島津製作所の回折格子
低ノイズかつ高効率を実現。高品質な回折格子を安定供給
分光分析においては、特定波長の光を正確かつ効率よく取り出すことが重要です。島津製作所の回折格子は、ホログラフィック技術とエッチング工程の最適化により、迷光を抑えつつ高い効率で特定波長の光を取り出すことができます。また、豊富なラインアップと高いレプリカ製造技術により、高品質な回折格子をお客様へお届けします。
島津製作所では、回折格子の提供の他、光学配置設計、分光器のご提案も行っております。「分光」に関するお悩みは、島津製作所にお問い合わせください。
目次
島津製作所の回折格子が選ばれる理由
豊富なラインアップと柔軟なカスタマイズ
平面や凹面といった形状から、軟X線〜近赤外までの広い波長範囲に対応しています。まずは標準品でテストしたい、というお客様のご要望に対しスピーディにお応えします。標準品のラインアップでは合わなかったという場合でも、お客様のご要望に合わせて特注品の製作を承ります。

特定波長における高い回折効率
溝の断面形状が鋸歯状である回折格子(ブレーズド回折格子)により、特定の次数と波長に対して高い回折効率を得ることができます。

迷光が少ない(ノイズが少ない)
分光分野では、透過率の差や特定波長以外の光など、微少な光を正確に検出することが重要です。島津製作所は、ホログラフィック露光法により、迷光(ノイズ)が極めて少ない回折格子を実現しました。

安定供給
ガラス基板上に樹脂製の回折格子溝を施したレプリカ品は、品質の安定した回折格子を低コストで供給可能です。島津製作所は、自社の分析装置向けにも部品供給を行っており、その高いレプリカ製造技術が品質安定化にも貢献しています。

島津製作所独自の製造技術
マスタ製作工程
島津製作所のマスタ製作工程は、レーザの2光束干渉を利用したホログラフィック露光法です。この方法で製作されたホログラフィック回折格子は、迷光が極めて少ないという特長を持っています。
さらに、理化学研究所との共同研究を通じて確立したイオンビームエッチング法により、従来の機械刻線回折格子と同等の回折効率を持ちながらも迷光が少ない、ブレーズドホログラフィック回折格子の製造に世界で初めて成功しました。

レプリカ工程
島津製作所の回折格子は、マスタから複製したレプリカ品が基本です。ガラス基板上に樹脂製の回折格子溝を形成し、アルミなどの反射膜をコーティングしています。
溝が樹脂で形成されているため、高温高湿下での取り扱いには注意が必要ですが、マスタと比較して安価に製作することができます。

