ELN(電子実験ノート)とは
ELN(電子実験ノート)とは、Electronic Lab Notebookの略で、実験の目的・手順・結果・考察をまとめ、デジタルデータとして記録・保存するシステムです。
紙の実験ノートの課題
紙ベースで実験の記録・保存を行っている機関がまだまだ多い状況です。しかし、紙での管理には多くの課題があります。
情報が探しにくく、重複実験につながる | せっかくの実験の記録も、探し出すことができなければ、有効活用されず放置される「ダークデータ」と化します。過去の記録を見つけられない場合、同じような実験を繰り返す手間が発生し、時間とコストが無駄にかかってしまうことがあります。 |
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作業負担が大きく、記録を残しきれない | 紙の実験ノートの場合、データをプリントアウトして切り貼りする手間が発生します。記録を残すための負担が大きく、計画に至った考えやプロセスも残りづらい傾向にあります。 |
知的財産の管理上のリスク | 第三者による改ざんができてしまうため、実験データの安全性を保つことが困難。また、知財の問題が起こった時に迅速に対応しづらいケースがあります。 |
知識共有が難しく、属人化してしまう | 実験ノートのフォーマットが個人単位でバラバラで、引継ぎが難しいことがあります。また、フォーマットが異なる場合、組織間の知識共有にも活用しにくい傾向があります。 |
ELN(電子実験ノート)導入のメリット
ELN(電子実験ノート)を用いて、実験の記録をデジタルデータとして管理することで、フォーマットの統一が容易になり、情報共有や引継ぎにかかる手間が削減され、検索性も向上します。
過去のデータを活かしやすくなるため、実験の重複を削減でき、実験結果だけではなく計画や検討の過程を共有する事により研究開発のスピードアップ、コスト削減を実現できます。
第三者による改ざんを防止し、実験データの安全性を保つことが可能。知的財産に関する問題が発生した場合にも迅速に対応できます。
また、組織間の知識共有がスムーズになる事で、異なる分野からの知見を取り入れやすくなりイノベーションを促進します。
ELN(電子実験ノート)の選定ポイント
ELN(電子実験ノート)をスムーズに導入・運用するために、下記のポイントでシステムを選定するとよいでしょう。
導入に必要な期間 | システムによっては、1週間~1ヶ月ほどで導入できるものから、半年~1年かかるものもあります。自社の求めるスピード感にあったシステムを選びましょう。 |
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操作しやすいか | 操作のしやすさは、記録データの質に直結します。また、操作性が高いシステムを選定することで、専任の担当者をつけずに導入でき、人手不足対策・コスト削減につながります。 |
ノート構成をカスタマイズできるか | 企業によっては、実験分野が多岐にわたる場合もあります。その場合は、様々な分野の実験を記録できるよう、ノート構成を自由にカスタマイズできるシステムがおすすめです。 |
関連データを一元管理しやすいか | 画像やExcel、PDFなど、実験に関連する様々な形式の関連データを一元管理できるシステムを選定することで、抜け漏れなく情報を管理可能です。 |
自社システムとの連携など、機能を拡張できるか | ELN(電子実験ノート)と自社システムを連携させることで、さらなる業務効率化を実現可能。また、機械学習、画像解析、データ解析などを取り入れマテリアルズ・インフォマティクス(MI)に取り組むことで、蓄積したデータを最大限生かすことができます。 |
BIOVIA Notebook
BIOVIA Notebook(バイオビアノートブック)は、簡単に導入・運用できるELN(電子実験ノート)です。
シンプルな操作性で誰でもすぐに使いこなせます。システム専任者なしでの運用も可能。専任の担当者なしで、4,000ユーザでの運用実績があります。
デスクトップPC / Windows タブレットなどから編集可能。また、優れた拡張性を持ち、他ソフトとの連携や、機械学習、画像解析、データ解析などを用いた機能も追加できます。
BIOVIA Notebookの特徴
1週間~1ヶ月で素早く導入可能
誰でも操作しやすく、専任の担当者が不要
ノート構成も簡単にカスタマイズ可能
画像 / Excel / PDFなど、関連データを貼り付け可能
