サンユレックのバイオマスウレタン樹脂
車載・電子部品の信頼性を高める、高バイオマスウレタン樹脂
サンユレックは、家電分野で培った高バイオマス度製品の実績と長年の樹脂開発技術を活かし、環境負荷低減に貢献するバイオマスウレタン樹脂「SBMシリーズ」を開発しました。
SBMシリーズは、大手車載部品メーカーを中心に高まる環境配慮型材料へのニーズに応え、従来の車載用樹脂に求められる低応力や耐ヒートサイクル性といった厳しい性能を維持しつつ、硬化物中のバイオマス度を最大80%まで高めています。
電気・電子基板の防湿・絶縁保護に加えて、SDGsへの貢献を両立させたいお客様のニーズに応える、新しい選択肢です。
目次
バイオマスウレタン樹脂の特長
バイオマス原料で環境負荷を低減
バイオマスウレタン樹脂・SBMシリーズは、硬化後の樹脂中で最大80%のバイオマス度を実現しています。
ここでいうバイオマス度とは、二液性ウレタン樹脂を構成する原料のうち、バイオマス由来の成分が占める割合を指します。バイオマス原料を積極的に配合することで、環境負荷を大きく低減した高い環境性能を備えています。

バイオマスウレタン樹脂とは、生物資源を利用した環境にやさしいウレタン樹脂です。
低応力・低弾性による部品保護
バイオマスウレタン樹脂・SBMシリーズは弾性率が低く、硬化後も柔軟性を保つため、温度変化による基板や部品の膨張・収縮で発生する応力を吸収できます。その結果、部品への負荷を抑え、製品の長期的な信頼性向上に寄与します。

厳しい環境に対応する耐ヒートサイクル性
バイオマスウレタン樹脂・SBMシリーズはガラス転移温度(Tg)が低いため、-40℃以下の低温でも柔軟性を保ちます。
厳しい温度変化を繰り返す車載用途のヒートサイクル試験にも対応でき、極端な温度環境にさらされる自動車部品や産業機器に適しています。
生産効率に貢献する常温速硬化性
ウレタン樹脂は常温で硬化しますが、特定のグレード(SBM-3)は硬化速度が速く設定されています。
常温で迅速に硬化することで、硬化時の電力使用量を削減でき、製造プロセスにおけるエネルギーコストの低減に貢献します。
シリコン樹脂・エポキシ樹脂との比較
シリコン樹脂との比較
シリコン樹脂は電子部品の保護材として高い耐熱性を持つ一方、透湿性が高いため防湿性に劣り、水分の侵入による不具合が生じやすいという課題があります。
さらに、シリコンに含まれる低分子シロキサンという成分が接点不良を引き起こす可能性があり、一部の自動車メーカーでは使用が制限されています。
これに対してサンユレックのウレタン樹脂は、防湿性と柔軟性を兼ね備え、低分子シロキサンによる接点障害のリスクを回避できます。
| ウレタン樹脂 | シリコン樹脂 | |
|---|---|---|
| 耐熱性 | 中程度 | 高い |
| 透湿性 | 低い (防湿性に優れ、水分侵入を防ぐ) |
高い (防湿性は低く、水分を通しやすい) |
| 絶縁性 | 良好 | 良好 |
| 接着性 | 基板や部品への密着性が高い | 低い |
| 主な用途 | 制御基板、センサー部品、家電、車載部品など | 屋外部品、耐熱部品、医療機器、航空用途など |
エポキシ樹脂との比較
エポキシ樹脂はウレタン樹脂に比べて耐熱性や強度に優れますが、硬化物の熱応力が高いこと、クラックが発生するなどの課題があり、基板搭載のユニットへの利用には向いていません。
これに対しウレタン樹脂は、低弾性かつ低応力の特性により、基板上のデリケートな電子部品へのストレスを最小限に抑えることができます。
| ウレタン樹脂 | エポキシ樹脂 | |
|---|---|---|
| 耐熱性 | 中程度 | 高い |
| 強度・硬度 | 低弾性・柔軟 (応力を吸収、基板に追従しやすい) |
高硬度・高強度 (硬化後はカチカチに固まる) |
| 透湿性 | 低い (透湿度が低く、水分侵入を防ぐ) |
低い (透湿度が低く、水分侵入を防ぐ) |
| 絶縁性 | 良好 | 優れる |
| 接着性 | 基板・部品に柔軟に密着 | 強力な接着性 (構造材や封止材に利用される) |
| 主な用途 | 基板防湿、センサー封止、家電、車載部品など | コイル部品、コンデンサ、接着剤など |
SBMシリーズ 製品ラインナップ
SBMシリーズは、車載実績のある製品と同等レベルの特性を有しているバイオマスウレタン樹脂です。お客様の用途に合わせて、硬化物中のバイオマス度が異なる複数のグレードをラインナップしています。

