LTCCとは?
LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)は、低温同時焼成セラミックスの略称であり、アルミナにガラス系材料を加えることで従来のセラミックス基板より低温での焼成を可能とした材料です。
LTCC技術を活用した「LTCC基板」の特長
LTCCグリーンシートを積層して作られた多層基板が「LTCC基板」です。
LTCC基板は以下のような優れた特性を有しているため、高周波モジュール、半導体パッケージ用の基板、耐環境性が要求される用途など幅広く利用されています。
高周波特性に優れる
LTCC基板は、高い誘電率と低い損失角を持っているため、高周波信号の伝送において優れた特性を示します。この特性を活かし、通信機器などの高周波を利用するアプリケーションで広く使用されます。
耐熱性・耐湿性に優れる
LTCC基板はセラミックス材料をベースとしていることから、高温や湿度の変化に強い特性を持ちます。そのため、自動車産業や屋外設置型の電子機器に適しており、環境条件が厳しい場所での使用に耐えることができます。
熱膨張係数がシリコンに近い
LTCC基板は熱膨張係数がシリコンチップと近いため、チップと基板間で生じる熱応力が小さく、熱サイクルによる疲労や故障のリスクを減少させることから、高い信頼性を持つベアチップ実装が可能です。
ベアチップ実装やキャビティ形成に有利
LTCC基板は、キャビティ(凹み)を形成しやすい特性があります。そのため、ICチップなどの敏感なコンポーネントを物理的に保護しながら実装することが可能となり、組み立て工程での柔軟性が向上します。
高密度実装基板の実現とモジュールの小型化に有利
LTCC技術は、多層構造が可能で、配線層を内蔵することができるため、高密度に電子部品を実装することができます。モジュール全体の小型化が可能となり、スペースが限られているアプリケーションでの利用が進んでいます。
山村フォトニクスのLTCC基板用グリーンシート
山村フォトニクスが提供するLTCC基板用のグリーンシートは、900℃を超えない温度での焼成が可能です。高い強度と低損失、低誘電率を保ちつつ、焼結時にも寸法の安定性を維持します。
高周波回路基板や車載用基板、各種LED用基板など、幅広い用途に使用されており、電子部品・モジュールの高性能化、小型・低背化には欠かせない材料として今後さらなる活用が見込まれています。
また、当社のグリーンシートは、鉛を含まない環境に配慮した製品です。
高い寸法安定性と印刷性
材料選定のノウハウ及び成膜技術により、焼結時の収縮率偏差を抑えることに成功。また、高い印刷性により、高密度・高精度加工が可能です。
XY収縮率公差 ±0.3%
L/S (Line & Space):50μm/50μm
高強度LTCC基板用グリーンシート
高強度LTCC基板用グリーンシートは、アルミナ基板に匹敵する抗折強度を提供し、電子部品やモジュールの性能向上やサイズの縮小、薄型化に適しています。
低温で基板を焼結できるため、高温焼成が必要なHTCC(高温同時焼成セラミックス)基板では使用できない低抵抗の導体(銀や金など)も利用可能です。
高強度タイプ / 高反射率タイプの特性
品名 | 単位 | GCS74系 | GCS79系 | |
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基板 | 特徴 | 高強度 | 高反射率 | |
誘電率 | ε | 7.4 | 7.9 | |
誘電体損失 | tanδ(%) | < 0.3 | < 0.3 | |
焼結体密度 | g/cm3 | 3.02 | 3.10 | |
抗折強度 | MPa | 300 | 210 | |
熱膨張係数 | ppm/°C | 5.7 | 4.9 | |
熱伝導率 | W/m・K | 3.3 | 1.7 | |
反射率 | % | 87 | 92 | |
シート | x-y収縮率 | % | 13.3±0.3 | 12.8±0.3 |
z収縮率 | % | (29) | (30) | |
対応シートサイズ | mm | □100~500 | □100~500 | |
シート厚み | μm | 30~200 | 30~200 |
低誘電損失LTCC基板用グリーンシート
