オフセット印刷におけるグレーズ抑制のための湿し水添加剤の活用
グレーズを「落とす」より「付けない」、湿し水添加によるローラーメンテナンスの負荷低減
UVインキの使用で湿し水がアルカリ化し、カルシウムが析出して起こるオフセット印刷ローラーのグレーズ。その対策として、湿し水に添加剤を加えて析出を抑える抑制アプローチを解説します。交換頻度の低減と生産ライン稼働率の向上が期待できます。

長瀬産業は、1832年京都で創業した化学系専門商社です。 世界的に優良な製品を日本国内で独占的に輸入販売する総代理店権を有し、そこで培った技術力・情報力・海外ネットワークを活かし、製造・加工、研究開発機能の強化を図りながら、事業構造の転換を果たしてきました。 創業200周年となる2032年、さらにその先に向けて、「人々が快適に暮らせる安心・安全で温もりある社会の実現」を追求してまいります。
課題
ローラーに堆積するグレーズへの対処として、頻繁なゴムローラー交換と装置停止が必要になる点が課題です。
解決策
湿し水にカルシウムの溶解量を高める添加剤を加え、カルシウムを溶けたまま保ってローラーへの析出を抑えます。
期待効果
交換の頻度や装置停止を減らし、生産ライン全体の稼働率向上が期待できます。
オフセット印刷ローラーのグレーズ抑制
オフセット印刷は、水と油が反発する性質を利用し、版面の画線部にインキ、非画線部に湿し水をのせ分ける印刷方式です。インキや湿し水を版へ供給するため、印刷機の各胴には多数のローラーが組み込まれています。
これらのローラー表面には、インキ・湿し水・紙に由来するカルシウム分が反応・堆積し、水や洗い油では落ちにくい付着物が形成されます。これが業界でグレーズと呼ばれる汚れです。
本ユースケースで紹介するのは、このグレーズの発生そのものを抑える用途です。ローラーに堆積したスケールを後から落とすのではなく、湿し水側にカルシウムの溶解量を高める添加剤を加え、カルシウムを溶けた状態のまま保持することで、ローラーへの析出を抑制します。
ローラーメンテナンスにおける課題
UVインキによる湿し水のアルカリ化
オフセット印刷の湿し水はもともと酸性ですが、UVインキに使われる材料はアルカリ性のため、印刷を続けるうちに湿し水のpHがアルカリ側へシフトしていきます。炭酸カルシウムは酸性環境では溶けやすく、アルカリ環境では溶けにくく析出しやすいという性質があります。そのため、UVインキを使用する現場では湿し水のアルカリ化にともなってカルシウムが析出しやすくなり、ローラー表面へのグレーズの付着・堆積が進みやすくなります。
グレーズによる印刷品質の低下
オフセット印刷では湿し水を使う以上、ローラー表面へのグレーズの付着は避けにくい現象として知られています。グレーズが堆積するとローラー間でのインキの転移が妨げられ、インキが部分的に着かないローラー剥げや過乳化、色むらといった印刷品質のトラブルにつながります。
交換・洗浄に伴う稼働停止
グレーズが進行したローラーは、薬液で洗い落とすことがむずかしいため、表面のゴムローラーの貼り替え・交換によって対処されるのが一般的です。こうしたメンテナンスには印刷機の停止が必要で、一定の頻度で繰り返されるため、作業の手間と停止に伴う生産機会の損失が課題となります。
スケール抑制添加剤による解決
析出を抑えるスケール抑制添加剤
ローラーに付いたグレーズを後から落とすのではなく、そもそも析出させないという切り口で課題に応えるのがスケール抑制添加剤です。湿し水は表面張力やpHを整える液で、通常はカルシウムの付着を抑える添加剤を加えませんが、ここにカルシウムの溶解量を高める添加剤を加えることで、アルカリ側へシフトした湿し水の中でも、インキや紙に由来するカルシウムを溶けた状態のまま保持し、ローラーへの析出を抑えます。ローラーを取り外さず、印刷機に組み込んだまま運用できる点も実用面の特長です。
ソリューションを支える選択的洗浄技術
ナガセケムテックスは、半導体や液晶ディスプレイの製造工程で培ったナノレベルの選択的洗浄技術を基盤に、スケールの課題を総合的に解決するソリューションを提供しています。スケールを落とすスケール除去剤に加え、そもそもスケールを発生させないスケール抑制添加剤をラインナップし、用途に応じて最適な解決方法を提案できる点が強みです。特定の成分の溶解性を精密に制御する配合(フォーミュレーション)の設計力が、カルシウムを溶けたまま保つ抑制添加剤を支えています。
洗いにくい設備に有効な両面対応
印刷ローラーは大型で、薬液で洗うこと自体が設備上むずかしい場合があり、付着を抑える抑制が有効に働きます。一方で、すでに堆積したスケールを落とす必要がある場面もあります。塩酸・フッ酸・リン酸を含まず、炭酸カルシウムの溶解性に優れながらアルミや銅などの母材へのダメージを抑えたスケール除去剤も組み合わせることで、付けないための抑制と落とすための除去の両面から、カルシウムスケールの課題に対応できます。
スケール抑制添加剤活用による期待効果
メンテナンス頻度の削減
グレーズの発生そのものを抑えることで、ローラーの交換に至るまでの間隔を延ばせる可能性があります。これまで月1回程度の頻度で行われていたゴムローラーの交換が、数ヶ月に一度で済むようになれば、メンテナンスの手間と資材コストの削減につながることが期待できます。
生産ライン稼働率の向上
ローラーを印刷機に組み込んだまま抑制を行えるため、メンテナンスのための停止時間を抑えられます。交換頻度の低下と合わせて、印刷機の停止に伴う生産機会の損失を減らし、生産ライン全体の稼働率の向上につながることが見込まれます。
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長瀬産業について

長瀬産業は、1832年京都で創業した化学系専門商社です。
世界的に優良な製品を日本国内で独占的に輸入販売する総代理店権を有し、そこで培った技術力・情報力・海外ネットワークを活かし、製造・加工、研究開発機能の強化を図りながら、事業構造の転換を果たしてきました。
創業200周年となる2032年、さらにその先に向けて、「人々が快適に暮らせる安心・安全で温もりある社会の実現」を追求してまいります。
| 名称 | 長瀬産業株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 〒100-8142 東京都千代田区大手町二丁目6番4号常盤橋タワー |
| URL | https://www.nagase.co.jp/ |
オフセット印刷ローラーのグレーズ抑制


