Solist-AI™マイコンボード|エッジAI評価ボード
クラウド不要。マイコン単体でAI学習・推論を実現。
Solist-AI™とは
スタンドアロンで動作するAI
Solist-AI™は、ローム株式会社がエッジコンピューティング分野に向けて提供するオンデバイスAIソリューションのブランド名称です。
一般的なAIシステムでは、データをクラウドに送信して処理する仕組みが主流です。一方、Solist-AI™マイコンはクラウドやネットワークに依存せず、マイコン単体で学習と推論の両方を実行できます。独自のハードウェアAIアクセラレータ「AxlCORE-ODL」を搭載し、シンプルな3層ニューラルネットワーク(入力層・中間層・出力層の3層で構成されるAIの基本的な処理構造)のアルゴリズムを採用しています。これにより、センサデータから「いつもと違う」状態をエンドポイント(データ収集の末端機器)のみで検知し、数値化することが可能です。
また、設置環境での高速学習(現場学習)に対応しているため、既存設備への後付けにも柔軟に対応できます。
Solist-AI™マイコンの主な機能
Solist-AI™マイコン(ML63Q2557)は、32ビットArm® Cortex®-M0+プロセッサを搭載した高性能・低消費電力マイコンです。ADC(アナログ-デジタル変換器)及びFFT(高速フーリエ変換)機能を内蔵しており、加速度センサ等による振動監視アプリケーションに適しています。
| プロセッサ | 32ビットArm® Cortex®-M0+ |
|---|---|
| AIアクセラレータ | AxlCORE-ODL(オンデバイス学習対応) |
| AI処理時消費電力 | 約40mW |
| 内蔵機能 | ADC、FFT、CAN-FDコントローラ、3相モータ制御用PWM |
| 通信インタフェース | I²C、SPI、UART、2ユニットA/Dコンバータ |
Solist-AI™マイコンボードが選ばれる理由
クラウド不要でAI評価を始められる
製造業の現場では、セキュリティ上の理由や設置環境の制約により、クラウドへの接続が難しいケースがあります。Solist-AI™マイコンを搭載した本ボードなら、ネットワーク環境がなくてもAIによる異常検知の評価・開発を始めることができます。
アプリケーションプログラムを実装すれば、評価ボードをそのままエンドポイントでのAI異常監視装置として使用することも可能です。大規模なインフラ整備を必要とせず、手元の環境でAI評価に取り組める点が、本ボードの大きなメリットです。
すぐに評価を始められるソフトウェア付属
DT-EBML63Q2557または評価キットの購入者向けに、以下の3点をデータ・テクノの公式HPから提供しています。ボードを入手後、ソフトウェアをダウンロードすることですぐに評価を開始できます。
| IOドライバソース | DT-EBML63Q2557搭載の各種I/Oを制御するためのドライバソースコード |
|---|---|
| AISignalInference | Solist-AI™マイコンのAI機能を評価するためのサンプルアプリケーション |
| AISignalInferenceHost | AISignalInferenceと併せて使用するWindowsアプリケーション |
製品ラインアップ
DT-EBML63Q2557(搭載ボード)
DT-EBML63Q2557は、Solist-AI™マイコン(ML63Q2557)を搭載した評価・開発向けボードです。SPI/I²Cインターフェース、ゲイン設定可能なアンチエイリアスフィルタ付きアナログセンサー入力、FeRAM(書込み耐久性の高い不揮発性メモリ)、リアルタイムクロック、LCD表示器などを搭載しており、AIの動作評価とさまざまな信号解析が行えます。
購入者向けに、IOドライバソース、評価用サンプルアプリケーション、Windowsアプリケーションをデータ・テクノの公式HPから提供しており、ボードを入手後すぐに評価を開始できます。また、ローム株式会社のSolist-AI™ソリューション特設ページにも掲載されています。用途に合わせた評価キット2種類も別途ラインアップしています。