低誘電損失LTCC基板用グリーンシートは、、5G通信のサブ6帯(3.6~6GHz)やミリ波帯(28GHz以上)での使用に適しており、非常に低い誘電損失を提供します。
これまでLTCC基板は信号処理回路や通信フィルターなどの部品やデバイスに利用されてきましたが、この素材は、高周波帯で要求されるさらに低い誘電損失を目指して開発されています。
汎用タイプ / 低誘電率・低損失タイプの特性
品名 | 単位 | GCS50系 | GCS60系 | GCS71系 | |
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基板 | 特徴 | 低誘電率 | 低損失 | 一般 | |
誘電率 | ε | 5.0 | 6.0 | 7.1 | |
誘電体損失 | tanδ(%) | < 0.3 | < 0.1 | < 0.3 | |
焼結体密度 | g/cm3 | 2.34 | 2.79 | 2.85 | |
抗折強度 | MPa | 120 | 240 | 250 | |
熱膨張係数 | ppm/°C | 3.9 | 4.8 | 5.3 | |
熱伝導率 | W/m・K | 1.1 | 2.1 | 2.6 | |
反射率 | % | - | - | 85 | |
シート | x-y収縮率 | % | 12.8±0.5 | 13.1±0.5 | 13.0±0.3 |
z収縮率 | % | (32) | (30) | (28) | |
対応シートサイズ | mm | □100~500 | □100~500 | □100~500 | |
シート厚み | μm | 30~200 | 30~300 | 30~300 |
シート受託加工
山村フォトニクスでは、シートの受託加工にも対応しています。
LTCC基板用グリーンシートの製造を通して蓄積してきた成膜技術を背景に、近年では、LTCCのようなガラスとセラミックスの混合材料だけでなく、セラミックス単体やガラス単体、その他様々な材料の成膜加工にも挑戦しています。"シート化"をキーワードに、これまでとは異なった使い方や用途への展開を模索し、お客様の開発をサポートします。
受託内容 | |
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材質 | ガラスセラミックス、セラミックス、ガラス 各種粉末 |
シートサイズ | □100~500mm |
シート厚み | 30~300μm |
各種物性 | ご相談ください |
シート化対応フロー
山村グループの材料設計技術
お客様の要求する特性を実現するため、山村フォトニクスでは、材料の設計開発にも注力しています。基板の特性に応じたガラスとセラミックスの適切な配合を設計するのはもちろんのこと、親会社である日本山村硝子ニューガラスカンパニーと協力してガラスの組成と成膜技術の両面から開発を進め、特徴ある製品を生み出せるよう、日々、努力を重ねています。
山村フォトニクスの特長
山村フォトニクスは、電子管用ガラス容器の製造で培ったガラスと金属の溶着技術(GTMS=Glass to Metal Seal)をコア技術とし、ガラス加工技術と高品質の気密封止技術を活かした製品を提供しています。
レーザーパッケージやセンサー、光通信に使われる光学部品、基板の材料として用いられるガラスセラミックス、インフラ設備や医療機器に組み込まれるガラス加工製品の3つの分野において事業を展開しています。
カスタマイズ対応
山村フォトニクスでは、カスタマイズ対応を重視しています。
標準品がご要求特性を満たさない場合は、お客様のご要望・ご用途に合わせ、標準品をベースとしたマイナーチェンジ、もしくは新規開発にてご対応いたします。また、既存の製品カテゴリ以外でも、自社技術を活かせる場合についてはご検討いたしますので、お気軽にお問合せ下さい。
カスタマイズ対応内容(例) | |
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光学部品 | 光学設計、光学コーティング、レンズ&ウィンドウ材質、金属材質など |
ガラスセラミックス | シートサイズ、厚み、色、膨張係数、誘電率、強度など |
ガラス加工 | 形状、材質など |
光学部品