製品ラインアップ
島津製作所では、「凹面回折格子・トロイダル回折格子」、「平面回折格子」、「真空紫外・軟X線領域用回折格子」を提供しています。
凹面回折格子・トロイダル回折格子
独自の露光法で収差補正を行い、非常に優れた結像性能を持った回折格子です。ポリクロ用やモノクロ用、非点収差をより補正したトロイダル回折格子もラインアップしています。
- 用途:食品分析、医療、診断(生化学検査)など
- 溝本数 (本/mm):100 ~ 2400
- 公称ブレーズ波長 (nm):200 ~ 2000
- 外形サイズ (mm) (W× D × T):20×20×5 ~ 70×70×11.3
| 凹面ブレーズド ホログラフィック 回折格子 |
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凹面鏡などの結像素子を用いずに分光光学系を構成できる凹面回折格子です。各種分析機器をはじめ、光通信、バイオ、メディカル機器などの広い分野で用いられています。 |
|---|---|---|
| 等間隔直線溝 トロイダル回折格子 |
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微弱光での検出を必要とされている用途向けの高機能凹面回折格子です。 |
| 等間隔直線溝 小形凹面回折格子 |
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凹面鏡などの結像素子を用いずに分光光学系を構成できる凹面回折格子です。等間隔直線溝により分光配置の設計自由度が高く、小型分光器用途に適しています。 |
平面回折格子
溝の周期誤差による迷光が少なく、かつ特定の波長域で高い回折効率を持った回折格子です。迷光値を保証した低迷光回折格子、レーザー用や光通信用の回折格子もラインアップしています。
- 用途:分析計測、光通信、レーザー・半導体 など
- 溝本数 (本/mm):100 ~ 5000
- 公称ブレーズ波長 (nm):200 ~ 2400
- 外形サイズ (mm) (W× D × T):6×6×3 ~ 80×80×11.3
| 平面ブレーズド ホログラフィック 回折格子 |
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迷光が少なく、かつ特定の波長域で高い回折効率を持った平面回折格子です。高い光学的分解能を必要とする用途に適しています。 |
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| 低迷光回折格子 [ローレライ® ] |
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当社独自のレーザ式迷光測定方法により、0次光と+1次光中間位置での回折格子の迷光値を保証した低迷光回折格子です。 |
| レーザ用回折格子 LAシリーズ |
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外部共振器やパルス圧縮、パルス伸長といった各種レーザ用途向けの回折格子です。 |
| 近赤外S偏光 高効率回折格子 |
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近赤外光(波長範囲700~1,700nm)を高精度で分光する回折格子です。フェムト秒レーザに用いられるパルス圧縮・伸長用や光スペアナなどの用途に適しています。 |
| 光伝送機器モジュール用 回折格子 |
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近赤外領域のTM偏光で高い相対回折効率を持つ回折格子です。光通信用受動光学素子に要求される信頼性試験規格「テルコーディア規格GR-1221-CORE」に準拠した試験に合格しています。 |
| 高分解能分光器用 回折格子 |
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高密度な格子溝を形成することで、低迷光かつ高分解能を実現した回折格子です。真空紫外・紫外領域での高分解能分光器に適しています。 |
真空紫外・軟X線領域用回折格子
軟X線領域で反射率が大きいラミナー形状で、他形状より高次光の少ない回折格子です。回折格子の基板に直接刻線する、高耐久かつ高寿命なマスター回折格子の提供も可能です。
- 用途:VUV / XUV / 軟X線 用分光器、放射光施設 など
- 溝本数 (本/mm):120 ~ 3600
- 公称ブレーズ波長 (nm):0.6 ~ 200
- 外形サイズ (mm) (W× D × T):50×30×10 ~ 70×40×12
| ラミナー型 回折格子 |
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特注対応のラミナー型回折格子です。合成石英などのブランクに直接刻線されているため、レプリカ品に比べて高耐久かつ高寿命です。 |
|---|---|---|
| ラミナー型 レプリカ回折格子 |
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ラミナー型回折格子のレプリカ品です。マスタのラミナー型回折格子と比較して安価に製作することができます。 |
アプリケーション
島津製作所の回折格子は、各種装置の部品から大学・研究機関における研究用途まで、幅広く使用されています。
- 光波長選択スイッチ
- 糖酸度計
- 光スペクトラムアナライザ
- エッチング装置・蒸着装置
- 生化学分析装置
導入事例
生化学分析装置
生化学分析装置の組立検査時に、分光器が原因で測定精度が不合格となる問題が発生していました。調査の結果、特定の波長の光を測定する際に、不要な波長の光(迷光)が混入することが精度低下の原因であり、回折格子の品質のばらつきが影響していると判明しました。
