制御盤は、工場の生産設備や建物の各種設備を適切に制御するための重要な装置です。制御盤の受託開発を成功させるためには、設計プロセスを理解し、委託先の選定を慎重に行う必要があります。
本記事では、制御盤の基本的な構成から設計プロセス、さらに受託開発を依頼する際の重要なポイントまでを詳しく解説します。
制御盤とは、工場の機械や建物の設備などを制御するために電気部品や電気機器を配線してボックス内に収納された装置です。
建物の空調設備・工場の生産ライン・エレベーター・浄水場・ダムなど、さまざまな分野で幅広く活用されており、機械を電気で制御するための頭脳として重要な役割を果たしています。
制御盤は、まず頑丈な金属製キャビネットを基本構造としており、防塵・防水性能を備えた設計となっています。キャビネット内部は、以下のような主要な機器や部品が体系的に配置されています。
操作・表示部分 | ・操作用押しボタンスイッチやセレクトスイッチ ・運転状態を示すパイロットランプやLED表示器 ・タッチパネル式の操作インターフェース |
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制御機器 | ・シーケンス制御を行うPLC(プログラマブルロジックコントローラ) ・モーター速度制御用インバーター ・電磁接触器やタイマーリレー ・サーマルリレーなどの保護機器 |
配電部分 | ・主幹ブレーカーや分岐回路ブレーカー ・端子台や配線ダクト ・ノイズフィルターや変圧器 |
各機器は保守性と放熱性を考慮した配置となっており、必要に応じて冷却ファンも設置されています。また、盤内の配線は、強電回路と弱電回路を分離し、ノイズ対策も施されています。
加えて、制御盤の正面パネルには非常停止ボタンが設置され、緊急時の安全確保が図られています。メンテナンス時の作業性を考慮し、内部機器へのアクセスが容易な構造です。
制御盤の設計は以下のような基本的なプロセスで行われます。
製造ラインの具体的な制御ニーズを特定するための分析を実施します。生産設備の運転条件や安全要件を精査し、必要なセンサー、アクチュエーター、制御アルゴリズムなどを明確化。また、設置環境や運用条件なども考慮に入れた仕様書を作成していきます。
制御ユニット、配線、電源供給、冷却システムなどのハードウェアの詳細設計を行います。信頼性、耐久性、過負荷保護などの要素を考慮した上で、各機器の選定や配置を決定。さらに、保守性や将来の拡張性も加味した設計としています。
製品やプロセスの要求を満たすPLCプログラムやHMI画面の作成に着手します。制御アルゴリズム、制御ルーチン、故障診断機能などを組み込み、操作性や安全性に配慮したソフトウェアを構築。デバッグ作業も並行して進めていきます。
設計された制御盤の性能や安全性を厳格に評価。模擬テスト、実地試験、故障モードのテストなどを実施し、想定される様々な状況下での動作確認を行うとともに、必要に応じて改善点を洗い出していきます。
電気回路図、配置図、配線図などの各種図面を作成。現場での施工性や保守性を考慮した詳細な設計図を完成させ、部品表や仕様書などの付帯文書も整備していきます。
設計図面に基づき、必要な電気部品、電気機器、板金、塗装品などを選定し発注。納期管理を適切に行いながら、品質基準を満たす部材を確保していきます。
板金加工や電気部品の実装、電気機器の配線作業を実施。品質管理基準に従って、熟練技術者による精密な組立作業を進めていきます。
図面通りに機器が動作するか綿密な確認を実施。安全性や性能に関する各種検査を行い、出荷基準を満たしているかを厳密に判定します。
このような設計プロセスを通じて、制御盤は製造ラインの特定の要件とニーズに合わせてカスタマイズされます。
自社のニーズに適した制御盤を開発するには、専門知識を有した受託製造会社に依頼をする必要があります。
その際、以下のようなポイントを考慮することで、高品質で信頼性の高い制御盤の受託開発を実現できる可能性が高まるでしょう。
品質管理が不十分だと、制御盤の信頼性や耐久性が損なわれる可能性があります。委託先が定期的な品質チェックや問題発生時の対応策を持っているか確認しましょう。
また、品質マネジメントシステムの認証取得状況や、検査設備の充実度、品質管理担当者の配置状況なども重要な確認ポイントとなります。
制御盤の納期遅延は全体の生産スケジュールに影響を与える可能性があるため、委託先とスケジュールや納期を綿密に確認し、緊急対応の体制も確認しておくことが重要です。
特に、部品調達のリードタイムや、組立・検査に要する期間、輸送期間などの具体的な工程表を共有し、進捗管理の方法についても事前に合意しておくべきでしょう。
制御盤の組立には専門的な技術と経験が必要です。委託先の過去の実績や技術力を十分に確認しましょう。特に類似案件の対応実績、技術者の保有資格、設計・製作のノウハウ、トラブル対応の経験などを総合的に評価することが大切です。
また、最新の制御技術や規格への対応状況についても確認が求められます。
RFP(提案依頼書)を作成し、課題や求めるシステムの詳細を明確に提示することが重要です。システムの目的、必要な機能、性能要件、使用環境条件、安全基準、保守要件など、具体的な要求事項を漏れなく記載します。
また、将来の拡張性や保守性についての要件も明確にしておくと、より適切な提案を受けることができるでしょう。
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