スムーズフローポンプ | 脈動のない連続一定流を実現する定量ポンプ
脈動・液漏れ・異物混入のない連続一定流で、高精度な送液を実現
スムーズフローポンプは独自の機構により、ダイヤフラム式でありながら脈動のない連続一定流を実現した定量ポンプです。摺動部がない構造のため、異物混入や液漏れのリスクがなく、移送・供給にも優れた性能を発揮します。同機構でラボ用からベンチスケール、プロセスまで対応でき、スケールアップも容易です。
株式会社タクミナ(以下、タクミナ)は、お客様一人ひとりの課題に徹底して寄り添い、流体移送の問題を根本から解決する「流体ソリューション」を提供します。
目次
スムーズフローポンプの特長
脈動がない
高精密等速度カムを採用した独自の機構により脈動のない連続一定流を実現。高精度な流量制御が求められる生産ラインや、液体の品質を均一に保ちたいプロセスにおいて大きなメリットをもたらします。
異物混入がない
ポンプ内部には、部品同士が擦れ合う「摺動部」がなく、摩耗による削りカスなどの異物が混入する心配がありません。また、洗浄性が高く、液替えを行う用途でもクロスコンタミのリスクを最小限に抑えます。医薬品や食品、電子材料などの移送にも最適です。
液漏れがない
メカニカルシールがない完全密閉構造により、液漏れのリスクがありません。これにより、高価な薬液や危険な液体も安全かつ無駄なく移送することが可能です。他方式のポンプでは液漏れが発生する場合がありますが、スムーズフローポンプはそのような心配がなく、工場のクリーンな環境維持にも貢献します。
スラリーに強い
スラリー液の移送を得意とします。摺動部がないため、スラリーによってポンプ内部が摩耗したり、粒子が噛み込んで詰まったりするトラブルが発生しにくい構造。流体をかき回したり、局部的に過大な圧力をかけない機構なので、せん断、摩耗、温度による液質変化の心配がありません。
TCOに優れている
太い配管や補器類が不要で設備コストが抑えられるだけでなく、分解・メンテナンスが簡単な設計で保守点検にかかる負担も軽減できます。初期導入費用だけでなく、ランニングコストを削減し、トータルコストで貢献します。
活用分野
最先端のプロセスから身近なインフラまで、幅広い分野で高度なニーズに対応しています。
活用分野 |
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スムーズフローポンプの解決事例
塗工・コーター
脈動のない精密な連続一定流で塗工液を供給できるため、光学機能フィルムやリチウムイオン電池の電極材(正極材、負極材)などで、高品質かつ均一な塗膜を実現します。液体に不要な力をかけないため、液のゲル化や異物の発生も防ぎ、製品の歩留まり向上に貢献します。
- 光学機能フィルム(UV硬化樹脂)
- 静電容量式タッチパネル材料(銀ナノスラリー)
- グリーンシート(チタン酸バリウムスラリー)
- 正極材、負極材
- セパレーター
PVA⽔溶液+シリカスラリーetc
お客様事例
課題・改善要望 | リチウムイオン電池の負極材塗布工程において、ポンプの性能が品質安定化のボトルネックとなっています。 現在使用している回転容積式ポンプは、長時間の運転で流量低下や脈動が発生します。全量塗工方式のダイコーターを採用しているため、このポンプの不安定さが直接的に塗工品質の悪化を招いています。 この問題を解決し、高品質な製品を安定して生産するため、長期間にわたり高精度な送液を維持できるポンプを求めています。 |
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タクミナの ソリューション |
移送液の粒子による摩耗に強い摺動部レスのスムーズフローポンプを採用したことで、脈動のない精密な送液を長期間維持し、均一な膜厚の塗工を実現しました。 |
フィルトレーション
圧力変動がないため、フィルターの目開きや目詰まりを防ぎ、安定した濾過(ろか)プロセスを実現します 。スラリー液やレジスト液などの濾過において、ゲル化や異物混入のリスクを低減し、フィルターの長寿命化にも貢献します。ポンプのサクション側から加圧して残液を回収することもでき、材料ロスを削減します。
- スラリー全般
- チタン酸バリウム
- ニッケルスラリー
- レジスト液
- 珪藻⼟スラリー(ボディーフィード⽤)etc
お客様事例
課題・改善要望 | 今使っているポンプでは、フィルトレーション工程で、フィルターが目開きして異物が通過したり、目詰まりによる流量低下が発生して困っています。 |
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タクミナの ソリューション |
スムーズフローポンプは脈動がない連続一定流なので、フィルターの性能を長期保持します。圧力変動によるフィルターの「目開き」を防ぐことができ、異物を確実に捕捉します。 |
ビーズミル
連続一定流でスラリーを安定供給できるため、分散機内でのビーズの偏りを抑制します。これにより、過分散やメディアの摩耗といったトラブルを防ぎ、電子材料(チタン酸バリウム、フェライトなど)や導電助剤(CNT)の微細で均一な分散を実現します。
- スラリー全般
- チタン酸バリウム
- フェライト
- ニッケル
- 正極材、負極材
- 導電助剤(CNTなど)etc
お客様事例
課題・改善要望 | ビーズミルへの負極材スラリー供給において、従来のポンプはビーズの噛み込みによる故障、スラリー中の粒子による部品の早期摩耗、そして洗浄性の悪さという課題を抱えていました。 |
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タクミナの ソリューション |
