光通信向け半導体レーザーのモードホップ測定用光スペクトラムアナライザ|タクトタイム内での全数検査
限られたタクトタイムを守りながら、モードホップを見極める全数検査を実現
課題
検査時間の制約から検査条件を絞らざるを得ず、歩留まりを犠牲にせざるを得ない状況です。
解決策
多波長同時の高速測定とマルチモードファイバ入力で、タクトタイム内の多条件検査を実現します。
期待効果
諦めていた全数検査が実現し、真の不良を見極めて歩留まりと生産性の向上が期待できます。
光通信向け半導体レーザーのモードホップ測定
光通信向け半導体レーザーは、データセンターなどで使われる光トランシーバーの光源として組み込まれ、決められた波長で安定して発振することが求められます。発振する縦モードが不連続に切り替わって波長が飛ぶモードホップが生じると通信エラーの原因となるため、これらのレーザーではモードホップが許容されません。
本用途は、光通信向け半導体レーザーの出荷前検査において、発振スペクトルを測定してモードホップの有無を見極め、不良を選別するものです。量産ラインでは、温度や駆動電流などの条件を振りながら1台ごとにスペクトルの挙動を確認するため、スペクトル測定をどれだけ速く正確に行えるかが、検査品質と生産性の両立を左右します。
測定対象
SPG-V500の測定対象となる光通信向け半導体レーザーは、共振器構造によって次のように分類されます。
| 種類 | 正式名称 | 主な特徴・用途 |
|---|---|---|
| DFBレーザー | Distributed Feedback Laser(分布帰還型レーザー) | 内部の回折格子で単一波長を発振する、光通信で広く用いられる方式 |
| DBRレーザー | Distributed Bragg Reflector Laser(分布ブラッグ反射型レーザー) | 単一波長で波長可変性が高く、波長分割多重(WDM)などに用いられる |
| FPレーザー | Fabry-Perot Laser(ファブリペロー型レーザー) | 複数の縦モードで発振する方式。安価で短〜中距離の通信に用いられる |
| VCSEL | Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser(垂直共振器面発光レーザー) | 垂直方向に発光する面発光型。データセンター内の短距離用途で用いられる |
| PCSEL | Photonic-Crystal Surface-Emitting Laser(フォトニック結晶面発光レーザー) | 面発光型で高出力が得やすく、次世代の候補とされる |
光通信向け半導体レーザーには、変調方式の違いによってEML(電界吸収変調レーザー)やDML(直接変調レーザー)と呼ばれるものもあり、データセンター向けの光トランシーバーなどに用いられます。さらに今後は、次世代方式である光電融合(CPO)の外部光源(ELS)向けに、波長の安定した連続波レーザーの量産も見込まれており、こうしたレーザーも同様に出荷前検査の対象となります。
光通信向け半導体レーザーの量産における課題
全数検査の時間的制約
光通信向け半導体レーザーの出荷前検査では、全数検査にかかる時間がコストに直結します。限られたタクトタイムの中では検査条件を絞らざるを得ず、本来は良品となるレーザーまで安全側で不良と判定し、歩留まりを犠牲にせざるを得ない場合があります。
需要拡大と生産性の確保
AIデータセンター向けを中心に光通信デバイスの需要は拡大しており、レーザー光源の安定供給と生産性の向上が求められています。検査の精度を保ちながら生産量を高めることが、量産現場での共通の課題となっています。
レーザースペクトラムアナライザ SPG-V500による解決

多波長同時の高速スペクトル測定
SPG-V500は、回折格子で分光した光をイメージセンサで同時に検出するポリクロメータ方式のため、波長スキャンを行わずに一定範囲のスペクトルを高速かつ同時に取得します。SPG-V500(InGaAs type)では最小21 µsごとのスペクトルを繰り返し取得でき、モードホップのような瞬間的なスペクトル挙動も一瞬で捉えられます。温度や駆動電流を多数振っても短時間で測定できるため、限られたタクトタイムの中で取得できる情報量が増えます。
光学調整不要のマルチモードファイバ入力
SPG-V500はマルチモードファイバ入力に対応し、光ファイバを光源に向けるだけで測定できるため、精密な光学調整から解放されます。SPG-V500(InGaAs type)ではマルチモードファイバ使用時も50 pm以下の波長分解能を実現しており、セットアップ時間の短縮と、自動測定機への組み込みのしやすさにつながります。
光通信波長帯への対応
SPG-V500(InGaAs type)は950〜1700 nmの光通信波長帯に対応し、光通信向け半導体レーザーの測定に適しています。さらに、オプションの高ダイナミックレンジ測定モードを追加すると、最高60 dBのサイドモード抑圧比(SMSR)を1秒以下で取得でき、量産検査でも1台で広いダイナミックレンジの測定に対応できます。
SPG-V500活用による期待効果
諦めていた全数検査の実現
高速測定により、これまでタクトタイムに収まらず条件を絞らざるを得なかった検査でも、より多くの条件で全数検査を行えるようになることが見込まれます。タクトタイムを維持しながら、モードホップの有無を見極める検査の実現が期待できます。
真の不良の見極めと歩留まり改善
多くの条件でスペクトルを確認できることで、本当にモードホップを起こすレーザーを正確に見極められます。検査時間の制約から安全側で不良としていた製品の中に良品が含まれていた場合、同じ製造工程のままで生産量を高められる可能性があり、歩留まりの改善につながることが期待できます。
自動検査ラインへの展開
マルチモードファイバにより精密な光軸調整が不要なうえ、C#やPython、LabVIEWに対応した制御ライブラリで他機器と連携できます。これにより、検査の自動化や量産ラインへの組み込みが見込め、検査工程全体の効率化につながります。
関連製品・サービス
SPG-V500 レーザースペクトラムアナライザ
レーザースペクトラムアナライザSPG-V500は、従来の製品にはなかった高分解能とリアルタイム測定の両立を実現しました。深紫外から近赤外までカバーするSi typeと、光通信波長帯に対応したInGaAs typeの2タイプを用意しており、用途に応じてお選びいただけます。また、マルチモードファイバ入力により、光軸調整の手間を削減し、現場の効率化をさらに加速させます。
島津製作所では、光スペクトラムアナライザを含む分光器のご提案の他、回折格子の提供や光学配置設計も行っております。「分光」に関するお悩みは、島津製作所にお問い合わせください。