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CO2レーザーとファイバーレーザーの違い|用途別の選び方

CO2レーザーとファイバーレーザーは、波長や媒質の違いにより対応素材と得意な加工が大きく異なります。レーザー加工機の導入を検討する際は、加工したい素材と用途に合ったレーザータイプを選ぶことが重要です。

本記事では、CO2レーザーとファイバーレーザーそれぞれの仕組み・特徴・対応素材の違いを整理し、看板製作や金属マーキングなど代表的な用途ごとの選び方を解説します。

この記事で分かること

  • CO2レーザーとファイバーレーザーの発振原理と波長の違いがわかる。
  • それぞれのレーザーが得意とする素材と加工方法を把握できる。
  • 看板製作・金属マーキング・アパレルなど用途別に適したレーザータイプを判断できる。
  • 非金属と金属の両方を扱う場合の選定基準がわかる。

CO2レーザーの仕組みと特徴

CO2レーザーは、二酸化炭素を主成分とするガスを媒質として使用するレーザー方式です。レーザー加工機の中でも長い歴史を持ち、幅広い分野で活用されています。

発振の仕組み

CO2レーザーは、ガスレーザーの一種です。二酸化炭素、窒素、ヘリウムなどの混合ガスを封入した発振管内で放電を行い、ガス分子を励起させてレーザー光を発生させます。発生したレーザー光は、ミラーで構成された光学系を通って加工ヘッドに導かれ、レンズで集光されて素材に照射されます。

波長と吸収特性

CO2レーザーの波長は10.6μm帯の赤外線領域にあります。この波長は、木材、アクリル、紙、布、皮革、ゴムなどの有機材料に吸収されやすい特性を持っています。素材がレーザー光を効率的に吸収することで、熱エネルギーへの変換効率が高まり、カットや彫刻が可能になります。

得意な加工

CO2レーザーは、非金属素材のカットと彫刻を得意としています。木材やアクリルのカットでは、美しい切断面が得られます。彫刻加工では、素材表面を部分的に除去して文字やデザインを刻み込むことができます。紙や布の精密なカット、皮革への彫刻など、幅広い素材と加工方法に対応できる汎用性の高さが特徴です。

ファイバーレーザーの仕組みと特徴

ファイバーレーザーは、光ファイバーを媒質として使用するレーザー方式です。近年普及が進んでおり、金属加工の分野で特に存在感を高めています。

発振の仕組み

ファイバーレーザーは、希土類元素(イッテルビウムなど)を添加した光ファイバーを増幅媒質として使用します。半導体レーザー(レーザーダイオード)から出力された光がファイバー内を通過する際に増幅され、高品質なレーザー光として出力されます。光ファイバーで光を導くため、ミラーを使った光路調整が不要で、光学系の構造がシンプルになります。

波長と吸収特性

ファイバーレーザーの波長は1.06μm帯の近赤外線領域にあります。この波長は、金属に吸収されやすい特性を持っています。ステンレス、アルミニウム、真鍮、銅、チタンなど、さまざまな金属素材への加工が可能です。一方、CO2レーザーが得意とする木材やアクリルへの加工は、波長の違いにより効率が低くなります。

得意な加工

ファイバーレーザーは、金属へのマーキングと薄板金属のカットを得意としています。マーキングでは、金属表面にシリアルナンバー、ロゴ、2次元コードなどを恒久的に印字できます。ビーム品質が高く、焦点径を小さく絞れるため、微細な文字や高解像度のグラフィックの印字が可能です。薄板のカットでは、ステンレスやアルミニウムなどの金属を高速で切断できます。

対応素材の違い

CO2レーザーとファイバーレーザーは、波長の違いにより対応できる素材が大きく異なります。それぞれのレーザーが得意とする素材を理解することが、適切な機種選定の第一歩となります。

CO2レーザーの対応素材

CO2レーザーは、非金属素材全般に対応しています。木材(合板、MDF、無垢材など)、アクリル(キャスト材、押出材)、紙・段ボール、布・繊維、皮革(天然、合成)、ゴム、コルク、ガラス(彫刻のみ)、石材(彫刻のみ)などが代表的な加工対象です。有機材料への加工が得意であり、カットと彫刻の両方に対応できる素材が多いのが特徴です。

