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金属へのレーザーマーキング|黒色印字・白色印字・深彫りの違い

金属へのレーザーマーキングには、黒色印字・白色印字・深彫りという代表的な3つの方法があり、それぞれ原理や仕上がり、適した用途が異なります。求められる視認性・耐久性・外観に応じて適切な方法を選ぶことが、品質と生産性を両立させるポイントです。

本記事では、各マーキング方法の原理と仕組み、仕上がりの特徴、適した金属素材と用途の違いについて解説します。

この記事で分かること

  • 黒色印字・白色印字・深彫り加工それぞれの原理と仕組みがわかる。
  • 各方法の仕上がりの違い(表面状態・コントラスト・凹凸の有無)が理解できる。
  • マーキング方法ごとに適した金属素材と主な用途を把握できる。
  • 用途や環境に応じた加工方法の選び分けの考え方がわかる。

金属へのレーザーマーキングの原理

金属へのレーザーマーキングは、レーザー光を金属表面に照射し、熱エネルギーによって表面の状態を変化させることで印字を行う加工方法です。インクやラベルを使用しないため、印字が剥がれたり消えたりする心配がなく、恒久的なマーキングが可能です。

使用されるレーザーの種類

金属へのマーキングには、主にファイバーレーザーが使用されます。ファイバーレーザーの波長は1.06μm帯の近赤外線領域にあり、金属に吸収されやすい特性を持っています。ステンレス、アルミニウム、真鍮、銅、チタン、金、銀など、さまざまな金属素材に対応できます。

マーキングの仕組み

レーザー光が金属表面に照射されると、照射部分が急速に加熱されます。レーザーの出力、照射時間、走査速度などのパラメータを調整することで、金属表面に酸化、溶融、蒸発といった異なる変化を起こすことができます。この変化の違いが、黒色印字、白色印字、深彫りといった異なるマーキング方法の基盤となっています。

マーキングに適した金属素材

ファイバーレーザーでマーキングできる金属素材は多岐にわたります。ステンレスは酸化発色による高コントラストな印字が得やすく、最も一般的にマーキングされる素材です。アルミニウムは白色印字との相性が良く、陽極酸化(アルマイト)処理された素材では黒色印字も可能です。真鍮や銅は熱伝導率が高いため加工条件の調整が必要ですが、深彫り加工に適しています。チタンは医療機器や航空宇宙分野で使用され、酸化発色によるカラーマーキングも可能です。

黒色印字の方法と用途

黒色印字は、金属表面を酸化させることで黒色または濃い灰色の印字を行う方法です。アニーリング(焼きなまし)マーキングとも呼ばれ、金属表面に高コントラストな印字が得られます。

黒色印字の原理

黒色印字では、レーザー光を比較的低出力で長時間照射することで、金属表面を深く加熱します。この熱によって金属表面に酸化膜が形成され、酸化膜の厚さに応じて黒色や濃い灰色に発色します。表面を溶かしたり削ったりしないため、金属表面の平滑性が維持されます。

仕上がりの特徴

黒色印字は、金属表面の酸化による発色のため、印字部分に凹凸がほとんど生じません。表面がフラットなまま高コントラストな視認性が得られるのが特徴です。また、酸化膜は金属内部と化学的に結合しているため、摩耗や洗浄に対する耐久性が高く、長期間にわたって印字が維持されます。

適した用途

黒色印字は、視認性と耐久性の両方が求められる用途に適しています。医療機器や手術器具では、滅菌処理に耐えられる恒久的な識別マーキングが必要とされ、黒色印字が広く採用されています。ステンレス製の部品やハウジングへのシリアルナンバー、製造ロット番号、2次元コードの印字にも活用されています。外観上の凹凸が許容されない精密部品にも適した方法です。

黒色印字に適した素材

黒色印字はステンレスとの相性が特に良好です。ステンレスの表面にレーザーを照射すると、酸化クロムを主成分とする黒色の酸化膜が形成され、はっきりとしたコントラストが得られます。チタンも酸化発色しやすい素材であり、黒色だけでなく、加工条件を調整することで青や金色などのカラーマーキングも可能です。

白色印字の方法と用途

白色印字は、金属表面を微細に溶融させることで白っぽい外観の印字を行う方法です。表面に微細な凹凸が生じ、光の散乱によって白く見える仕上がりになります。

白色印字の原理

白色印字では、黒色印字よりも高い出力のレーザー光を短時間で照射します。これにより金属表面が瞬間的に溶融し、再凝固する際に微細な凹凸構造が形成されます。この凹凸構造が光を散乱させることで、印字部分が周囲の滑らかな金属表面に比べて白く見えます。

