基本的に1つのCPUコアは同時に複数の作業はできません。
検査に使用できるCPUコアが1つしかない場合、カメラの制御・撮像・画像の取り込みが終わってから、次の対象の撮像が始まるまでの短い時間で画像処理を行う必要があります。
しかし複数のCPUコアを検査に使用できる場合、撮像を行うCPUコアと、画像処理を行うCPUコアを分けることができるため、画像処理に使用できる時間をしっかり確保することができます。複雑な画像処理を導入したより効率の良い自動検査を構築することが可能となるのです。
AI・機械学習との連動
ユーザーカスタマイズ機能を使用し、AI・機械学習との連携を容易に実現! コーディングせずお客様自身でAI・機械学習を利用した検査システムを構築できます。
教師データの学習にはRAPID機械学習が提供しているGUIを使用。 画像判定機能はノード(ライブラリ)として提供いたします。
AI・機械学習用画像の収集
AI・機械学習で重要な点は高品質な教師データ(画像)を集める事です。TechViewは画像を収集するだけではなく、データクレンジングの自動化で高品質な画像収集を行えます。
Tech View 機能一覧
欠陥検出
二値化・パターンマッチング・粒子解析など、欠陥検出に必要な画像処理機能一式を取り揃えています。
ノイズ除去/粒子解析(ブロブ処理)
膨張収縮処理などによるノイズの除去、粒子解析によるラベリング・データの収集が可能です。
場所決め(アライメント)
輝度値の類似性、形状の類似性から、正確な場所決めを行います。
文字認識・バーコード読み取り
画像から文字情報を検出、バーコード読取ができます。
各種フィルタ処理
画像の強調やスムージング、エッジフィルターなど、各種フィルタ処理が可能です(オプションのMILランタイムライセンスが必要な場合があります)。
GUI作成
自由なGUI画面の作成が可能です。簡単なポップアップ画面が作成できるツールもご用意しています。
非同期な動きの管理
1つのアプリケーションの中で、機能の起動タイミングを任意にコントロールし、並列実行することができるので、複数の検査・複数のライン・複数の機器を狙い通りに制御できます。
お客様の声
未経験者や現場担当者が操作できたので展開が加速
導入前 | 他社画像処理システムを利用。ライセンスのコストが高いプログラミングによる開発が必要。 →多拠点への展開が困難 |
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TechView導入後 | ・ライセンスのコストダウンを実現 ・フローチャートで開発が容易に 未経験者や現場担当者が操作できたので展開が加速 |
画像処理に必要な全機器を1台のコントローラで管理
導入前 | 複数メーカーのカメラを同時利用。メーカー指定の接続制限により複数台の画像処理装置が必要。 →コスト負担が増加 |
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TechView導入後 | ・接続制限がなくなり1台に集約 ・PLCやステージ制御にも対応 画像処理に必要な全機器を1台のコントローラで管理 |
1台のコントローラを生産ラインプラットフォーム化
導入前 | ラインセンサとエリアカメラが混在。パラメータで多品種対応したい。 →検査システムを集約したい |
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TechView導入後 | ・検査パラメータ多品種化 ・複数エリアや多角形マスク対応 1台のコントローラを生産ラインプラットフォーム化 |
誰でも使える画像処理へ
「画像処理は難しくて高い」というのがこれまでの一般理解でしたが、近年ではこの傾向が変わりつつあります。
現在、マシンビジョンの技術トレンドは主に二つに分かれています。一つは、AIや3D技術などを更に進化させ、認識精度や速度を向上させる「高度化」。もう一つは、マシンビジョンを広く一般に普及させ、使い勝手を向上させ、誰でも扱えるようにする「汎用化」です。特に後者の汎用化が特に注目され、多くのメーカーから導入が容易なマシンビジョンが登場しています。これにより、目視検査の自動化やマシンビジョンの一般化が進む中、新たな展開が生まれています。
TechViewは、「プログラミングスキルが無くてもアプリケーションの修正や変更ができる」はコンセプトの基に開発された、誰でも・簡単に 画像処理アプリケーション作成が行えるソフトウェアです。ノーコード開発ツールとなっているため、プログラミングスキルがなくても、クリックやちょっとしたテキスト入力のみで画像処理開発を進めていくことができます。