冷却水流路測定用デジタル圧力計|データセンターのPUE改善につながる圧力損失測定
液体の微差圧を1台で高精度に捉える、データセンター省エネ運用を支える圧力計測
課題
液体を流す冷却回路で微小な圧力損失を高精度に測れる計測手段が限られています。
解決策
液体対応の差圧モデルと高感度センサにより、微差圧を1台で高精度に測定します。
期待効果
冷却電力の低減と運用効率向上に寄与する設計評価の高度化が期待できます。
冷却水流路測定用デジタル圧力計
データセンターの水冷式冷却システムは、多数のサーバーやネットワーク機器から発生する熱を冷却水回路で排熱することで、機器の安定稼働を支える重要なインフラです。冷却水回路は熱交換器、配管、冷却液を循環させるポンプなどで構成され、データセンターの規模や機器配置に応じた流路設計が求められます。
MT300差圧モデルは、液体にも対応する差圧測定器として、こうした冷却水回路の各部位で発生する圧力損失を1台で高確度に測定する用途で活用できます。冷却システムの開発・設計段階における流路評価や、運用中の冷却効率検証など、冷却水の微小な圧力変化を捉える測定基盤として位置づけられます。
冷却水回路の設計・評価における課題
クラウドサービスやAIの利用拡大を背景に、サーバーの処理能力と発熱量の拡大により、データセンターの消費電力は世界的に大きな注目を集めています。運用コスト全体に占める冷却電力の割合も無視できない水準にあり、水冷システムの採用や運用効率を示すPUEの改善など、冷却系の効率化が業界全体の課題となっています。
冷却電力の増大と運用効率
サーバー発熱量の拡大に伴い、冷却にかかる電力はデータセンター運用の大きなコスト要因となっています。冷却水を循環させるポンプの駆動電力など、冷却系の消費電力を抑える設計が、設備全体の電力使用効率向上のために強く求められています。
液体冷却回路の評価の難しさ
冷却水回路の効率化には、回路内で発生する圧力損失の正確な把握が不可欠です。しかし一般的な高精度圧力計は気体のみを対象とする製品が多く、液体の低圧域では精度が保証されないケースも見られ、冷却回路を詳しく評価できる計測手段が限られます。
省エネ設計に求められる計測精度
冷却水回路の効率改善では、配管径や流量条件を変えた際に生じるわずかな圧力変化を比較し、設計の良否を判断する必要があります。効率化が進むほど取り扱う圧力損失の絶対値は小さくなり、設計判断に耐える分解能と確度を備えた計測が一層重要になります。
デジタル圧力計 MT300による解決

1台で完結する差圧直接測定
MT300差圧モデルは、内蔵した1つのセンサで差圧(ΔP)を直接測定する方式を採用しています。2台の圧力計でそれぞれの圧力を測定して差分を計算する一般的な方式では、各センサの確度が累積するため(例:0.01%×2=0.02%)、差圧測定の確度は低下しがちです。1センサ方式では確度の累積が生じず、冷却水回路に接続する測定系をシンプルに構成できるため、省スペース化とデータ取得の効率化にもつながります。
液体・気体双方に対応する仕様
MT300差圧モデルは、測定流体として気体および液体(非可燃性・非爆発性・非毒性・非腐食性の流体)に対応します。レンジは1kPa/10kPa/130kPa/700kPaの4種類から選択でき、冷却水回路の規模や想定される圧力損失の大きさに応じて、適切なレンジと分解能を組み合わせられます。気体測定に限定されがちな高精度圧力計のなかで、液体系アプリケーションにも活用できる仕様を備えています。
横河独自のシリコンレゾナントセンサ
MT300には、横河独自開発のシリコンレゾナントセンサが搭載されています。シリコンウエハ上に形成された振動子に圧力をかけ、共振周波数の変化から圧力を検出する構造です。2つの振動子の固有振動数の差から圧力を求める差動方式により、周囲温度などの外部環境の影響を相殺し、小さい温度依存性と高い分解能を両立しています。圧力標準の国際比較用仲介器(トランスファースタンダード)としても採用されており、センサの長期安定性を裏付けています。
微小な圧力損失の高精度把握
最小レンジの1kPa差圧モデルでは、表示分解能0.00001kPa、相対確度±(0.01% of reading + 0.00025kPa)という細かな測定条件を備えています。冷却回路の効率化に伴って圧力損失が小さくなっても、設計の良否を判断できる分解能と確度を確保できるため、冷却水システムの設計評価における計測基盤として活用できます。
MT300活用による期待効果
MT300差圧モデルを活用することで、データセンターの冷却水システムにおいて以下の効果が期待できます。
冷却電力の低減寄与
冷却水回路内で生じる圧力損失を高精度に把握できることで、流路抵抗の大きい部位の特定や、より効率的な回路設計の検証が可能になります。冷却ポンプの駆動電力を抑える方向での最適化につながり、データセンター全体の冷却電力低減に寄与することが期待できます。
運用効率の向上
冷却系の電力消費はデータセンターの運用効率を左右する要素の一つです。冷却水回路の効率を設計段階から高精度に評価することで、PUE改善や運用コスト低減といった、省エネ運用に向けた取り組みを計測面から支えることが見込まれます。
設計段階での評価効率化
1台で差圧を直接測定できるため、冷却水回路の評価系統をシンプルに構成できます。複数の測定ポイントを並行して評価する開発現場でも、測定系を合理化しながら必要な精度を担保できるため、設計検証の効率化が図れます。
長期安定運用による信頼性確保
MT300は相対確度0.01%を12か月間保証しており、シリコンレゾナントセンサによる長期安定性を備えています。再校正サイクル間の精度ドリフトが小さいため、データセンターの冷却系開発や継続的な検証業務において、長期にわたり信頼できる計測基盤として活用することが期待できます。
関連製品・サービス
MT300 デジタル圧力計
デジタル圧力計 MT300は、横河計測独自のシリコンレゾナントセンサを搭載した高精度圧力計です。0.01%の確度(精度)と、長年にわたる測定データの蓄積に裏付けられた長期安定性を備えています。一般的な高精度圧力計では対応が難しい液体の測定や、1台での差圧測定にも対応します。
ラボ環境での精密校正からフィールドでの伝送器校正まで、バッテリ駆動による可搬性と高い確度を両立し、幅広い圧力計測ニーズに応えます。