仕上がりの特徴

白色印字は、印字部分にわずかな凹凸が生じます。触ると表面のざらつきを感じられる程度の微細な変化です。仕上がりの白さは、レーザーの出力や走査パターンによって調整でき、より高い出力やパルス数を増やすことで、より白い印字が得られます。背景の金属色との明度差によって視認性が確保されます。

適した用途

白色印字は、暗い色や光沢のある金属表面に対して効果的です。アルミニウムの地肌やアルマイト処理された黒色・暗色の表面では、白色印字によって高い視認性が得られます。工具や機械部品への品番・型番の印字、アルミ製筐体へのロゴやマークの印字などに使用されています。

白色印字に適した素材

白色印字はアルミニウムとの相性が良好です。アルミニウムは比較的柔らかく、レーザーによる表面溶融が起こりやすいため、白色の発色が得やすい素材です。暗い色にアルマイト処理されたアルミニウムでは、白色印字によるコントラストがさらに際立ちます。ステンレスでも白色印字は可能ですが、黒色印字ほどのコントラストは得られない場合があります。

深彫り加工の方法と用途

深彫り加工は、レーザーで金属表面を繰り返し削り取ることで、深さのある彫刻を行う方法です。エングレービングとも呼ばれ、物理的に削り込んだ恒久的なマーキングが可能です。

深彫り加工の原理

深彫り加工では、高出力のレーザー光を同じ箇所に繰り返し照射します。レーザー光が金属表面に当たると、照射部分が溶融・蒸発して除去されます。この照射を何度も繰り返すことで、金属を徐々に掘り下げていき、深さのある彫刻が形成されます。彫りの深さは、照射回数(パス数)やレーザー出力によって調整できます。

仕上がりの特徴

深彫り加工では、印字部分が明確に凹んだ状態になります。指で触ると彫りの深さを感じられる程度の凹みが生じます。彫り込まれた部分は、金属が除去されているため、摩耗によって印字が消えることがありません。過酷な使用環境でも長期間にわたって識別性を維持できる、最も耐久性の高いマーキング方法です。

適した用途

深彫り加工は、摩耗や腐食が激しい環境で使用される部品への印字に適しています。金型やダイスなど、繰り返しの使用で表面が摩耗する工具への識別情報の刻印に活用されています。また、真鍮や銅の銘板、記念品のプレート、高級品への刻印など、質感のある彫刻表現が求められる用途にも使用されます。彫り込んだ部分に塗料を流し込むことで、色付きの印字を行うこともできます。

深彫り加工の留意点

深彫り加工は、黒色印字や白色印字に比べて加工時間が長くなります。深く彫り込むほど照射回数が増えるため、加工効率は低下します。また、金属を除去するため、印字部分の寸法や強度に影響を与える可能性があります。精密部品や薄肉部品への深彫りでは、設計段階での考慮が必要です。

[金属 レーザーマーキング]に関連するFAQ

黒色印字と白色印字はどのように使い分ければよいですか?

素材の色と求められるコントラストに応じて使い分けます。ステンレスなど明るい金属表面には黒色印字が高いコントラストを得やすく、暗色のアルマイト処理面などには白色印字が効果的です。

深彫り加工はどのような場面で選ばれますか?

摩耗や腐食が激しい環境で使用される部品への印字に適しています。金型や工具など、表面が繰り返し摩耗する用途では、物理的に彫り込む深彫り加工が長期間の識別性を維持できます。

ファイバーレーザーで対応できる金属素材にはどのようなものがありますか?

ステンレス、アルミニウム、真鍮、銅、チタン、金、銀など幅広い金属素材に対応可能です。ただし素材ごとに熱伝導率や酸化特性が異なるため、加工条件の調整が必要になる場合があります。

黒色印字は表面に凹凸が生じますか?

黒色印字は酸化膜の形成によって発色するため、印字部分にはほとんど凹凸が生じません。表面の平滑性を維持したまま高コントラストな印字が得られる点が特徴です。

この記事のまとめ

  • 金属へのレーザーマーキングは、レーザーの熱エネルギーで表面状態を変化させる加工方法である。
  • 黒色印字は酸化膜の形成により発色し、表面の平滑性を保ったまま高コントラストな印字が得られる。
  • 白色印字は表面の微細溶融による光の散乱を利用し、暗色の金属表面に対して高い視認性を発揮する。
  • 深彫り加工は金属を物理的に掘り下げるため、過酷な環境でも消えない耐久性の高いマーキングが可能である。
  • 素材特性・使用環境・求められる外観に応じて、適切なマーキング方法を選定することが重要である。

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