粉体供給装置は、製造業における粉体原料の供給を正確かつ効率的に行うための設備です。本記事では、装置の基本構造から種類、導入メリット、さらには様々な産業分野での活用例まで、粉体供給装置について詳しく解説します。
粉体供給装置(パウダーフィーダー)は、粉体を次の処理工程や機器に正確かつ安定して供給するための装置です。ゲートの開閉調節、回転速度、振動力などを変化させることで供給量を制御します。一般的に、粉体容器と粉体流出管から構成される供給機構に振動発生装置を装着する構造になっています。
製薬業・食品産業・化学工業・化粧品産業・研究開発分野など、様々な産業分野で粉体の正確な供給と工程の効率化に貢献しています。
粉体供給装置は主に以下の部分から構成されています。
ホッパ部:原料を貯蔵する容器
ホッパ部は粉体原料を一時的に貯蔵しておく容器部分です。上部が広く下部が狭い漏斗状の形状となっており、粉体が自重で下方向へ移動しやすい設計となっています。
フィーダ部:原料を排出する機構
フィーダ部は貯蔵された原料を一定量ずつ排出するための機構です。スクリューやロータリーバルブなどの各種機構を用いて、安定した速度で粉体を下流工程へ送り出します。
計量部:排出量を測定する装置(重量式の場合)
計量部は排出される粉体の量を正確に測定するための装置です。特に重量式の場合、ロードセルを使用して実際の供給量をリアルタイムで検出し、設定値との誤差を最小限に抑える制御を行います。
粉体供給装置には、様々な種類があります。主な種類とその特徴は以下の通りです。
容積式供給機は、フンケンオートフィーダーなどが代表的な装置として知られています。付着性や凝集性の強い粉体でも高精度な供給を実現できる特長があります。
装置に搭載された独自の撹拌構造が架橋や閉塞を効果的に防止可能です。
定量フィーダは、連続生産における各種粉末の精密供給に適した装置です。ロス・イン・ウェイト方式を採用することで高精度な制御を可能にしています。
用途に応じて微量用と普通用のラインナップが用意されています。
カートリッジフィーダーは、供給部をカートリッジ式にすることで粉の交換作業が容易になっています。工具を使用せずに分解できる構造を採用しており、保守作業の簡便化を実現しています。
スクリューフィーダーは、羽根の形状によって5種類に分類されます。
シングルスクリューは最もポピュラーな形状で、流動性の良い原料に適しています。ツインスクリューは付着性のある原料の供給に優れた性能を発揮します。パドル付スクリューには攪拌効果があり、凝集性の高い原料の供給に適しています。カットフライトスクリューは比重の重い原料や塊になりやすい原料の供給で効果を発揮します。リボンスクリューは粘りや付着性がある粉粒体の供給に有効な特性を持っています。
粉体の供給プロセスを自動化することで人手不足の解決や生産工程の効率化が実現可能です。また連続的かつ安定した粉体供給システムを構築することで、製造ラインの稼働率が向上し、生産量の大幅な増加が見込めます。
さらに作業時間の短縮や工程の簡素化にもつながり、工場全体の生産性向上に貢献します。
精密な供給制御機構により一定量の粉体を安定して供給できるため、製品の品質安定化が図れます。また供給中の粉粒体を効果的に分散させることで粒子特性を均一化する機能も備えており、最終製品の品質向上や不良率の低減にも寄与します。
製造における品質基準の維持が容易になり、顧客満足度の向上にもつながります。
適切な供給量制御により原料の無駄を抑制し、製造工程における歩留まりを大幅に改善できます。また人手作業の削減や工程の効率化により人件費を含む製造経費の削減が可能です。
原料ロスの低減と作業効率化の相乗効果で、製造コストの最適化を実現します。
自動化タイプの装置を導入することでオペレーターを有害な粉末から確実に保護することができます。作業環境の安全性が高まることで、従業員の健康管理面でもメリットが生まれます。
作業者の安全確保と労働環境の改善により、職場の安全衛生水準が向上します。
振動周波数や回転速度を細かく調整できる機能により、様々な特性を持つ粉体に柔軟に対応することが可能です。製品の種類や生産量の変更にも迅速に対応でき、多品種少量生産にも適応します。
生産ラインの柔軟性が向上し、市場ニーズの変化への対応力が高まります。
製造業での活用 | 電池製造:電極材料などの電池材料の供給に使用されます。 塗料製造:顔料や塗料粉末などの塗料原料の供給に利用されます。 金属加工:粉末冶金やフィラーとしての金属粉末の供給に用いられます。 医薬品製造:粉薬などの医薬品製造プロセスで活用されます。 |
---|---|
消費財産業での活用 | 化粧品製造:ファンデーションなどの化粧品原料の供給に使用されます。 食品加工:食材や添加物など、食品製造における粉体原料の供給に利用されます。 |
先端技術分野での応用 | 溶射技術:プラズマ溶射、フレーム溶射(HVOF/HVAF)、コールドスプレーなどの表面処理技術に使用されます。 積層造形:レーザークラッディングや積層造形(DED方式/レーザーメタルデポジション)などの3Dプリンティング技術に活用されます。 ナノテクノロジー:エアロゾルデポジション(AD)や高周波熱プラズマプロセッシング(ナノ粒子合成/微粒子球状化)などのナノ材料製造プロセスで使用されます。 |
粉末は、粒径が小さくなるほど静電気、水分、ファンデルワールス力(分子間力)などの影響を強く受け、凝集・付着しやすくなる性質を持ちます。微粉末ほど、「だま」になりやすいのです。
粉末供給の際に粉末がだまになると、供給量が安定しない、供給経路が詰まる等のリスクがあります。そのため微粉末供給においては、自動化が難しいとされてきました。企業によっては、手作業で対処していたり、水の中に粉体を入れて撹拌することで対応しているといったケースも聞かれ、微粉末供給に多くの手間をかけています。
株式会社金星の粉末供給装置をご紹介します。ミクロンサイズからナノオーダーまでの微粉末を高精度かつ定量的に供給可能です。独自技術により、従来困難だった粉末供給の自動化にも対応。ラボ用から量産機まで、用途や環境に応じたカスタマイズが可能です。溶射業界をはじめ、化粧品や食品など多様な分野で課題解決をサポートします。