ファイバーレーザーの対応素材

ファイバーレーザーは、金属素材への加工を得意としています。ステンレス、アルミニウム、真鍮、銅、チタン、金、銀などの金属にマーキングやカットが可能です。また、一部の樹脂素材(ABS、ポリカーボネートなど)へのマーキングにも対応できます。ただし、木材やアクリルなどCO2レーザーが得意とする素材は、ファイバーレーザーでは効率的に加工できません。

重複する領域

一部の素材は、両方のレーザーで加工可能な場合があります。たとえば、アルマイト処理されたアルミニウムはCO2レーザーでもマーキングが可能ですし、塗装金属の表面層はCO2レーザーで除去できます。ただし、得意・不得意があるため、素材と加工目的に応じて適切なレーザーを選ぶことが重要です。

用途別の選び方

レーザー加工機を選ぶ際は、加工したい素材と用途を明確にしたうえで、CO2レーザーとファイバーレーザーのどちらが適しているかを判断します。以下に、代表的な用途と推奨されるレーザータイプを整理します。

看板・ディスプレイ製作

アクリルや木材を使った看板・ディスプレイの製作には、CO2レーザーが適しています。文字の切り抜き、複雑なデザインのカット、素材表面への彫刻など、看板製作に必要な加工のほとんどをCO2レーザーでカバーできます。アクリルのカットでは、透明感のある美しい切断面が得られます。

金属部品へのマーキング

金属部品へのシリアルナンバーや2次元コードの印字には、ファイバーレーザーが最適です。金属表面に恒久的な印字が可能であり、摩耗や薬品に対する耐久性も確保できます。トレーサビリティが求められる製造業では、部品識別のためにファイバーレーザーマーカーが広く使用されています。

模型・試作品製作

建築模型や製品モックアップの製作には、素材に応じてレーザーを選択します。紙、段ボール、スチレンボード、木材、アクリルなどを使用する場合はCO2レーザーが適しています。金属パーツを組み合わせる場合や、金属プレートへの刻印が必要な場合はファイバーレーザーを併用することもあります。

アパレル・革製品

布や皮革の裁断・彫刻には、CO2レーザーが適しています。複雑なパターンの裁断、皮革へのロゴや模様の彫刻、レース状の細かい切り抜きなど、アパレル・ファッション分野で必要とされる加工に幅広く対応できます。切断端が熱で処理されるため、布のほつれ防止効果も得られます。

両方の素材を扱う場合

非金属素材と金属素材の両方を扱う場合は、どちらの加工頻度が高いかを基準に選定します。非金属素材の加工が主であればCO2レーザーを優先し、金属へのマーキングや薄板カットが主であればファイバーレーザーを優先します。両方の加工を高頻度で行う場合は、2台のレーザー加工機を導入するか、レーザー源を切り替えられるハイブリッド機を検討する方法もあります。

[CO2レーザー ファイバーレーザー 違い]に関連するFAQ

CO2レーザーで金属を加工することはできますか?

基本的にCO2レーザーは非金属素材の加工を得意としており、金属への加工は効率が低くなります。ただし、アルマイト処理されたアルミニウムへのマーキングや、塗装金属の表面層の除去など、一部の条件では対応可能な場合もあります。

ファイバーレーザーで木材やアクリルを加工できますか?

ファイバーレーザーの波長(1.06μm帯)は木材やアクリルなどの有機材料に吸収されにくいため、効率的な加工は困難です。木材やアクリルのカット・彫刻にはCO2レーザーが適しています。

非金属と金属の両方を加工したい場合はどうすればよいですか?

どちらの加工頻度が高いかを基準に優先するレーザータイプを選定します。両方を高頻度で行う場合は、2台の加工機を導入するか、レーザー源を切り替えられるハイブリッド機を検討する方法もあります。

ファイバーレーザーのマーキングはどのような用途に使われていますか?

金属部品へのシリアルナンバー、ロゴ、2次元コードなどの恒久的な印字に広く使われています。摩耗や薬品に対する耐久性が高いため、トレーサビリティが求められる製造業での部品識別に多く採用されています。

この記事のまとめ

  • CO2レーザーは波長10.6μm帯で、木材・アクリル・布・皮革などの非金属素材のカットと彫刻を得意とする。
  • ファイバーレーザーは波長1.06μm帯で、ステンレスやアルミニウムなどの金属へのマーキングと薄板カットを得意とする。
  • 看板・ディスプレイ製作やアパレル分野にはCO2レーザー、金属部品への印字にはファイバーレーザーが適している。
  • 両方の素材を扱う場合は、加工頻度の高い素材を基準にレーザータイプを選定する。

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