- SBM-1は従来の車載実績品と同等レベルの耐久性を示す。
- SBM-2はさらに長時間にわたり硬度を維持し、耐加水分解性に優れる。
→ SBMシリーズは車載実績品と同等以上の耐久性を有していることがわかります。

- 低温領域でも柔軟性を維持するため、基板等内部部品への応力が小さい。
- SBM-1は従来品に比べ、低温域でより柔らかい挙動。
- SBM-4は従来品に近い特性を示しつつ、幅広い温度域で安定。
→ SBMシリーズは温度変化に対して柔軟性と安定性を両立できることがわかります。
SBM-1
主に電子部品用の基板の防水・絶縁を目的としたポッティング(樹脂を基板のあるケースに流し込むこと)用で、高バイオマス度(80%)の製品です。
| バイオマス度 | 80% |
|---|---|
| 特徴 | 高バイオマス度 |
| 配合粘度 | 940mPa・s |
| 硬度A | 25 |
| 指触硬化時間 | 25min(80℃) |
| ガラス転移温度 | -50℃ |
| 難燃性 | HB相当 |
SBM-2
バイオマス度65%を有し、耐加水分解性に優れます。
| バイオマス度 | 65% |
|---|---|
| 特徴 | 耐加水分解性 |
| 配合粘度 | 1,600mPa・s |
| 硬度A | 50 |
| 指触硬化時間 | 20min(80℃) |
| ガラス転移温度 | -40℃ |
| 難燃性 | HB相当 |
SBM-3
硬化性を高めたタイプで常温硬化可能です。省電力化が狙えます。
| バイオマス度 | 65% |
|---|---|
| 特徴 | 速硬化 |
| 配合粘度 | 2,100mPa・s |
| 硬度A | 52 |
| 指触硬化時間 | 30min(23℃) |
| ガラス転移温度 | -40℃ |
| 難燃性 | HB相当 |
SBM-4
難燃性(V-0 3mm相当)、低ガラス転移温度が特徴の製品です。
| バイオマス度 | 20% |
|---|---|
| 特徴 | 難燃性 |
| 配合粘度 | 4,500mPa・s |
| 硬度A | 55 |
| 指触硬化時間 | 17min(80℃) |
| ガラス転移温度 | -60℃ |
| 難燃性 | V-0(3mm)相当 |
サンユレックの強み
少量からのカスタマイズが可能
サンユレックは、お客様のご要望・要求仕様に合わせた製品を少量からカスタマイズできることを強みとしています。
大手メーカーが既存ラインナップからの選択を基本とするのに対し、当社は粘度・硬度・放熱性などをお客様のニーズに応じて柔軟にきめ細かく調整し、最適な配合を提供します。

総合的な技術サポート体制
樹脂そのものの提供に加え、正確に扱うための技術サポートも行っています。
液状樹脂は、所定の性能を発揮するために正確な計量・混合・塗布が不可欠です。サンユレックでは、社内に専用の塗布装置テスト機を常備しており、お客様の生産ラインに合わせたテストや最適な使用方法の提案が可能です。
接着・防水・絶縁といった課題解決を含め、安定した製品製造をトータルで支援します。
自動車産業における信頼と実績
サンユレックは、自動車産業向けの国際的な品質マネジメント規格である、IATF16949認証を取得しています。これは樹脂メーカーとしては稀な国際規格の取得であり、自動車用途に対応した品質管理体制が確立されていることを示すものです。
ECUやキーレスセンサー、コーナーセンサーなど幅広い車載部品での採用実績が、サンユレックの高い信頼性を裏付けています。

サンユレックについて
事業内容
サンユレックは、お客様のニーズに合わせて樹脂を研究・開発・製造する配合樹脂メーカーです。「合成樹脂のエキスパート」として50年以上にわたり、数多くの製品開発課題を解決してきました。
少量多品種生産を得意とし、先端のエレクトロニクス分野から建設・土木分野まで幅広い用途に対応する樹脂を開発。電気・電子材料、半導体材料、建設・工業材料、複合材料の4分野で事業を展開しています。
さらに、高度な開発力と柔軟な発想を活かし、合成樹脂の新たな可能性やビジネスチャンスの創出にも取り組んでいます。
拠点展開
本社・工場は大阪府高槻市にあり、東京にも営業所があります。
海外にも積極的に事業を展開しており、中国(上海)とマレーシアに生産子会社を、タイ、インド、イタリア、韓国に販売・駐在拠点を有しています。


会社概要

| 所在地 | 〒569-8558 大阪府高槻市道鵜町3丁目5番1号 |
|---|---|
| 設立年月 | 1963年9月 |
| URL | https://www.sanyu-rec.jp/ |