自社システムとの連携が可能 / 機械学習などの拡張機能もご用意
BIOVIA Notebookを導入後のお客様の声
BIOVIA Notebookにより実験の記録を一元管理することで、必要な情報に素早くアクセス可能。研究開発にかかわる業務を大幅に効率化します。
過去の実験データの検索に1日あたり30分以上かかっていた | 実験データ検索にかかる時間を1/5以下に大幅に削減できた |
情報が共有されない事により、過去に行った実験と似たような実験を行っており、時間とコストが無駄になっている | 記録や検索方法の工夫により、過去データなどの知見を効率的、網羅的に確認できるようになった。重複実験が減り、新しい考察での実験が可能となった |
実験結果と、考察・経緯の情報が紐づいていない | 測定データ、情報元URL 、別添資料などの添付機能により、実験に紐づく情報を一気通貫で管理できるようになった |
BIOVIA Notebookの導入事例
BIOVIA Notebookは、研究開発を行うあらゆる企業様の開発業務をサポート。製薬、化学、材料、食品など幅広い分野の企業様に採用いただいています。
グローバルで実績があり、日本では株式会社レゾナック・ホールディングス様、日華化学株式会社様、株式会社ロッテ様、キリンホールディングス株式会社様などで採用されています。
Kalexsyn社様 | 臨床試験受託機関として顧客へのサービス効率化のために導入。データ入力に費やしていた時間を25%削減できました。 |
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ファイザー社様 | 医薬品化学部門にて分析、プロセス、製剤開発を担当する研究者を対象に導入。BIOVIA Notebook導入後、実験記録の検索が容易になり、過去の作業記録をベースに実験を行えるようになりました。 |
DOW CHEMICALS社様 | BIOVIA Notebookにより、地域や部門をまたいでのコラボレーションを実現。年間2,400万ドルの節約を達成しました。 |
UNILEVER DIGITALLY ENABLED R&D社様 | 全世界4,000人の研究者にBIOVIA Notebookを導入。生産性が向上し、年間3,000万ドルの節約を達成しました。 |
BIOVIA Notebookの機能
豊富な検索機能
キーワード検索はもちろん、タグ検索、化学構造検索、添付ファイル内からの検索、条件指定検索も可能です。特に、化学構造検索はBIOVIA Notebook独自の機能です。
ノート構成を簡単にカスタマイズ可能
ノート構成を自由にカスタマイズできます。必要に応じテンプレート化も可能。社内の知識共有をさらにスムーズにすることができます。
管理されている実験の項目や順番は各社で異なると思いますが、ノート構成をご要望される形にカスタマイズ可能です。また実験プロジェクト単位でのテンプレート作成なども容易に作成できます。
関連データを貼り付けて一元管理
実験に関連する様々な形式の関連データを貼り付けできます。
貼り付け可能なデータ
Excel / PowerPoint / Word / PDF などの文書
JPG / GIF / スクリーンショット などの画像
分析機器から出力されたデータ
URL / 過去の実験ノート などへのリンク
電子署名機能により知的財産を保護
電子署名と承認プロセスに必要な各種機能を標準搭載。承認完了後、デジタル署名を付与したPDFが発行され、データ修正などが不可になります。捏造や改ざんを防止するとともに、知的財産保護に貢献します。
監査証跡機能・アクセス制限機能
いつ、誰が、何を編集したか、編集履歴を確認できます。実験ノートへのアクセス権限を設定することで、指定したグループ内でのみ共有することも可能です。
BIOVIA Notebookの導入について
オンプレミス版 / クラウド版 が選択可能
以下2つのタイプから選択可能です。
オンプレミス版 | 専用サーバーで運用 |
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クラウド版 | ダッソー・システムズ株式会社提供のクラウド環境で運用 |
オンプレミス版はクラウド版よりも機能が豊富なため、オンプレミス版で導入されるお客様が多数を占めます。
オンプレミス版のメリット
アクセス速度が速い
貴重な情報を外部から隔離できる
他データベースとの連携ができるなど、拡張性が高い
