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オンプレミスとクラウド型設備監視の違いは?コスト・拡張性・セキュリティで比較

設備監視システムの構築には、オンプレミス型とクラウド型の2つの選択肢があります。コスト構造や拡張性、セキュリティの考え方、運用負荷など、判断基準となるポイントはそれぞれ異なります。

本記事では、オンプレミスとクラウド型設備監視の違いを4つの軸で比較した上で、クラウド型が適しているケースや導入前に確認すべきポイントを解説します。

この記事で分かること

  • オンプレミス型とクラウド型の設備監視システムの基本的な違いがわかる。
  • コスト・拡張性・セキュリティ・運用負荷の4軸での具体的な比較ポイントがわかる。
  • クラウド型設備監視が有力な選択肢となるケースを把握できる。
  • クラウド型導入前に確認すべきネットワーク環境やSLAなどのチェック項目がわかる。

設備監視におけるオンプレミスとクラウドの違い

設備監視システムの構築方法は、大きくオンプレミス型とクラウド型の2つに分けられます。どちらもセンサーやPLC(Programmable Logic Controller)から取得したデータを収集・蓄積・可視化するという基本機能は同じですが、データを処理・保管するインフラの所在が根本的に異なります。

オンプレミス型の特徴

オンプレミス型は、自社の工場やデータセンター内に物理的なサーバーやネットワーク機器を設置し、設備監視システムを構築する方式です。データはすべて自社の管理下にあるため、外部ネットワークとの接続を最小限に抑えた閉域運用が可能です。

一方で、サーバーの調達・構築・保守はすべて自社(または委託先)が担うことになります。ハードウェアの経年劣化やOS・ミドルウェアのアップデート対応など、システムのライフサイクル全体を自社で管理する必要があります。

クラウド型の特徴

クラウド型は、クラウドサービス事業者が提供するインフラ上に設備監視システムを構築する方式です。現場のセンサーやゲートウェイ機器から取得したデータをインターネットまたは閉域網を経由してクラウド上に送信し、データの蓄積・分析・可視化をクラウド側で行います。

サーバーの物理的な管理が不要になるため、導入時のリードタイムが短く、拠点の追加やデータ量の増加にも柔軟に対応しやすいという利点があります。ブラウザベースのダッシュボードを通じて、場所を問わず設備の状態を確認できる点もクラウド型の大きな特徴です。

4つの軸で比較(コスト・拡張性・セキュリティ・運用負荷)

オンプレミス型とクラウド型を選定するにあたって、特に重要な判断基準となるのがコスト・拡張性・セキュリティ・運用負荷の4つの軸です。それぞれについて具体的に比較します。

コスト構造の違い

オンプレミス型は、サーバーやネットワーク機器の購入費用、設置工事費、ソフトウェアライセンス費など、初期投資が大きくなる傾向があります。加えて、ハードウェアの保守契約費やサーバー室の電力・空調コストなど、ランニングコストも継続的に発生します。数年ごとのサーバーリプレース費用も見込んでおく必要があります。

一方、クラウド型は初期投資を抑え、月額または年額の利用料として費用が発生するサブスクリプション型のコスト構造が一般的です。設備投資ではなく経費として処理できるため、予算計画が立てやすいという利点もあります。ただし、データ量や接続デバイス数が増えるにつれて月額費用が増加するモデルもあるため、長期的な総所有コスト(TCO)での比較が重要です。

比較項目 オンプレミス型 クラウド型
初期費用 高い(機器購入・構築費用) 低い(月額課金が中心)
ランニングコスト 保守・電力・更新費用が発生 利用料として毎月発生
費用の予測性 突発的な修繕費が発生しやすい 比較的予測しやすい

拡張性の違い

設備監視の対象が増える場合、オンプレミス型ではサーバーの増設やネットワークの再設計が必要になることがあります。特に、新たな拠点を監視対象に追加する場合には、その拠点ごとにサーバーやネットワーク環境を用意しなければならないケースもあり、拡張にかかる時間とコストが大きくなりがちです。

クラウド型では、監視対象のデバイスやセンサーを追加登録するだけで、サーバー側のリソースはクラウド事業者が自動的にスケーリングします。拠点が増えた場合も、現場にゲートウェイ機器を設置してクラウドに接続するだけで、同一のダッシュボード上に統合できます。段階的に監視対象を拡大したい場合にはクラウド型の方が対応しやすいといえます。