| 回折格子 |
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|---|---|
| 島津製作所の回折格子を 選んだ結果 |
低迷光な島津回折格子を採用した結果、生化学分析装置の測定精度の問題を解消することができました。不適合品の発生が抑制され、回折格子の交換作業も不要になったことで、作業時間とコストの削減に貢献しました。 |
光分析装置
光分析装置の組立工程において、迷光や測光レンジの検査で不合格となることがあり、組立などの手戻りが発生し、余計なコストがかかっていました。調査の結果、不合格の原因は回折格子の個体差によるものだと判明しました。
| 回折格子 |
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|---|---|
| 島津製作所の回折格子を 選んだ結果 |
迷光が少なく回折効率が高い島津製作所の回折格子を採用したことで、組立工程での手戻りがなくなりました。これによりコストが削減されただけでなく、光分析装置そのものの品質安定性と測定精度の向上も実現しました。生産現場からも喜びの声が上がっており、別の製品への展開も検討されています。 |
波長可変半導体レーザー
波長可変半導体レーザーの組立調整時に、十分な出力が得られないという問題が発生していました。調査の結果、キーパーツである回折格子の特性にばらつきがあることが原因だと考えられていました。
| 回折格子 |
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|---|---|
| 島津製作所の回折格子を 選んだ結果 |
原因を特定し、仕様として明確化することで、レーザー出力の低下の問題を根本的に解決できました。波長可変半導体レーザーの出力異常が発生しなくなり、工場の方々にも喜んでいただけました。島津の回折格子は、回折効率に加え回折波面精度も安定しているため、「安心して製品に搭載することができる」とご評価いただけています。 |
光伝送機器モジュール
光伝送機器モジュールを開発する中で、評価していた回折格子のコーティングが剥離してしまう問題が発生し、開発が停滞していました。光通信業界で求められる高い耐環境性を満たす回折格子が見つからないことが課題でした。
| 回折格子 |
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|---|---|
| 島津製作所の回折格子を 選んだ結果 |
島津の光伝送機器モジュール用回折格子は、「テルコーディア規格 GR-1221-CORE」に準拠した高温高湿試験、低温試験、および温度サイクル試験を実施し、合格しています。耐環境性に優れた島津回折格子を採用した結果、コーティング剥離などの不具合は解消され、長期信頼性に優れた光伝送機器モジュールを開発することができました。また、回折格子を安定して入手できる点も好評です。 |
高次高調波用分光器(東京大学)
東京大学の岩崎教授・本山助教らのチームが、高次高調波発生装置を自作する際の分光器のキーパーツとして採用しました。高次高調波は、高強度なフェムト秒レーザーパルスを気体中に集光した際に発生する光で、実験室レベルの小型装置で発生させることができます。
| 回折格子 |
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|---|---|
| 島津製作所の回折格子を 選んだ結果 |
島津製作所の回折格子は、多様なサイズが揃っており、研究で使用する全波長域をカバーしています。さらに、波長範囲を微調整したい場合には、最適な取付条件や配置設計を提案することが可能です。 また、レプリカ回折格子の提供により、高精度の回折格子を低価格で安定的に入手できる点も評価されています。重要なキーパーツが安定して供給されることで、安心して研究を継続できる環境を実現しています。 |
島津製作所の分光ソリューション
島津製作所デバイス部では、お客様のご要望に応じた幅広い分光ソリューションを提供しています。回折格子の提供の他、光学配置設計、分光器の特注・カスタマイズのご提案も行っております。「分光」に関するお悩みは、島津製作所にお問い合わせください。
分光器でお困りの方へ
- 「やりたいことに合う装置が見つからない」
- 「特注仕様の調整に時間がかかる」
- 「頻繁なモデルチェンジ対応に追われている」
このようなお客様の課題にお応えします。高いカスタマイズ性を備えたベース機をもとに、用途や条件に最適な設計をスピーディーに実現します。
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株式会社島津製作所について
島津製作所が提供する分析・計測機器や産業機器、航空関連機器は、多くの産業分野で広く採用いただき、お客様の事業を通して社会の安全、安心を守り、利便性を向上させる役割を果たしています。また、医療機関における診断、治療、健康測定や、新薬の開発を支援する機器は、健康な日々を過ごしたいという人々の願いを支える大切な役割を担っています。
島津製作所の主要製品

機器の高性能化を支える光学技術
島津製作所では、光分析、レーザ加工機/発振器、光通信、医療・診断、食品分析など、さまざまな分野に適用可能な光学製品を自社開発しています。自社開発を通して培った豊富な知識と技術を活かし、お客様のご要望に応じた幅広い分光ソリューションを提供しています。「分光」に関するお悩みは、島津製作所にお問い合わせください。
会社概要

| 所在地 | 〒604-8511 京都府京都市中京区西ノ京桑原町1番地 |
|---|---|
| 設立年月 | 1917年9月 |
| URL |
島津製作所 企業サイトTOP 光学素子/分光機器/屈折計 |










