ペルトゲージ PELT® Gauge| 非破壊超音波膜厚計
多層膜の厚さを非破壊で測定するソリューション
BYK-Gardner社(以下、BYK)の超音波膜厚計「ペルトゲージ PELT® Gauge」は、超音波の原理を利用した画期的な膜厚計です。これまで困難とされてきた、塗装など多層膜の各層の厚さを、非破壊で一度に測定できるソリューションを提供します。金属はもちろん、プラスチックやカーボンファイバーといった多様な素材の上で測定が可能です。
株式会社テツタニは、BYKの日本国内における総代理店として、製品の輸入販売から、国内のISO認定ラボによる修理・校正、アフターメンテナンスまで一貫したサービスを提供し、お客様の品質管理と生産性向上に貢献します。
目次
超音波膜厚計「ペルトゲージ PELT® Gauge」の特長
音響顕微鏡技術
ペルトゲージ PELT® Gaugeは、非常に高周波の超短パルス超音波を利用する「音響顕微鏡」です。プローブから発信された超音波が塗装の各層の境界面で反射し、そのエコーを捉えることで、あたかも顕微鏡で断面を見るかのように各層を可視化します。この技術により、塗膜を破壊することなく、各層の厚さを正確に測定することが可能になります。
- トランスデューサ/プローブ面とフレックスキャップの間にグリセリンを追加します。
- 表面に水を噴霧して接触媒質として作用させます。
- トランスデューサを濡れた表面に置くと、超音波信号が塗装層を貫通します。
- 各層の境界/界面でエコーが生成されます。
- 返ってきたエコーはデジタル化され、PELT画面に表示されます。
高レベルの分解能
ペルトゲージ PELT® Gaugeは、BYKが自社で製造する独自の高周波トランスデューサ(センサー)技術によって、高い分解能を実現しています。他社製品では識別が難しいとされる、材料組成が近い隣接層や、5µm程度の非常に薄い層も明確に分解して測定することが可能です。
- 最大5mmの厚い層に対応する低周波トランスデューサ
- 18~500µm層用中周波トランスデューサ
- 5µmまでの薄層用高周波トランスデューサ
多様な基材に対応
従来の電磁式膜厚計では測定が金属基材に限られていましたが、ペルトゲージ PELT® Gaugeは超音波技術を用いることで、金属(鉄、アルミ)はもちろん、プラスチック、カーボンファイバー、ゴム、ガラス、木材といったあらゆる基材上のコーティングを測定できます。また、測定する基材が変わっても、ひとつのセンサー(トランスデューサ)で対応可能であり、交換の手間がかかりません。
- スチール
- 炭素繊維
- アルミニウム
- ゴム
- 複合材料
- ガラス
- プラスチック
- 木材
幅広い測定アプリケーション
自動車塗装の膜厚測定
自動車の塗装品質において、各塗装層の厚さは耐久性や色の調和、外観の美しさを左右する重要な要素です。ペルトゲージ PELT® Gaugeは、電着塗装(Eコート)からプライマー、ベースコート、クリアコートまで、多層にわたる塗装の膜厚を非破壊で正確に管理できます。これにより、品質を確保しつつ、塗料の過剰使用によるコスト増を防ぐことにも貢献します。
自動車プラスチック部品の塗装膜厚測定
バンパーなどの自動車用プラスチック部品の膜厚測定は、従来、破壊検査に頼らざるを得ませんでした。ペルトゲージ PELT® Gaugeの高周波トランスデューサ技術は、こうしたプラスチック基材上の多層膜厚測定を非破壊で実現します。薄い密着促進層なども明確に検出できるため、テスト部品を廃棄する必要がなくなり、検査の時間とコストを大幅に削減できます。
輸送コンテナの膜厚測定
海上輸送コンテナでは、海水による腐食を防ぐための亜鉛保護層の膜厚管理が極めて重要です。ペルトゲージ PELT® Gaugeは、ブラスト処理された粗い基材のような測定が難しいとされる表面でも、正確に膜厚を測定できるよう簡単に設定できます。海外では、コンテナのメンテナンスにおける品質管理ツールとして活用されています。
風力タービンブレードの膜厚測定
風力タービンのブレードは、天候の影響から長期にわたり保護するため、非常に厚いコーティングが施されています。ペルトゲージ PELT® Gaugeには、このような厚膜や、超音波が減衰しやすい特殊なコーティング層の測定に特化したモデルも用意されています。ブレードの先端から根元まで、幅広い膜厚範囲を1台で正確に測定することが可能です。
測定原理
ペルトゲージ PELT® Gaugeの測定は、「距離=速度×時間」という物理法則に基づいています。まず、測定対象となる塗料の各層(クリア層、ベース層など)の音速データを、あらかじめ本体に校正データとして登録しておきます。測定時には、トランスデューサから発信された超音波が塗膜を通過し、各層の境界面で反射して戻ってくるまでの時間を計測。この「時間」と登録済みの「速度」を掛け合わせることで、各層の厚さ(距離)をミクロン単位で算出・表示します。
膜厚 | 速度* 時間/2 |
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速度 | コーティングのキャリブレーションによって決定されます |
時間 | PELTによって測定されます |
製品ラインアップ
BYK-μPELT-3
測定する層が3層までに限定される場合に適した、コストパフォーマンスの高いモデルです。μPELT-5と同様に、あらゆる基材に対応し、高解像度な測定能力を備えています。基本的な機能を抑えつつ、導入コストを重視するお客様に最適です。
特長 |
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適合トランスデューサ |
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BYK-μPELT-3H
最大3層測定に対応した高エネルギーパルサー搭載モデルです。厚膜や柔軟なコーティングの測定に優れており、ブラスト処理された基材やテクスチャーのある表面にも適用可能です。測定範囲は最大15mmまで対応します。
特長 |
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適合トランスデューサ |
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BYK-μPELT-5
最大5層までの多層膜厚測定に対応するベーシックモデルです。あらゆる基材の測定が可能で、特に自動車業界で最も多く導入されている実績のある製品です。高解像度が求められる薄膜測定に最適化されており、幅広い用途をカバーします。
特長 |
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適合トランスデューサ |
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BYK-μPELT-5+
風力発電のブレードやコンテナなど、通常よりも厚いコーティング(ミリ単位)の測定を目的とした高エネルギーパルサー搭載モデルです。μPELT-5+は、薄膜測定用の低エネルギーと厚膜測定用の高エネルギーの両方を切り替えられるデュアルパルサーを搭載した最上位モデルで、5層までの測定が可能です。
特長 |
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適合トランスデューサ |
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株式会社テツタニについて
高精度な測定器の販売と修理・校正サービス
当社は2014年からBYK-Gardner社(BYK)の日本総代理店として各種測定機器の輸入・販売をスタートしました。顔料・樹脂物性評価から塗膜形成の色彩・物性をはじめ、さまざまな物質の表面特性や物性を評価する測定器をご用意しています。平面から曲面のさまざまな表面状態の計測が可能です。光学的にうねりの明/暗パターンを測定する「ウェーブスキャン」も取り扱っています。
また、本社のテクニカルラボでは、国内サービス拠点として測定機器の修理・校正サービスを提供しています。校正室はドイツのBYKとネットワークで結び温湿度管理を徹底し、常に高いレベルの検査・校正を実施しています。なお、当テクニカルラボはISO 17025を取得しており、国際基準に則った校正証明書を発行可能です。
会社概要
所在地 | 〒540-0025 大阪市中央区徳井町2丁目2番2号 |
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設立年月日 | 1941年(昭和16年)10月 |
URL | https://www.tetsutani.co.jp/ |