山村フォトニクスでは、GTMS技術を活かしたキャップ・LID製品及びレンズ製品を開発製造しています。セラミックスや金属のパッケージとのマッチングを考慮した設計をご提案するとともに、用途に合わせた光学設計(レンズ、コーテイングなど)も可能です。
オプトエレクトロニクス関連製品 | |
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ガラスLID | ガラス窓と金属フレームを封着した製品で、LiDARやToFなどの技術を用いた各種センサー用部品、MEMS用パッケージやLEDパッケージなどの用途において、金属パッケージやセラミックスパッケージと組み合わせて幅広い用途で使用されています。 |
非球面 | 山村フォトニクスでは、非球面レンズのカスタム設計に対応しています。レンズ単体、鏡筒付き、レンズアレイなど、様々な形状の製品の設計を行っています。レンズ成型機を自社工場内に保有していることから、開発フェーズにおける少量試作にも対応可能です。 |
TO-Cap製品 | フラットウィンドウキャップ、ボールレンズキャップ、溶融レンズキャップ、非球面レンズキャップの全てのタイプのTO-Cap製品をラインナップしております。お客様のご要望に合わせ、形状や光学コーティングのカスタマイズ対応も承ります。 |
環境対応製品
弊社の製品は全てRoHS、REACHに対応しております。鉛フリー等、各種要求に合わせた製品を提供致します。
カスタマーサポート
営業部門に加え、技術・品管・新製品開発部が協力し、 開発から量産まできめ細やかにサポート致します。また、海外拠点のフットワークを活かし、海外のお客様対応もスピーディーに行っております。
企業情報
私たち山村フォトニクスは、お客様と共に歩みながら、これまでの「できない」を「できる」に変えていきます。
山村フォトニクスは、コンパクトな組織である利点を活かし、機動力と柔軟な対応力でお客様の開発を初期段階からサポートします。
開発型企業を目指し、市場の変化と技術の発展が目覚ましいエレクトロニクス分野において、スピーディーな開発を実現するため、小ロットからのカスタム設計にも対応することでお客様の理想の実現をお手伝いします。
山村フォトニクスでは、ガラスと金属の接合技術からスタートし、長年の経験と知識の蓄積によって、ガラスセラミックスの材料技術や小型部品のアッセンブリ技術など、多岐にわたるコア技術を生み出してきました。
私たちは、これらの技術を組合せ、お客様の要望を実現するとともに、新たな製品及び技術の開発に積極的に取り組み、通信、医療、自動車、産業用装置など、多様な市場の拡大と技術発展に貢献します。
会社概要
出展団体名 | 山村フォトニクス株式会社 |
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所在地 | 〒224-0053 神奈川県 横浜市都筑区池辺町4207 |
設立年月 | 1949年03月 |
URL |
山村フォトニクス株式会社
「光とガラス 」 の無限の可能性
ガラスのコア技術を活かし、エレクトロニクスの可能性に挑戦し続けます。
私たち山村フォトニクスは、真空管用ガラス製品で培ったガラス成型技術および金属とガラスの溶着技術( GTMS : Glas s To Metal Seal )に技術的基盤を置き、事業を展開してきました。
開発型企業として、市場の変化と技術の発展が目覚ましいエレクトロニクス分野において、オプトエレクトロニクス事業とガラスセラミックス事業の製品開発に注力しています。
私たちは、社内独自の技術を組み合わせることで 、新たな製品及び技術の開発に積極的に取り組み、通信、医療、自動車、産業用装置など、多様な市場の拡大と技術発展に貢献します。
また、コンパクトな組織である利点を活かし、機動力と柔軟な対応力でお客様の開発を初期段階からサポートするとともに、小ロットからのカスタム設計にも対応することでお客様の理想の実現をお手伝いします。
出展団体名 | 山村フォトニクス株式会社 |
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所在地 | 〒224-0053神奈川県横浜市都筑区池辺町4207 |
設立年月 | 1949年03月 |
URL | https://www.yama-ph.co.jp/ |