レーザー発振器の原理は、光に刺激を与えることで強いレーザー光を作り出すというものです。英語ではLaser oscillator(レーザーオシレーター)と言います。
この記事では、レーザー発振器の種類やそれぞれの特徴、また適した用途についてご紹介します。
レーザーを発生させるレーザー発振器は、光に刺激を与えることで光の波を発生させ、より強いレーザー光を作り出します。以下にて詳しく解説します。
レーザー発振器は大きく分けて3つの要素で構成されています。
レーザー発振器は、簡単にいうと下記のしくみでレーザー光を作り出します。
出力方式には連続発振、パルス発振の2種類があり、時短パルス発振も可能です。
レーザー発振では自然放出・誘導放出を繰り返すことで光の波が増幅し、光の出力パワーを高めます。光の進行方向と位相を揃えることで、強い光を作れるというしくみです。
最適な発振条件実現のためには、媒質の吸収係数、利得係数、反射率など、各種の指標が重要です。
発振効率を最大化するため、コンピュータシミュレーションなども進歩しています。
また、温度管理とエネルギーを一定に保つことが重要となります。レーザー発振器は温度変化に敏感で、適切な放熱などが必要です。
温度管理が不適切な場合、レーザー出力の低下、機器の鈍化、機器の耐用年数に悪影響が起こる、といったさまざまなデメリットがあります。
一般的には15℃〜20℃、湿度40%〜70%が適切とされており、寒い季節は特に注意が必要です。
レーザーは私たちの生活に欠かせない技術となっています。
身近なレーザーポインターや光通信、光ファイバー通信をはじめ、レーザー加工機、医療機器、軍事衛星通信、素材加工など幅広い産業分野で使われています。
最近ではナノテクノロジーの発展にも寄与しており、将来にわたって幅広く使われていく技術と言えるでしょう。
レーザーを媒質によって分類すると、以下の種類があります。
それぞれの特徴と用途例をご紹介します。
ガスを媒質として光を増幅させるもので、最も早く実用化されたレーザーの代表とも言えます。CO2レーザーやHe-Neレーザーなどがあります。
単色性が高く、大きな出力が得られるためさまざまな分野で応用可能です。
結晶体や鉱石などの固体媒質を使い、光を増幅させるものです。YAGレーザーやチタンサファイアレーザーなどがあります。高出力化が容易で安定性に優れ、分岐やファイバー伝送が可能です。
産業界では注目度の高いレーザーのひとつで、希土類元素(きどるいげんそ)をドープ(少量の不純物を添加)したものを用いた固体レーザーの一種を指します。
細いファイバー内に光を閉じ込めますので、エネルギー変換効率が高く冷却が容易です。ファイバーと光部品を一体化することにより、光軸が安定し低メンテナンスの利点もあります。
半導体レーザーは、電気―光交換効率が最も高く、レーザーダイオードとも呼ばれます。電流を流すことでレーザーを発生させることができます。
消費電力が低く、小型・軽量でさまざまな用途に応用できます。
ディスクレーザーは固体レーザーの中でも特に薄い円盤(ディスク)状の媒質を備えているもので、熱レンズ効果を低減してレーザーの質を高めています。
小型でありながら、高効率・高品質・高輝度と、高い安定性を兼ね備えています。
以上の特徴から、各レーザー発振器が適した主な用途をご紹介します。
総務省が定める電波法に、「通信・医療・工業等のために10キロヘルツ以上の高周波電流のエネルギーを利用している設備は設置する前に許可を受ける必要がある」とあります。
レーザー加工機などが該当しますので、必要な手続きを忘れずに行いましょう。
一定条件以上のレーザー発振器は、新たに機器を設置するとき、変更しようとするときなど、管轄する地方総合通信局長あてに届け出をする必要があります。
法律や適用条件は変わることがありますので、総務省HP(近畿総合通信局の場合)などから確認しましょう。
レーザー発振器は消耗品であり、使用用途や頻度、使用環境によって寿命が異なります。耐用年数を長くするためには、適切な環境で使用することが重要です。
交換のために新たに購入したり、専門家に依頼する以外にも、自分で簡単に交換できる方式の発振器を取り扱っている会社もあります。
一般的には3〜5年が交換の目安ですので、修理、交換といったランニングコストがかかることも念頭に導入を検討しましょう。
レーザー発振器は特徴を活かして目的にあった種類のものを、適切な環境で扱うことが重要です。数あるレーザー発振器の中から最適なものを選べるよう、特徴や用途について確認しておきましょう。
また、レーザー発振器は日夜、研究が行われ、最新技術が進歩しています。情報収集にも努め、最適なレーザー発振器を選びましょう。