軸封部がないスムーズフローポンプを採用したことで、ビーズの噛み込みの心配がなくなり、また摺動部がないことにより摩耗が少なくなりました。 インライン洗浄が可能なため接液部の分解・洗浄も簡単でメンテナンスの負担が大幅に削減され、安定稼働が実現しました。 |
噴霧・塗装
圧力変動が極めて少ないため、塗料や離型剤、調味料などを常に安定した流量で噴霧・塗布できます。特に、1分間に数ミリリットルといった微小流量域でも高い安定性を発揮し、精密なコーティングや塗装品質の向上に貢献します。
- 醤油調味料
- 塗料
- 離型剤
- 糖⾐
- タングステン
- スラリー全般etc
お客様事例
課題・改善要望 | 自動車部品の塗装工程において、使用中のプランジャポンプはスラリーによる摩耗での液漏れや脈動による塗膜ムラの問題を抱え、一方で代替の回転式ポンプもせん断による色味変動のため使用できない状況でした。 |
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タクミナの ソリューション |
摺動部がなく低せん断なスムーズフローポンプを採用したことで、液漏れや色味変動の問題を解消し、脈動のない連続一定流で均一な塗膜を実現しました。 |
流体ソリューションの流れ
タクミナでは単に製品を販売するだけではなく、お客様の課題を根本から解決するためのソリューションを提供しています。まずはお客様の課題を詳細にヒアリングし、流体ソリューションセンターで実際の流体を高度な解析技術を使って分析します。そのデータに基づき、お客様の実際のプロセスを再現した環境で実液試験を行い、最適なポンプやシステムをご提案。ご納得いただいた上で、お客様ごとに最適な仕様でお届けします。
流体コンサルティング
流体移送のトラブル解決や不安を解消する流体分析をあらゆる視点で実施。これまでの知識・経験・ノウハウを活かし、プロセス全体を見据えた最適な流体移送のご提案をいたします。
製品提供
お客様の実液とプロセスを理解した上で最適なポンプおよび周辺機器をご用意。さらにお客様の条件に適合する「TCO(トータルコスト)」を抑えた移送システムを設計いたします。
製品ラインアップ
お客様のあらゆる流体、あらゆるプロセスの課題を解決するため、多彩なラインアップをご用意しています。ベースとなる機種を基に、お客様の「こんなことがしたい」というご要望に合わせて最適な仕様に設計し、ご提案します。
TPL - 高精密
- 超精密供給
- 脈動率±1%未満、再現精度±0.1%未満
- サイドオープン方式ヘッドで、日々の点検が容易
APL/APLS - 中容量
- 対向ダイヤフラム機構採用により、大容量でもボディはコンパクト
- 20,000mPa・sまでの粘性液、0~60℃の液温に対応
- HACCP対応。分解・洗浄もカンタンなサニタリー仕様(APLS)
XPL - コンパクト
- コンパクトボディで、設置スペースを削減
- 分解・メンテナンスがカンタン
- 0.009L/min~2.7L/minの移送・供給に
BPL - ワイドレンジ
- 装置に組み込みやすい小型・軽量ボディ
- シンプル構造で優れたコストパフォーマンス
- 0.05L/min~80L/minの移送・供給に
PL - フレキシブル
- 直動・油圧・プランジャを揃え、用途に合わせて選定
- 耐久性にも優れ、プロセスのハードな使用に最適
- シンプル機構で、部品交換・メンテナンスもカンタン
VPL - 高粘度
- 300,000mPa・sを超える高粘度液にも対応
- 接液部に摺動部がないため移送液を変質させず、また異物混入リスクを低減
GPL - 大流量
- 15~150L/minの流量制御。最大300L/minまで可能
- 大流量のスラリー液、高粘度液にも対応
- 摩耗に強く安定移送
HPL - 高圧
- 15~150L/minの流量制御。最大300L/minまで可能
- 大流量のスラリー液、高粘度液にも対応
- 摩耗に強く安定移送
Q - 微小量
- 5μL/min~の高精度送液が可能
- 電源コード付きで電気工事不要
- 操作パネルで流量設定が感覚的に行える
流体ソリューションセンター
お客様の課題解決を強力にサポートするため、兵庫県朝来市と神奈川県横浜市に「流体ソリューションセンター」を設置しています。最新の分析装置を備え、お客様が実際に使用される流体を詳細に分析し、客観的なデータに基づき検証。実際の使用条件を再現したテストも可能で、導入前に性能を確かめ、確信をもってご採用いただけます。
流体試験
所在地
朝来LAB | 〒679-3311 兵庫県朝来市生野町真弓373-95 |
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横浜LAB | 〒240-0005 横浜市保土ケ谷区神戸町134番地 横浜ビジネスパーク テクニカルセンター1階 |
移動式研修施設「ポンプ道場」
デモ機を搭載したトラック、「ポンプ道場」・「ポンプ道場ミニ」もご用意しています。お客様の工場やオフィスを訪問し、ポンプの実演をさせていただくことが可能です。
株式会社タクミナについて
「これは無理だ」という困りごと。「これは厳しい」という問題。お客様が抱える難しい課題が、これまでのタクミナのポンプ技術をつくってきました。難しい課題に直面した時こそ、おもてなしの心で、お客様にとことん寄りそう。タクミナは、あらゆる課題を歓迎する、「流体ソリューション」の会社です。
高機能フィルム、二次電池、電子材料やフロー合成などの最先端のプロセスから、水処理のような身近なインフラまで幅広い分野で、お客様に役立つソリューションを提供しています。
会社概要
所在地 | 〒541-0047 大阪市中央区淡路町2-2-14 Daiwa北浜ビル10階 |
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設立年月 | 1956年11月 |
URL | https://www.tacmina.co.jp/ |