冷間圧造用鋼線とは?
冷間圧造用鋼線は、主に冷間鍛造プロセスで使用される特殊な鋼線です。冷間鍛造は、材料を加熱せずに金属を変形させる工程で、自動車部品やファスナーなどの製造に広く用いられています。このプロセスでは、金属の塑性変形を利用して、所望の形状や寸法の部品を製造します。
冷間圧造用鋼線の特徴
冷間圧造用鋼線は以下のような特徴を有しています。
高い強度と靭性
鋼線は、高い引張強度と十分な靭性を備えており、冷間鍛造プロセス中の大きな圧力に耐えることができます。
優れた加工性
この鋼線は、様々な形状に容易に加工できるように設計されており、複雑な形状の部品も高精度で製造することが可能です。
表面品質
鋼線の表面は非常に滑らかで、鍛造後の部品に高い表面品質を提供します。この滑らかな表面品質により、後工程での研磨や加工が少なくて済み、結果としてコスト削減に寄与します。
疲労強度
疲労強度は、材料に繰り返しの応力が加わるときに破壊する強度を示すものであり、冷間圧造によって製造された鋼線は疲労強度が向上し、耐摩耗性や硬度も向上することがあります。
最先端の技術・設備で製造するMIYAZAKIの冷間圧造用鋼線
宮崎精鋼は、モータリゼーションの発展と共に歩んできた冷間圧造用鋼線事業を通じて、「技術の宮崎」「品質の宮崎」と称される土台を築いています。
グローバル化する市場に対応し、世界中のお客様に安定した高品質の冷間圧造用鋼線を提供。その製造には、最先端の技術と設備に加え、宮崎独自の工夫を凝らし、環境配慮も徹底しています。
疵防止に対する徹底した管理のもと、お客様が満足する品質の製品を提供しており、その実践は宮崎精鋼の冷間圧造用鋼線の信頼性と優れた評価の源泉となっています。
生産能力 | 13,000t/月(生産委託含む) |
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鋼種 | 普通鋼、炭素鋼、合金鋼 非調質鋼、高強度鋼、ボロン鋼 他 |
製造範囲 | φ5~φ46 |
徹底した疵対策・品質の安定を実現
当社は、最新の設備投入により、製品に疵がつくことのない徹底した品質管理を実施。取り扱いによる疵をゼロにすることを目標にした体制を確立しています。
加工に応じた被膜処理
多彩な被膜処理ラインナップ(石灰・ボンデ・ボンデ石灰・MSコート)を提供しています。
特に、独自の被膜処理技術である「MSコート(非リン被膜)」は以下のようなメリットを提供します。
非リン被膜ながらボンデ被膜同等の潤滑性
メッキ前酸洗の改善(時間・肌改善)
環境負荷低減へも貢献(廃液等低減)
製鋼メーカーの開発鋼も提供可能
当社は一次加工を行う製鋼メーカーと定期的に技術会議を行なうことで、製鋼メーカーと共にお客様のニーズに迅速に対応できるような開発環境の構築に力を注いでいます。そのため、開発鋼の提案による、性能・品質向上やVA提案に貢献が可能です。
開発鋼の例
非調質鋼(熱処理省略・環境対応)
高強度ボルト用鋼
結晶粒粗大化防止鋼 など
冷間圧造用鋼線の自動車部品適用例ボルト/ナット
モーターシャフト
タイロッドエンド
ラックエンド
ボールジョイント
ハウジング
スパークプラグ
ディフューザー
冷間圧造用鋼線の製造工程
例)材料:ワイヤーロッド
ディスケーリング
鋼の表面に付着した酸化皮膜(スケール)を高圧の水や酸による洗浄、またはショットブラスティングといった機械的な方法で除去します。
焼鈍
鋼線を一定温度まで加熱し、その後制御された速度で冷却することにより、内部応力を解消し、延性を改善します。この工程により、材料の結晶構造が再結晶化し、硬さが減少し、延性が向上します。
酸洗
鋼線を希硫酸などの酸液に浸すことで表面の酸化物や不純物を化学的に除去し、鋼線の表面を整えます。
酸洗を経ることで、後続の工程での化成処理性や加工性が向上します。
被膜処理
鋼線の表面に保護層を形成します。この工程により、鋼線は腐食に強くなり、加工時の焼付き防止や加工性が向上します。
仕上伸線
鋼線をさらに引き抜き、最終的に求められる品質に高精度に仕上げます。
最新設備のご紹介
当社は最新設備を導入することで、お客様の求める品質を満足、維持できる体制を実現しています。
疵対策
自動立体倉庫
疵対策 |
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錆対策 |
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品質の安定・環境対応
自動酸洗ライン
品質の安定 |
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基幹システム連携による生産管理 |
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※非リン被膜対応
疵対策・物流最適化
自動搬送装置(AGV)
フォークリフトレスによる取扱い疵防止
省人化
工場内物流の最適化
疵対策・環境対応
新型連続焼鈍炉
疵対策 | 自社開発の載脱荷ロボットにより、ステムキズの撲滅と載脱荷作業の省人化 |
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環境対応 | 排熱を利用したリジェネバーナーによる省エネ |
環境対応・生産向上
新型プレミアムSTC炉
従来のSTC炉に比べ、「省エネルギー化」「低環境負荷」「生産性向上」「作業の効率化・IoT化」に貢献します。
冷間圧造用鋼線に付加価値を与える「ファインスラグ」について
当社では、冷間圧造用鋼線の更なる加工製品として、中間粗形材である「ファインスラグ」の製造を行なっています。
長年培ってきた冷間圧造用鋼線の製造技術をベースにスラグ形状・金型・加工工程の設計に至るまで、独自のノウハウと徹底した管理により製造。「形状・焼鈍・被膜」の3拍子揃ったスラグを提供することが可能です。また、ニアネットシェイプ化を可能にするだけでなく、コスト削減効果や省エネ・省資源等の環境問題にも大きく寄与します。
生産能力 | 1,300t/月 |
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用途 | 冷間プレスで使用される自動車用部品の中間粗形材 |
ファインスラグの特徴
左右対称のシンプルな形状
お客様の工程も含めて、全体で最適化を目指した形状と工程を設計
ECCF(渦流探傷装置)による全数表面キズ検査が可能(条件あり)
素材の調達から冷間圧造用鋼線の製造、スラグ製造を一貫で生産しローコスト/高品質のスラグであり、お客様にとっても管理工数の削減と工程内在庫の削減に寄与します。
2種類の被膜から選択可能
加工度合いによって、薄膜ボンデ・厚膜ボンデの2種類の被膜からお選びいただけます。また、打痕対策も充実した新酸洗/被膜ラインを保有しており、お客様のニースに合わせた被膜のご提案が可能です。
ファインスラグの自動車部品適用例
ベベルギヤ
インナーレース
ヨーク/スパイダー
リフターバルブ
リングギヤ