リフトオフとは?
リフトオフとは、レジストをパターニング後に金属を蒸着またはスパッタリングで成膜し、剥離工程でレジストと金属の積層膜を一度に取り除き、レジストパターンのないスペース領域に金属膜を残すプロセスです。リフトオフプロセスはエッチング工程を必要としないため、コストの削減と作業時間の短縮が可能です。
エッチングプロセスとリフトオフプロセス比較
一般に広く用いられる金属パターニングプロセスでは、下地基板に金属を成膜し、上層にフォトレジストをパターニングした後にエッチングを行い、所望のパターンを形成します。しかし、エッチングが難しい金属配線や、複雑な層構造、エッチングによる下地基板へのダメージを懸念する場合、上記のエッチング工程が難しいことがあります。
こうした課題の解決に有効なのが「リフトオフ」というプロセスの適用です。この方法では、金属を成膜する下地基板に先にレジストパターニングを行い、その上層に金属を成膜します。後にレジストと上層金属を同時に剥離除去することで、エッチングを行わず所望の金属パターニングが可能になります。
リフトオフプロセスとエッチングプロセスの有意差
リフトオフプロセス | エッチングプロセス | |
---|---|---|
工程数 | 3steps | 4steps |
エッチング液による基板へのダメージ | ダメージを与えない。 | エッチング条件によりダメージを与えることがある。 |
難エッチング金属 | エッチング不要であるため、加工が容易。 | 難エッチング金属加工が難しい。 |
加工精度 | ミクロンレベルの微細加工に向いている。 | ミクロンレベル〜ナノレベルまで対応可能。 |
NAGASEが提供するフォトレジスト
リフトオフプロセスに最適なフォトレジストに開発注力しています。
単層のポジタイプのレジストに加えて、細線化にも適した2層タイプのレジストも幅広く提供しており、2層タイプは従来の製品と比べ、低温ベークの実現とアンダーカット量の制御が容易であるという利点があります。
20年以上のレジスト製造・開発
ナガセケムテックスは、長年にわたる豊富な経験とノウハウに裏打ちされた多様な要素技術を有しており、それらを市場のニーズに応じて組み合わせながら、製品開発を進めています。
安定した品質による製品開発は、これまで数多くのメーカー様のものづくりを支えており、国内外問わず高い評価をいただいております。
製品ラインナップ
NAGASEが提供するリフトオフプロセス用フォトレジストには、ポジ型単層レジストの「NPR 9700 series」と、2層プロセス用下層材「BLX series」の2シリーズがございます。
ポジ型単層レジスト NPR9730T
リフトオフプロセス用ポジ型レジスト |
TopとBottomの線幅はプロセス条件で制御可能 |
露光波長域:g線~i線(ブロードバンド光にも対応可) |
一般的な露光・現像条件で、逆テーパー形状の形成が可能 |
良好な剥離性 |
ご要望に応じた形状コントロールが可能 |
2層プロセス用下層レジスト BLX-210
比較的低温なベーク温度域でプロセス適用 (125℃~160℃ベーク) |
良好な剥離性 |
単層リフトオフレジストより微細なパターン形成可能 |
塗布ムラが少なく平坦性に優れる |
品質安定性(経時パーティクル発生量を抑制) |
アンダーカット量のコントロールが容易 |
一般的なシンナーでEBRが可能 |
多くのレジストでインターミキシングなく2層パターニングが可能 |
2層パターン形状 プリベーク温度依存性
160℃まではプリベーク温度により、アンダーカット量をコントロールすることが可能です。
下層膜厚 | 0.2μm |
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プリベーク | 吸着方式 |
露光量 | 300mJ/cm2 |
現像条件 | 2.38% TMAH, 23℃, 60s, Single Puddle |
パターンサイズ | 0.5μm トレンチ |
2層パターン形状 現像時間依存性
70秒までは、現像時間によりアンダーカット量をコントロールすることが可能です。
下層膜厚: | 0.2μm |
---|---|
プリベーク温度 | 145℃, プロキシミティ方式 |
露光量 | 300mJ/cm2 |
パターンサイズ | 0.5μm トレンチ |
NAGASEの提供価値
長年にわたるレジスト材料の研究と開発の経験を通じて、お客様の微細加工ニーズに対応するため、各種プロセスに最適なレジスト材料を提案しています。
特に、リフトオフプロセスにおいて理想的な特性を備えた製品を幅広く取り揃えております。
サービス内容(一例)
少ロット生産対応 | 研究開発レベルから量産規模まで製造量のご相談を承ります。 |
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粘度調整 | お客様のニーズに合わせてカスタマイズ可能です。 |
工程の提案 | 長年の電子業界での量産経験をもとに、お客様のプロセスに合わせて組成開発やカスタマイズが可能です。 |
用途例
NPR9700/BLXシリーズは、様々な業界・分野で活用されています。
市場 | ・MEMS ・アナログ半導体 ・電子部品 |
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製品・部品 | ・高周波機器 ・SAW/BAWフィルター ・パワーアンプ ・パワー半導体 ・LED ・VCSEL |
工法 | ・金属蒸着 ・配線形成(PAD電極、 IDT電極など) ・高段差部の埋め込み ・多段層に一括配線形成 |
よくある質問
Q:サンプルは提供可能ですか?
