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アルミ押出形材の建築分野での活用|サッシ・カーテンウォールなど

アルミ押出形材は、軽量性・耐食性・設計自由度の高さから、建築分野で幅広く採用されている材料です。サッシやカーテンウォールをはじめ、手すり・ルーバー・内装部材など、その用途は多岐にわたります。

本記事では、建築分野におけるアルミ押出形材の主要用途と、それぞれに求められる性能や構造上の特徴、用途に応じた選定ポイントを解説します。

この記事で分かること

  • 建築分野でアルミ押出形材が選ばれる理由(軽量性・耐食性・設計自由度・リサイクル性など)がわかる。
  • アルミサッシの構造や断熱対応、カーテンウォールの構造方式と要求性能を理解できる。
  • 手すり・ルーバー・内装部材など、サッシ以外の建築用途での活用事例を把握できる。
  • 合金・調質・表面処理・断熱構造など、建築用途での選定ポイントが整理できる。
  • 規格・認定への適合や構造計算との整合など、設計段階で確認すべき事項がわかる。

建築分野でアルミ押出形材が選ばれる理由

建築分野は、アルミ押出形材の最大の需要先のひとつです。住宅からオフィスビル、商業施設まで、さまざまな建築物でアルミ押出形材が採用されています。その背景には、建築材料として求められる複数の特性をアルミ押出形材がバランスよく備えていることがあります。

軽量性による施工性の向上

アルミニウムの比重は鉄の約1/3であり、同じ体積の部材であれば大幅に軽くなります。建築現場では、部材の運搬や取り付け作業が日常的に行われますが、軽量な材料は作業者の負担を軽減し、作業効率の向上に寄与します。

特に高所での取り付け作業や、狭い空間での施工では、軽量性のメリットが顕著に表れます。重い部材を持ち上げる必要がないため、安全性の面でも優位性があります。また、建物全体の重量軽減は、基礎や構造体への負荷低減にもつながります。

耐食性による長寿命化

アルミニウムは、空気中で自然に酸化皮膜を形成し、腐食から保護される性質を持っています。建築部材は数十年にわたって屋外環境にさらされるため、耐食性は極めて重要な特性です。

鉄のように赤錆が発生して進行することがないため、外装部材や屋外設置の部材に適しています。さらにアルマイト処理や塗装を施すことで、耐食性をより高め、長期間にわたって美観を維持できます。海浜地域など腐食環境の厳しい立地でも、適切な表面処理を施したアルミ押出形材は優れた耐久性を発揮します。

設計自由度の高さ

押出加工では、ダイス(金型)の形状に応じて複雑な断面形状を一体成形できます。建築部材には、気密性や水密性を確保するためのシール溝、組み立て用の嵌合構造、断熱性能を高めるための中空構造など、さまざまな機能が求められます。

これらの機能を断面形状に組み込むことで、部品点数を削減しながら高い性能を実現できます。意匠性の面でも、直線的でシャープなラインから曲面を含むデザインまで、幅広い表現が可能です。

表面処理の多様性

アルミ押出形材は、アルマイト処理、塗装、印刷など多様な表面処理に対応できます。アルマイト処理ではシルバーや黒、ブロンズなどの色調が選べ、塗装では任意の色彩を付与できます。

建築物の外観デザインに合わせた色彩選定が可能であり、意匠設計の幅が広がります。表面処理は耐食性の向上にも寄与するため、機能性と意匠性を両立させることができます。

リサイクル性

アルミニウムはリサイクル性に優れた材料です。建築物の解体時に回収されたアルミ材は、溶解して再び原材料として利用できます。環境負荷低減への意識が高まる中、リサイクル可能な建材としてアルミ押出形材の価値が見直されています。

リサイクル時のエネルギー消費は新地金製造時と比較して大幅に少なく、資源循環の観点からも評価される特性です。

アルミサッシ

アルミサッシは、アルミ押出形材の建築用途として最も代表的な製品です。住宅やビルの窓枠として広く普及しており、現代の建築物には欠かせない存在となっています。

アルミサッシの構造

アルミサッシは、窓枠を構成する框(かまち)と呼ばれる部材で構成されています。框には、ガラスを固定するための溝、気密材を挿入するための溝、水密性を確保するための水切り形状など、多くの機能が断面形状に組み込まれています。

