ソナス株式会社
ソナス株式会社 代表取締役 大原 壮太郎
東京大学大学院工学系研究科修了後、ソニー株式会社にて半導体開発に従事。その後、東京大学先端科学技術研究センター勤務を経てソナス株式会社共同創業、代表取締役就任。
企業情報
ソナス株式会社
「世界で最も信頼されるワイヤレスソリューションを確立し、IoTを実践する人々に喜びや驚きをもたらすとともに、あらゆる産業がIoTの恩恵を享受できる社会を実現する」
センサデータの活用は、IoT(Internet of Things)と呼ばれる1つの潮流となり、業界の壁を超えた「汎用的原動力」として、人々の生活を一変させつつあります。手探りで始まったこの変革は、基盤技術の未熟さから適用領域が大きく制限され、その可能性を十分に発揮できていません。開発者もユーザーもワクワクするような高性能IoT技術でこの足かせを取り払い、各種産業がIoTの恩恵を享受可能とすることで、社会を飛躍させることがソナスのミッションです。
ソニー株式会社で半導体のエンジニアでした。デジタル信号処理の部分の回路設計など少し研究に近い先端の設計をやっておりました。
退職するまでの最後の2年間は検証部隊・評価部隊といった営業に近いデータ出しのようなことをやっていました。単純なエンジニアリングというよりは人を巻き込んで情報を集めてくる仕事に近かったと思います。
UNISONetは今流行りのワードでもありますIoTの要素技術です。モノとモノをつなぐ無線通信の一つの規格で、独自の規格として世の中に打ち出しています。電池で動くような非常に高い省電力性という特徴があります。
UNISONetはマルチホップといいまして、バケツリレーでデータを広範囲に運んでいくような、業界を選ばない無線通信規格です。最近は製造業をはじめとした工場で導入されています。工場では、どうしても電波の遮蔽部分というのが出てきて全ての範囲をカバーできないことがあります。
そこをマルチホップ化で中継器を追加することにより、遮蔽部分を無くしてあげることができます。また省電力性により、長時間データを取得することができます。
無線によるデータ取得には、データが抜けてしまう、取れたデータの品質が悪いと解析できないといった問題があるのですが、UNISONetは安定して抜けなく高品質なデータを取ることができます。
色々と自分の成長を考える中で、ある朝起きた時に、「今日会社に行きたくないな」と思いました。今日何をするかということを自分で決めたいと急に強烈に思いました。
自分がどのように成長できるか、何をするかということを決められる道筋とは何だろうと色々考えた結果が起業でした。
最初はソニー時代から下積みでやってきた、「保育のIT化」で起業しました。その当時保育業界のIT化が進んでいないというところに目をつけました。
実は2015年の8月にスタートして11月には頓挫しました。ライバル会社をウォッチした時、逆転は難しいかなと思ったことと、僕が解決しようと思っていた課題がすでに解決されてしまっているということがあり、一旦その事業としては諦めるという決断をしました。
ユビキタスの世界では全てのものに資源が投入され、それがネットワークで繋がって、たくさんの夢のようなことが実現すると言われていましたが、その世界に程遠いことを今のIoTはやっていると感じていました。それって何でだろうと思った時に「無線の難しさ」ということがあるなと考えました。
そのような時に、旧知の仲であった鈴木(現CTO)と飲みに行く機会がありました。鈴木が言っていることは、どうやらそれを解決するポテンシャルがあるんじゃないか、というのをその時感じました。
自分が辿ってきた経緯を鈴木に話したところ、彼も何か思うところがあったようで、「ついにこれを世に出す時が来たんじゃないかなと思っていて、お前と一緒にやりたい」と言ってくれました。
鈴木とは非常に長い付き合いで私を指導してくれてた先輩でもあったので、彼が良いというものものは間違いなく良いものなんだろうという信頼感があり、その場で「やりましょう」という返事をしました 。それがUNISONetの始まりです。
これは賭けてみる可能性があるなと直感的に思いました。不安があったかなかったかと言われると、なかったです。どちらかと言うとワクワク感というか、昇る感じしかその時はありませんでした。
その後、鈴木と話し一度大学に戻るという選択をしました。まだUNISONetが技術的に成熟していない、実装してこなれていかないといけないという課題感がありましたので、それを解決すべく大学に戻る決断をしました。
その時にもう一人の共同創業者である神野と出会い、3人で正式にスタートしたのが2017年の4月になります。
物を売るとなった時に一番問題になったのが品質です。 実際の現場に持っていくと止まってしまうということが非常に辛かったのを覚えています。自分は事業側で動いていたので営業もかけて物は売れる、しかし売るものの品質が安定しませんでした。
その品質をあげられるのが当時CTOの鈴木しかいなかったので、彼一人にかなりプレッシャーがかかる状況でした。一時期、品質だけに特化しようという話をしたこともあり、この時期はかなりきつかったです。
UNISONetが成し遂げようとしているのは、 IoTの足枷を外し、全ての産業がIoTの恩恵を与るというようなところの手助けです。UNISONetをIoT無線のグローバルスタンダードにしていくという目標を掲げてやっています。
我々だけで閉じてできる目標ではなく、色々な企業と協力しながら、世界中でUNISONetが使われているということを目指してやっていきたいと思っています。