DT-BBML63Q2557(ブレークアウトボード)
DT-BBML63Q2557は、Solist-AI™マイコン(ML63Q2557)を実装したコンパクトなブレークアウトボード(マイコンのピンを外部に引き出した小型基板)です。I/O信号を引き出し、UART、SPI、I²C、デバッグ用通信の専用ピンを別途装備しています。ピン幅17.78mm(2.54mm×7)で、5列ブレッドボードにも対応します。
低損失3.3Vレギュレータを内蔵しており、約3.6Vから動作・書き込みが可能です。部品はチップ部品で実装済みのため、ユニバーサル基板に取り付けてすぐに試作検証を始められます。開発環境は、ローム株式会社から無償ダウンロードできるLEXIDE-Ω(レキサイドオメガ)とCMSIS-DAPデバッガに対応しており、ローコストで開発を開始できます。
書き込みソフト、アセンブラ、コンパイラ等は付属しません(ハードウェアのみの販売)。技術資料、開発ソフト、サンプルプログラムはローム株式会社ML63Q2500シリーズの製品Webサイトから入手できます。

評価キット
加速度センサを使った異常振動検知キット
サンプルアプリケーションで、ローム株式会社製MEMS加速度センサを使ったAIによる異常振動検知を試せるキットです。振動監視・異常検知アプリケーションの評価に適しています。

| ボード本体 | Solist-AI™マイコン搭載ボード DT-EBML63Q2557 |
|---|---|
| センサ | ローム株式会社製MEMS加速度センサ搭載センサボード (40cmケーブル付属) |
| 筐体 | 樹脂筐体 |
サーモパイルアレイセンサを使った温度検知キット
サンプルアプリケーションで、エスエスシー株式会社製サーモパイルアレイセンサモジュール(複数の素子で温度分布を捉える非接触温度センサ)を使ったAIによる温度検知を試せるキットです。

| ボード本体 | Solist-AI™マイコン搭載ボード DT-EBML63Q2557 |
|---|---|
| センサ | エスエスシー株式会社製サーモパイルアレイセンサモジュール (100cmケーブル付属) |
| 筐体 | 樹脂筐体 |
用途例
振動監視・異常検知
工場の設備や機械の振動データをリアルタイムに学習し、「いつもと違う」状態をAIがエッジ単体で検出します。ネットワーク接続が不要なため、セキュリティポリシー上クラウドにデータを送れない現場や、ネットワーク環境が整っていない現場でも導入できます。加速度センサを使った異常振動検知キットを利用すれば、すぐに振動監視の評価を始められます。
温度検知・熱異常監視
サーモパイルアレイセンサと組み合わせることで、AIによる温度分布の検知・異常検出が可能です。温度検知キットを使えば、導入前に実際の用途に合わせた動作確認を行えます。
エッジAI評価・カスタム開発への展開
「エッジAIを導入したいが、何から始めればよいかわからない」という場合、まずDT-EBML63Q2557(搭載ボード)またはDT-BBML63Q2557(ブレークアウトボード)でSolist-AI™マイコンを評価し、実用化を検討できます。評価の結果、要件に応じたカスタム基板の開発が必要になった場合には、株式会社データ・テクノへご相談ください。受託開発として、お客様の要件に合わせた基板設計・ソフトウェア開発に対応します。
関連製品・サービス
データ・テクノのマイコンボード・電子機器受託開発
データ・テクノは、電子回路基板とソフトウェアの受託開発を主軸に、Solist-AI™マイコンボードやSDロガーなどの自社製品の開発・製造・販売も手がける電子機器メーカーです。計測機器・産業機器・医療機器など幅広い分野での豊富な開発実績を持ちます。
クラウドに接続せずマイコン単体でAIの学習・推論が完結するローム製Solist-AI™搭載ボードから、PCなしで現場データを記録できるSDロガーまで、多様なニーズに応える製品ラインアップを揃えています。自社製品をそのまま導入することも、要件に応じたカスタム開発へ発展させることも可能です。