押出加工の特性を活かし、これらの複雑な形状を一体成形することで、高い性能と組み立ての効率化を両立しています。引き違い窓、上げ下げ窓、すべり出し窓など、窓の種類に応じて最適化された断面設計がなされています。

断熱性能への対応

アルミニウムは熱伝導率が高いため、単純なアルミサッシでは熱が伝わりやすく、断熱性能に課題がありました。この課題に対応するため、現在では断熱サッシが広く採用されています。

断熱サッシは、室内側と室外側のアルミ形材の間に樹脂などの断熱材を挟み込んだ構造です。この断熱材によって熱の伝達を抑制し、断熱性能を向上させています。寒冷地や省エネルギー性能が重視される建築物では、断熱サッシの採用が標準的になっています。

また、アルミと樹脂を組み合わせた複合サッシも普及しています。室外側にアルミ、室内側に樹脂を使用することで、耐候性と断熱性を両立させる設計です。

気密性・水密性の確保

サッシには、風雨の侵入を防ぐ気密性と水密性が求められます。アルミ押出形材の断面設計では、ゴムや樹脂製の気密材を挿入するための溝が設けられています。

気密材は框の接合部や可動部に配置され、隙間からの空気や水の侵入を防ぎます。押出形材の寸法精度と気密材の適切な設計により、高い気密性・水密性が実現されています。

意匠性とカラーバリエーション

アルミサッシは、アルマイト処理や塗装によりさまざまな色彩で仕上げられます。シルバー、ブロンズ、ブラック、ホワイトなどの定番色に加え、木目調の塗装を施した製品も流通しています。

建築物の外観デザインや内装との調和を考慮し、適切な色彩を選定できます。近年は、スリムなフレームデザインによってガラス面を最大化し、開放感を高めた製品も増えています。

カーテンウォール

カーテンウォールは、ビルの外壁として使用される非耐力壁システムです。建物の構造体に取り付けられ、外装としての機能を担います。アルミ押出形材は、カーテンウォールの主要構成材料として広く採用されています。

カーテンウォールの役割

カーテンウォールは、建物の外壁を構成しながらも、建物の荷重を支える役割は持ちません。柱や梁などの構造体に取り付けられた「カーテン(幕)」のような存在であることから、この名称が付けられています。

外壁としての役割には、風雨の遮断、断熱、遮音、採光、外観の意匠形成などが含まれます。これらの機能を満たしながら、軽量であることが求められるため、アルミ押出形材が適した材料となっています。

カーテンウォールの構造方式

カーテンウォールには、主にマリオン方式とユニット方式があります。

マリオン方式(スティック方式)は、縦材(マリオン)と横材(トランサム)を現場で組み立て、ガラスやパネルを取り付ける方式です。現場での調整が可能であり、比較的小規模な建物や複雑な形状の建物に適しています。

ユニット方式は、工場でアルミフレームとガラスを一体化したユニットを製作し、現場で取り付ける方式です。工場での品質管理が行き届き、現場作業が簡略化されるため、高層ビルや大規模建築物で多く採用されています。

いずれの方式でも、マリオンやトランサムにはアルミ押出形材が使用されています。断面形状には、ガラスの保持機構、シール材の挿入溝、排水経路、取り付け金具との接合部などが設計されています。

高層ビルでの要求性能

高層ビルのカーテンウォールには、地上よりも厳しい環境条件への対応が求められます。高所では風圧が増大するため、風荷重に耐える強度と剛性が必要です。

アルミ押出形材では、断面形状の最適化によって必要な強度を確保しています。マリオンの断面二次モーメントを大きくとることで、風圧による変形を抑制します。また、地震時の層間変位に追従できる設計も重要であり、取り付け部の可動機構などで対応しています。