カスタマイズが可能
※データサイエンスツール「BIOVIA Pipeline Pilot」の一部機能が付属します
スモールスタートで導入可能 / 無料トライアルも実施
まずは少ないライセンス数からでも導入可能です。また、無料トライアルも行っています。詳細はお気軽にお問い合わせください。
BIOVIA Notebookの拡張性
データサイエンスツール「BIOVIA Pipeline Pilot(バイオビア パイプライン パイロット)」を通じて、BIOVIA Notebookに蓄積したデータをさらに有効活用することが可能です。
レポートの自動作成や、外部データベース ・システムとの連携などを実現できます。
BIOVIA Notebookのカスタマイズ性 |
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カスタマイズ例
試薬の法規制チェック
電子実験ノートと法規制データベースを連携し、配合設計の材料について抵触する法規制の一覧をノートに自動出力。
実験ノート間の関係を可視化
実験ノートに、他の実験ノートとの関連付けを記録しておくことで、実験ノート間の関係をネットワーク図のように可視化。
複数の実験ノート上の情報を集約・可視化
実験ノートに帳票形式で記録されたデータを集約し、表やグラフ等で表示。
BIOVIA製品との連携
電子実験ノートBIOVIA Notebookは、あらゆるラボ業務をデジタル化・統一化して最適化する一連のアプリケーション群「BIOVIA Unified Lab Management(ULM)」のなかの一製品です。
BIOVIA Notebookと他のBIOVIA 製品は連携が可能で、ラボ業務全体の情報を一貫して管理することができます。
BIOVIA | ラボ業務管理ソフトウェア |
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BIOVIA | 手順とSOP管理・ワークフローの構築 |
BIOVIA | 化学物質管理(在庫管理)システム |
BIOVIA | データ・サイエンス・ツール |
BIOVIA | 計算科学システム |
ウェーブフロントならではのサポート体制
機能拡張に柔軟に対応可能
エンジニア在籍のため、お客様の要望にあわせた柔軟な機能拡張が可能です。細やかなカスタマイズを実現し、お客様の研究開発のスピード向上と業務効率化に貢献します。
BIOVIAシリーズ製品に精通した代理店
国内でBIOVIAシリーズ製品を複数扱う代理店は少ないなか、ウェーブフロントは10年以上にわたり、BIOVIAシリーズ製品を取り扱っています。BIOVIAシリーズに精通した当社だからこそ、様々な拡張機能をご提案可能です。
国内ならではのサポート体制
運用上の課題を丁寧にヒアリングし、カスタマイズや他関連製品との併用など、複数の選択肢から最適な管理方法をご提案します。
スムーズに導入いただけるよう、研究者と管理者それぞれに対して講習も実施。
導入後も、最適な運用がされているかの状況確認を行います。必要に応じてライセンス追加やカスタマイズにも対応いたします。
株式会社ウェーブフロントについて
確かなエンジニアリング力で産業の高度化と効率化を支援します。
会社設立当初から熱流体解析システムの開発、コンサルティング業務、製造業を対象とした業務システムの開発に携わっており、同業他社では対応が難しい問題の解決や製品を世の中に出してきました。
そのため、ポンプの熱流動解析およびプラズマ解析、故障解析、機能安全に関する当社の知識・技術力は、競合他社に比べて非常に高く評価されています。
また、当社の業務システムに関するコンサルティング能力は、国の組織から民間企業に至るまで、高い評価を頂いており、それに伴い、当社の開発するシステムも数多く導入されています。
近年では研究所のDXや業務系システムに機械学習を組み合わせたソリューションの提供に力を入れており、新しい技術への取り組みを積極的に行っております。
特にラボ管理の分野では試供品のトレーサビリティ確保や在庫管理、作業手順の標準化、蓄積されたデータの活用、分析に取り組んでおります。
社名 | |
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所在地 | 〒220-6112 神奈川県 横浜市 西区みなとみらい2-3-3クイーンズタワーB12階 |
設立年月日 | 1990年03月 |