セキュリティの考え方

セキュリティについては、オンプレミス型とクラウド型で「安全性の高さ」が一概にどちらが優れているとはいえません。それぞれ異なるリスクと対策のアプローチがあります。

オンプレミス型は、データが自社内に閉じているため、外部からの攻撃リスクを物理的に低減できます。しかし、セキュリティパッチの適用やファイアウォールの設定・監視など、すべてのセキュリティ対策を自社で行う必要があります。専任のセキュリティ人材が不足している場合、脆弱性への対応が遅れるリスクがあります。

クラウド型は、インターネットを経由する以上、通信経路の暗号化やアクセス制御が不可欠です。ただし、主要なクラウドサービスでは通信の暗号化(TLS)やデータの暗号化保存、多要素認証、アクセスログの記録といったセキュリティ機能が標準的に提供されています。セキュリティ対策の一部をクラウド事業者に委ねられるため、自社で対応すべき範囲を明確にした上で利用することが重要です。

観点 オンプレミス型 クラウド型
データの所在 自社内 クラウド事業者のデータセンター
セキュリティ対策の主体 すべて自社 事業者と自社で分担
パッチ適用・更新 自社で実施 インフラ層は事業者が対応

運用負荷の違い

日常的な運用負荷は、オンプレミス型とクラウド型で大きな差が出やすい領域です。

オンプレミス型では、サーバーの稼働監視、バックアップの管理、障害発生時のハードウェア交換、OSやミドルウェアのアップデートなど、インフラ層の運用業務が継続的に発生します。これらの業務には専門知識を持つ人材が必要であり、情報システム部門のリソースを圧迫する要因になります。

クラウド型では、インフラ層の運用がクラウド事業者側で行われるため、自社が担当するのはアプリケーション層(監視ルールの設定、アラートの管理、ユーザー管理など)が中心になります。サーバーの物理的なメンテナンスやハードウェア障害への対応が不要になるため、少人数の体制でも設備監視を運用しやすくなります。

クラウド型が適しているケース

すべてのケースでクラウド型が優れているわけではありません。しかし、以下のような条件に当てはまる場合は、クラウド型の設備監視が有力な選択肢になります。

複数拠点の設備を一元管理したい場合

複数の工場や事業所にまたがる設備を一つの画面で監視したい場合、クラウド型の利点が大きくなります。オンプレミス型で同様のことを実現しようとすると、拠点間のネットワーク構築やVPN設定が必要になり、構成が複雑化します。クラウド型であれば、各拠点のゲートウェイからクラウドにデータを集約することで、拠点をまたいだ横断的な監視が比較的容易に実現できます。

スモールスタートで段階的に拡大したい場合

まずは一部の設備から監視を始め、効果を確認しながら対象を広げたいという場合にもクラウド型は適しています。初期投資を抑えて小規模に開始し、監視対象の追加に応じて利用リソースを柔軟に拡大できるためです。設備監視の導入が初めてで、運用のノウハウを蓄積しながら段階的にスケールさせたい企業にとっては合理的なアプローチです。

情報システム部門の人員が限られている場合

自社にサーバー管理やネットワーク運用の専門人材が十分にいない場合、オンプレミス型のインフラ運用は大きな負担になります。クラウド型であれば、インフラ層の運用をクラウド事業者に委ねられるため、限られたリソースを設備監視の本来の目的である設備の状態把握や異常の早期検知に集中させることができます。

遠隔からのアクセスが必要な場合

管理者や保全担当者が常に現場にいるとは限りません。出張先や本社から設備の状態を確認したい、夜間や休日にアラート通知を受け取って状況を把握したいといったニーズがある場合、クラウド型はインターネット経由でどこからでもアクセスできるため利便性が高くなります。

クラウド型設備監視の導入で確認すべきこと

クラウド型の設備監視を検討する際には、メリットだけでなく、導入前に確認・検討すべきポイントがあります。事前に以下の点を整理しておくことで、導入後のトラブルや想定外のコスト発生を防ぐことができます。

ネットワーク環境の整備

クラウド型はデータをインターネット経由で送信するため、現場のネットワーク環境が前提条件となります。工場内にインターネット接続環境が整っていない場合や、セキュリティポリシーで外部接続が制限されている場合は、閉域網サービスの利用やネットワーク構成の見直しが必要になることがあります。また、データの送信頻度や量に対して十分な帯域が確保できるかも確認すべきポイントです。