省エネルギー性能

カーテンウォールは建物の外皮を構成するため、断熱性能が建物全体の省エネルギー性能に大きく影響します。断熱性能を高めるため、アルミフレームには断熱材を組み込んだ断熱構造が採用されています。

複層ガラスやLow-Eガラスとの組み合わせにより、外壁全体としての断熱性能を向上させています。省エネルギー基準の強化に伴い、カーテンウォールの断熱性能への要求は高まっています。

手すり・エクステリア

アルミ押出形材は、サッシやカーテンウォール以外にも、さまざまな建築部材に使用されています。手すり、エクステリア製品、内装部材など、用途に応じた断面設計が行われています。

手すり・フェンス

建物のバルコニーや階段、屋上などに設置される手すりには、アルミ押出形材が広く使用されています。軽量でありながら必要な強度を持ち、屋外環境での耐食性にも優れているためです。

手すりの断面形状は、握りやすさと強度を両立させた設計がなされています。手すり子(支柱と支柱の間の縦材)や笠木(上部の横材)など、各部材に最適化された断面が使用されます。

フェンスにも同様にアルミ押出形材が使用されています。住宅の外構フェンスから、公共施設の境界フェンスまで、用途に応じたデザインと強度が選べます。目隠しタイプ、格子タイプ、ルーバータイプなど、意匠のバリエーションも豊富です。

ルーバー・庇

日射遮蔽や換気、意匠性の目的で設置されるルーバーにも、アルミ押出形材が使用されています。ルーバーの羽根部分は、押出加工で効率的に製造でき、均一な断面形状が連続する用途に適しています。

固定式のルーバーのほか、可動式ルーバーも存在します。可動式では、羽根の角度を調整することで日射量をコントロールできます。庇(ひさし)にもアルミ押出形材が使用され、軽量化による取り付け部への負荷軽減と、メンテナンスフリーに近い耐久性が評価されています。

内装部材

建物内部でも、アルミ押出形材はさまざまな部材に使用されています。天井のルーバー材、間仕切りのフレーム、建具の框、巾木や廻り縁などの見切り材など、用途は多岐にわたります。

内装用途では、耐食性よりも意匠性が重視されることが多く、アルマイト処理や塗装による仕上げが選ばれます。木目調やメタリック調など、さまざまな仕上げが可能であり、内装デザインに合わせた選定ができます。

モール・見切り材

異なる仕上げ材の境界部分や、部材の端部を納めるためのモール材や見切り材にも、アルミ押出形材が使用されています。薄肉で複雑な断面形状が求められるこれらの部材は、押出加工の特性を活かせる用途です。

床と壁の取り合い部、天井と壁の取り合い部、タイルとフローリングの境界など、さまざまな納まりに対応する断面形状が用意されています。施工性を考慮した嵌合構造や、下地材への取り付け機構が断面に組み込まれています。

建築用途での選定ポイント

建築分野でアルミ押出形材を採用する際には、用途や設置環境に応じた適切な選定が重要です。性能要求と意匠要求を満たしながら、コストや納期も考慮した判断が求められます。

合金と調質の選定

建築用途では、A6063合金が標準的に使用されています。押出加工性に優れ、アルマイト処理との相性も良く、建築部材として求められる性能をバランスよく備えています。

調質は、一般的にT5が採用されています。T5調質は、押出後に空冷と人工時効処理を行った状態であり、建築用途に十分な強度を持ちながら、コストを抑えられます。より高い強度が必要な構造部材では、T6調質やA6061合金の検討が必要になる場合があります。

合金と調質の指定は、製品の機能に直接影響するため、図面や仕様書に明記することが基本です。

表面処理の選定

建築用アルミ押出形材の表面処理は、使用環境と意匠要求に応じて選定します。

屋外で使用する部材には、耐食性を高める表面処理が必要です。アルマイト処理は広く採用されており、皮膜厚さや等級によって耐食性のレベルが異なります。厳しい腐食環境(海浜地域、工業地域など)では、厚膜のアルマイト処理や塗装が推奨されます。