はい、製品サンプルの提供は可能です。
詳細な工程条件を確認した上で、適した材料を紹介いたします。
Q:推奨されるプロセス条件はなんですか?
お客様の工程条件に合わせて材料を選定しておりますので、個別にご相談をお受けいたします。
Q:納期はどのくらいですか?
調整用サンプルはおよそ1か月以内で納品可能です。
Q:室温で保管した場合、BLXはどれくらい安定した状態を保てますか?
1年間保管した後でも品質劣化は起こりません。
しかしながら、6か月を標準保管期間としております。
Q:これまでの採用状況はどのようになっていますか?
最近需要が急増している5G通信基地局用RF装置やスマートフォン用SAWフィルタの微細加工工程などで、国内外のお客様に採用されています。
また高い信頼性が求められる車載通信用センサー向け加工工程用にも実績があります。
Q:PEB(Post Exposure Bake)は必要ですか?
必要ありませんが、お客様の評価結果に応じてアドバイスをいたします。
Q:必要な露光量はどのくらいですか?(NPR9700シリーズ)
感度調整は可能ですが、一例として膜厚1.2μmの際に約40mJ/cm2となります。
(お客様側の機器などによります。また、評価結果によっても対応は異なります。)
Q:下地基板の表面処理は必要ですか?
使用する基板の状態によりますが、一般的には必要ございません。
製造会社:ナガセケムテックス株式会社について
ナガセケムテックスは、合成技術・配合技術といった多彩な要素技術を強みとし、多くの分野で高いシェアを持つユニークな化学メーカーへと発展してきました。
製品の応用分野は、化学、エレクトロニクス、自動車・航空機と広範囲にわたっています。
エレクトロニクス分野では、日本のみならず中国・米国に生産拠点を持ち、ユーザーの現地生産の要求に応えています。
会社概要
会社名 | ナガセケムテックス株式会社 Nagase ChemteX Corporation(略称:NCX) |
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本社所在地 | 〒550-8668 大阪市西区新町1-1-17 |
設立年月 | 1970年4月1日 |
従業員規模 | 約560名 |
事業内容 | エポキシ樹脂変性品等の高機能樹脂、フォトリソグラフィ用材料、エピクロルヒドリン誘導体、アクリルポリマー、導電塗料、殺菌・抗菌剤の製造販売 |
URL | 企業WEBサイト リフトオフプロセス用フォトレジスト |
販売会社:長瀬産業株式会社について
長瀬産業は、1832年京都で創業した化学系専門商社です。
世界的に優良な製品を日本国内で独占的に輸入販売する総代理店権を有し、そこで培った技術力・情報力・海外ネットワークを活かし、製造・加工、研究開発機能の強化を図りながら、事業構造の転換を果たしてきました。
創業200周年となる2032年、さらにその先に向けて、「人々が快適に暮らせる安心・安全で温もりある社会の実現」を追求してまいります。
ナガセケムテックス株式会社(販売会社:長瀬産業株式会社)
NAGASEグループの中核的化学メーカーとして
ナガセケムテックスは、化学合成・配合設計・バイオの技術を持ったNAGASEグループ4社が融合し、多くの分野で高いシェアを持つユニークな化学メーカーとして、着実に発展してきました。
製品の応用分野は、化学、エレクトロニクス、自動車・航空機と広範囲にわたっています。
エレクトロニクス分野では、日本のみならず中国・米国に生産拠点を持ち、ユーザーの現地生産の要求に応えています。
出展団体名 | ナガセケムテックス株式会社(販売会社:長瀬産業株式会社) |
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所在地 | 〒550-8668大阪府大阪府大阪市西区新町1-1-17 |
設立年月 | 1970年04月 |
従業員規模 | 501名以上 |
URL | https://www.nagasechemtex.co.jp/index.html |