データの保管場所と取り扱いポリシー

クラウドに設備データを送信する以上、データの保管場所(データセンターの所在地域)やデータの取り扱いに関するポリシーを確認しておくことが重要です。業界や企業によっては、データの国内保管が求められるケースや、特定のセキュリティ認証を取得しているクラウド事業者を選定する必要があるケースもあります。

既存設備との接続性

監視対象となる設備がどのような通信プロトコルに対応しているかを事前に確認する必要があります。古い設備ではアナログ出力のみで、デジタルデータとして取り出すためにはセンサーやコンバーターの追加が必要になることもあります。クラウドサービス側がどのようなプロトコルやデバイスに対応しているか、ゲートウェイ機器のラインナップはどうかといった点を確認しましょう。

サービスのSLAと障害時の対応

クラウドサービスには、稼働率の保証やサポート対応に関するSLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意)が設定されています。設備監視は設備の異常をリアルタイムに検知する仕組みであるため、クラウドサービスが停止した場合の影響範囲とリスクを事前に評価しておく必要があります。クラウド側が停止しても現場の制御系には影響が出ない構成になっているか、データのローカルバッファリング機能があるかなど、障害時の挙動を確認しておくことが重要です。

将来的な機能拡張やデータ活用の見通し

設備監視は、まず設備の稼働状態の可視化から始まり、将来的にはデータ分析による予知保全や生産性の改善に活用していくことが期待されます。クラウド型のサービスを選定する際には、蓄積したデータをBIツールやAI分析基盤と連携できるか、APIが公開されているかなど、将来のデータ活用を見据えた拡張性も評価基準に含めておくとよいでしょう。

[設備監視 クラウド]に関連するFAQ

オンプレミス型とクラウド型の設備監視で、コスト面での大きな違いは何ですか?

オンプレミス型はサーバーやネットワーク機器の購入・構築による初期投資が大きくなる傾向があります。一方、クラウド型は月額・年額のサブスクリプション型が一般的で、初期費用を抑えられます。ただし、長期的な総所有コスト(TCO)で比較することが重要です。

クラウド型の設備監視はセキュリティ面で問題ないのですか?

クラウド型はインターネットを経由するため、通信の暗号化やアクセス制御が不可欠です。主要なクラウドサービスではTLSによる通信暗号化、多要素認証、アクセスログの記録などが標準的に提供されています。自社で対応すべき範囲とクラウド事業者が担う範囲を明確にした上で利用することが重要です。

クラウド型設備監視を導入する前に確認すべきポイントは何ですか?

現場のネットワーク環境が十分に整備されているか、データの保管場所やセキュリティポリシーが自社の要件を満たすか、既存設備の通信プロトコルとの接続性があるかなどを確認する必要があります。加えて、サービスのSLAや障害時の対応体制、将来的なデータ活用に向けた拡張性も評価しておくとよいでしょう。

クラウド型設備監視はどのような企業に向いていますか?

複数拠点の設備を一元管理したい企業や、スモールスタートで段階的に監視対象を拡大したい企業に適しています。また、情報システム部門の人員が限られている企業や、遠隔からの設備状態確認が求められる場合にもクラウド型の利点が大きくなります。

クラウドサービスが停止した場合、設備監視はどうなりますか?

クラウド側が停止しても現場の制御系に影響が出ない構成になっているかを事前に確認しておくことが重要です。データのローカルバッファリング機能があるかなど、障害時の挙動についてクラウド事業者のSLAとあわせて評価する必要があります。

この記事のまとめ

  • オンプレミス型は自社管理によるデータ統制が強みだが、初期投資やインフラ運用の負担が大きい。
  • クラウド型は初期費用を抑えやすく、拠点追加や監視対象の拡大に柔軟に対応できる。
  • セキュリティはどちらが優れるとは一概にいえず、それぞれ異なるリスクと対策のアプローチがある。
  • クラウド型はインフラ運用をクラウド事業者に委ねられるため、少人数体制でも運用しやすい。
  • 導入前にはネットワーク環境、データ保管ポリシー、既存設備との接続性、SLAなどの確認が欠かせない。

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