意匠性を重視する場合は、カラーアルマイトや塗装が選択されます。塗装では、フッ素樹脂塗装が耐候性に優れ、長期間にわたって色彩を維持できます。コストとのバランスでアクリル塗装やポリエステル塗装が選ばれることもあります。

断熱性能への対応

省エネルギー基準の強化に伴い、建築部材の断熱性能への要求が高まっています。サッシやカーテンウォールでは、断熱構造の採用が一般的になっています。

断熱性能が求められる用途では、アルミ単体ではなく、断熱材を組み込んだ複合構造や、アルミと樹脂を組み合わせた複合材を検討します。設計段階で断熱性能の目標値を明確にし、それを満たす製品を選定することが重要です。

構造計算との整合

手すりやカーテンウォールなど、安全性に関わる部材では、構造計算に基づいた断面選定が必要です。風荷重、積載荷重、衝撃荷重など、想定される荷重条件に対して十分な強度と剛性を持つ断面を選定します。

アルミニウムのヤング率は鉄の約1/3であるため、同じ荷重条件では鉄より変形量が大きくなります。たわみ量の制限がある場合は、断面二次モーメントを大きくとる設計が必要です。構造計算の結果と、使用する形材の断面性能を照合して、適合性を確認します。

規格・認定への適合

建築部材には、JIS規格や業界団体の規格、性能認定などが関係する場合があります。サッシには耐風圧性能、気密性能、水密性能などの等級があり、建築物の用途や立地条件に応じた等級を満たす製品を選定する必要があります。

防火地域での使用が求められる場合は、防火設備としての認定を受けた製品を使用する必要があります。設計段階で適用される規格や認定要件を確認し、それに適合する製品を選定することが重要です。

[アルミ押出形材 建築]に関連するFAQ

建築用アルミ押出形材に標準的に使われる合金と調質は何ですか?

一般的にはA6063合金・T5調質が標準的に使用されています。押出加工性やアルマイト処理との相性が良く、建築部材に求められる性能をバランスよく備えています。より高い強度が必要な場合は、T6調質やA6061合金が検討されます。

アルミサッシの断熱性能はどのように確保されていますか?

室内側と室外側のアルミ形材の間に樹脂などの断熱材を挟み込んだ断熱サッシが広く採用されています。また、室外側にアルミ、室内側に樹脂を使用する複合サッシも普及しており、耐候性と断熱性の両立が図られています。

カーテンウォールのマリオン方式とユニット方式の違いは何ですか?

マリオン方式は、縦材と横材を現場で組み立てる方式で、現場調整がしやすく比較的小規模な建物に適しています。ユニット方式は、工場でフレームとガラスを一体化したユニットを製作し現場で取り付ける方式で、品質管理が行き届くため高層ビルや大規模建築物で多く採用されています。

海浜地域など腐食環境が厳しい場所ではどのような表面処理が適していますか?

厳しい腐食環境では、厚膜のアルマイト処理や塗装が推奨されます。塗装の中ではフッ素樹脂塗装が耐候性に優れ、長期間にわたって色彩と耐食性を維持できます。

アルミ押出形材を建築部材に採用する際、構造面で注意すべき点はありますか?

アルミニウムのヤング率は鉄の約1/3であるため、同じ荷重条件では変形量が大きくなります。たわみ量に制限がある場合は断面二次モーメントを大きくとる設計が必要です。手すりやカーテンウォールなど安全性に関わる部材では、構造計算に基づいた断面選定が求められます。

この記事のまとめ

  • アルミ押出形材は、軽量性・耐食性・設計自由度・表面処理の多様性・リサイクル性を兼ね備え、建築分野で広く採用されている。
  • アルミサッシでは、断熱材を挟んだ断熱サッシやアルミ樹脂複合サッシにより、断熱性能への対応が進んでいる。
  • カーテンウォールにはマリオン方式とユニット方式があり、建物の規模や条件に応じて使い分けられている。
  • 手すり・ルーバー・内装部材・見切り材など、サッシやカーテンウォール以外にも多様な建築用途がある。
  • 合金・調質・表面処理・断熱構造の選定に加え、構造計算との整合や規格・認定への適合を設計段階で確認することが重要である。

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