OEE（総合設備効率）とは？ 計算式やIT技術を活用した改善施策について解説します

OEE（総合設備効率）とは？

OEE（総合設備効率）は、造設備がどれだけ効率的に機能しているかを測定するために用いられる指標です。車における燃費のように、製造設備が消費する資源（時間、エネルギー、材料など）をどれだけ効率的に利用しているかを評価します。燃費が良い車がガソリンを少なくして遠くまで走るように、高いOEE値を持つ設備は少ないリソースでより多くの製品を生産します。

製造業では、生産性を高め、コストを削減し、競争力を維持するために、効率化が非常に重要です。市場は常に変化し、顧客の要求はますます厳しくなっています。このような環境の中でOEEは、製造プロセスの効率を総合的に評価するため、生産管理者にとって非常に価値のある指標です。この指標を追跡することで、生産ラインのボトルネックや無駄を発見し、改善策を立てることが可能になります。

OEEの計算式

OEE（総合設備効率）は、以下の計算式で算出することが可能です。

OEE=時間稼働率×性能稼働率×良品率

時間稼働率

これは設備が実際に稼働している時間の割合を意味します。計画された稼働時間に対する実際の稼働時間の比率です。

性能稼働率

設備が実際にどれだけの速度で稼働しているかを示します。設備が理論上の最大速度で稼働しているかどうかを反映しています。

良品率

生産された製品のうち、品質基準に適合し、無駄なく生産された製品の割合です。

OEEの計算は、製造プロセスの効率を評価し、改善するために有効な手法です。この式を通じて、製造プロセスにおける潜在的な問題点を明らかにし、改善策を特定することができます。例えば、時間稼働率が低い場合、設備のダウンタイムやメンテナンスの問題が原因かもしれません。性能稼働率が低い場合、設備が最適な速度で稼働していない可能性があります。良品率が低い場合、製品の品質管理に問題があることを示唆しています。

OEE（総合設備効率）改善のために見直すべき7大ロス

設備効率における7大ロスは、製造プロセスにおける非効率性の主要な原因となります。それぞれのロスを理解し、それに対応する戦略を実施することで、OEEを大幅に改善し、生産効率と品質を高めることができます。

故障ロス

故障ロスは、設備の故障や不具合により生産が停止することを指します。予期せぬダウンタイムを生じさせ、生産性に直接的な影響を与えます。定期的なメンテナンスや予防保全の実施、故障の早期発見と対処によって、この種のロスを減らすことが可能です。

刃具交換ロス

刃具交換ロスは、生産工程で使用される刃具やツールを交換する際にかかる時間です。刃具の寿命や性能によって頻度や時間が異なります。このロスを減らすには、効率的な交換方法の開発や高性能な刃具の使用が有効です。

立ち上がりロス

立ち上がりロスは、設備の起動や準備に要する時間を指します。毎日の生産開始時や生産ラインの変更時に発生することが多いです。この時間を短縮するためには、迅速な設備起動手順の確立や事前準備の徹底が求められます。

段取り/調整ロス

段取りや調整ロスは、製品の変更や品質調整のために設備の設定を変更する際に生じる時間です。このロスを減らすためには、設備の柔軟性の向上や設定変更の簡素化が効果的です。

速度低下ロス

速度低下ロスは、設備が理論上の最大速度より遅く動作することで生じる生産の遅れを指します。適切なメンテナンス、設備のアップグレード、効率的な作業方法の導入によってこのロスを減らすことが可能です。

チョコ停ロス

チョコ停ロスは、短時間の停止や小さな遅延によって生じるロスです。これには、一時的な設備のトラブルや材料の供給遅れなどが含まれます。小さな問題も積み重なると大きな損失につながるため、継続的な監視と迅速な対応が必要です。

不良/手直しロス

不良・手直しロスは、不良品の生産やこれに伴う手直しによって発生する時間のロスです。品質管理の強化や生産プロセスの精度向上を通じて、このロスを減らすことが可能です。

OEE（総合設備効率）を改善するメリット

OEEの改善は、製造業における効率化とコスト削減、品質の向上、労働効率の向上に大きく貢献します。

故障によるロスの削減

OEEを改善することで、設備の故障やダウンタイムを減らすことができます。これにより、設備の稼働率が向上し、より多くの製品を効率的に生産することが可能になります。定期的なメンテナンスや予防保全を通じて故障のリスクを低減することが、生産ラインの安定性と信頼性を高める鍵となります。

保全コストの削減

効率的な設備管理とOEEの改善は、メンテナンスコストの削減に直接貢献します。設備が最適な状態で稼働することで、故障の頻度が減り、修理や部品交換の費用が低減されます。また、計画的なメンテナンススケジュールにより、予期せぬ機器の故障による高額な緊急修理の必要性が減少します。

品質の改善

OEEの向上は、製品の品質改善にも寄与します。効率的な設備は一貫した品質で製品を生産し、不良品の発生率を減らします。これにより、品質管理のコストを削減し、顧客満足度を高めることができます。高品質な製品の安定した供給は、市場での競争力を高める重要な要素です。

労働効率と生産力の向上

OEEの改善により、作業員の労働効率も向上します。設備の稼働時間が最適化されると、作業員は生産ラインの管理や品質チェックにより多くの時間を割くことができ、生産性が全体的に向上します。また、効率的な生産プロセスは、作業員の負担を軽減し、より安全で快適な作業環境を提供します。

IT技術を活用したOEE（総合設備効率）の改善施策

最新のIT技術、特にIoT（モノのインターネット）とAI（人工知能）の活用は、製造業におけるOEE改善の大きなトレンドとなっています。IoT技術を用いることで、設備からのデータをリアルタイムで収集し、そのデータを基にAIが分析を行い、設備の効率や稼働状況を自動的に監視・改善することが可能です。これにより、設備の最適な稼働条件を継続的に把握し、生産プロセスの効率化を図ることができます。

予知保全ソリューション活用

予知保全ソリューションは、設備の故障や異常を事前に予測し、未然に防ぐための技術です。センサーやデータ分析ツールを利用して、設備の状態を常に監視し、故障の兆候を早期に検出します。これにより、計画外のダウンタイムを減少させ、生産効率の低下を防ぐことができます。予知保全は、メンテナンスコストの削減と生産性の向上に直接寄与します。

データ可視化ツールの活用

データ可視化ツールは、膨大な量の生産データを分析し、理解しやすい形で表示することにより、設備の稼働状況や効率の改善点を明確にします。これにより、生産マネージャーやエンジニアは、即座に意思決定を行い、生産プロセスの最適化を図ることができます。データの可視化は、設備の稼働パターンを理解し、効率的なスケジューリングやメンテナンス計画を策定するのにも役立ちます。

まとめ

この記事では、製造業において重要なな役割を果たすOEE（総合設備効率）について詳しく掘り下げました。OEEは、製造設備の効率を測るための重要な指標であり、時間稼働率、性能稼働率、良品率という三つの要素から成り立っています。この指標を理解し、適切に管理することは、リソースを最大限に活用し、生産性を高めるために不可欠です。

生産プロセスを継続的に最適化し、効率的に運営することで、コスト削減、品質向上、労働効率の向上という複合的なメリットを享受することができます。OEEの改善を通じて製造業における生産性と競争力の向上を実現してください。