富士通では、40年以上にわたり培ってきた水冷技術と運用ノウハウを結集した、データセンター向け水冷トータルソリューション「Fujitsu Liquid Cooling Management for Datacenter」を提供しています。ファシリティからGPUサーバーまで、水冷化の検討・設計・導入・保守をワンストップでご支援します。
空冷では対応が難しい高発熱サーバーの導入、水冷の運用ノウハウ不足、PUE改善や初期投資など、データセンターの水冷化には様々な悩みや不安が伴います。本サービスでは、こうしたお悩みに幅広くお応えし、省エネルギーと止まらない冷却を両立する水冷環境の実現をサポートします。
データセンター水冷化の課題
AI時代に加速する水冷化トレンド
生成AIの普及に伴い、GPU(Graphics Processing Unit/AI演算などに広く用いられる高性能プロセッサ)のチップあたりの発熱量(TDP:Thermal Design Power/熱設計電力)が急速に高まり、空気では冷やしきれない領域に近づいています。水は空気の約20倍という高い熱伝導率を持ち、高発熱のプロセッサを効率よく冷やす有力な冷媒です。最新世代のGPUは水冷を前提とした設計になりつつあり、データセンターでも次のような場面で水冷への対応が求められています。
導入したい
水冷化したい
改善したい
水冷化を阻む3つの課題
水冷の必要性が高まる一方で、導入には水への忌避感、高額な投資、運用ノウハウの不足という3つの壁があります。その結果、高電力・高発熱の冷却ニーズがありながら、商談を断念するデータセンター事業者も出ています。
| 水に対する忌避感 | 漏水によるサーバールーム階下の電気設備への影響や、機器の破損などへの懸念。 |
|---|---|
| 高額な投資 | 建屋が水冷に未対応の場合、冷却塔やチラーなどの設備新規導入・工事・保守点検の費用が発生する。 |
| 運用ノウハウの不足 | 水冷設備を導入・運用した経験がなく、社内に知見が蓄積されていない。 |
富士通の水冷ソリューションの強み
設備からサーバーまで一貫支援
富士通は、課題の整理や設計といったコンサルティングから、CDU(Coolant Distribution Unit/冷却水循環装置)・水冷リアドア・水冷統合ソフトウェアといった製品、さらに工事・保守までを一貫してご提供します。上流の検討段階から導入後のサポートまで、窓口を分散させることなくお任せいただけるのが特長です。
水冷化には、空調や配管といったファシリティ(建物設備)側の知見と、サーバーなどIT機器側の知見の両方が欠かせません。コンサルティングだけ、あるいは機器の提供だけでは実現しにくい一貫支援を、富士通は両面の知見を併せ持つことで実現します。

40年以上の水冷技術と実績
富士通は1985年から水冷技術に取り組み、スーパーコンピュータ「京」や「富岳」など、高い信頼性が求められる領域で実績を重ねてきました。この積み重ねが、水冷ソリューションの信頼性を支えています。
理化学研究所計算科学研究機構様 スーパーコンピュータ「富岳」

システムを止めない高可用性技術
データセンターにおいて、冷却の停止はシステム停止に直結する重大なリスクです。富士通の水冷ソリューションは、ミッションクリティカルな環境で培った技術と運用ノウハウを活かし、冷却システム全体の高可用性を実現します。
設備の冗長化や活性交換に加え、水冷統合ソフトウェアによる管理・制御により、保守時や障害発生時にも冷却機能を継続。システムの安定稼働を支える「止まらない冷却」を提供します。
省エネ・PUE改善への貢献
水冷は、冷却効率の高さから省エネルギーの面でも注目されています。富士通の水冷統合ソフトウェアは、サーバーの負荷に応じてCDUを最適に制御し、過剰な冷却を抑えることで、CDUの消費電力を最大で3分の2削減します。
データセンター全体で見ても、水冷は空冷に比べて高い電力使用効率を実現できます。これは、新設データセンターのPUE基準や省エネルギー法への対応にもつながります。
| 空冷方式 | 水冷方式 | |
|---|---|---|
| PUE(平均) | 1.6 | 1.2 |
| データセンター全体の電力効率 | 基準 | 空冷比で最大40%向上 |
※PUEは空冷・水冷それぞれの平均値(富士通調べ)、電力効率の向上は見込み値です。
サービスの2つの柱
富士通のデータセンター向け水冷トータルソリューションは、上流の検討・設計を支える「水冷プロフェッショナルサービス」と、機器 / ソフトウェア / 運用支援・保守をまとめて提供する「水冷サブスクリプションサービス」の2つの柱で構成されています。
水冷プロフェッショナルサービス
水冷プロフェッショナルサービスは、水冷化の課題整理から設計、工事・導入までを、コンサルティングで一気通貫にご支援するサービスです。

| 上流からの伴走 | GPUのトレンドやオープン化の動向を踏まえた要件定義、PUE設計、レトロフィット・新設・プレハブといった構成の選択など、上流の段階からご支援します。 |
|---|---|
| 柔軟な支援範囲 | お客様の検討状況に応じて、支援範囲を柔軟に調整できます。 |
| 最短6か月で導入 | 導入まで最短6か月でのご支援が可能です。 |
水冷システム導入の3つのステップ
課題整理
省エネルギー化やPUE削減から部材不足まで、幅広い課題を整理します。ワークショップの開催やデータセンターの現地調査などを通じて、マイルストーンを策定します。
導入設計
ホットスポットの低減、高密度な水冷GPUサーバーの設置、常時監視などを具体化します。ラック内や二次配管の設計、空調・電源の可視化を行い、工事概要定義書や見積書を作成します。
工事・導入支援
設計を踏まえて、ファシリティとITインフラを導入します。水冷GPUや水冷ファシリティ機器の手配、工事をご支援します。
水冷サブスクリプションサービス
水冷サブスクリプションサービスは、水冷に必要なハードウェア(CDU・水冷リアドア)、これらを管理する水冷統合ソフトウェア、運用支援・保守までをオールインワンで月額提供するサービスです。
単なる機器のリースではなく、保守までを含めて一貫してお引き受けする点が特長です。

| オールインワンでの提供 | 別途手配が必要となる導入や撤去作業、運用支援、保守までを一貫してご提供します。Support Deskによる問い合わせ対応、ソフトウェアの稼働監視、機器の搬送・設置、故障時の部品交換、返却時の撤去作業までを含みます。 |
|---|---|
| ソフトウェアによる効率化 | 複数のCDUや水冷リアドアを水冷統合ソフトウェアで集中・一括管理し、リモートでの監視を可能にします。 |
| 安心・安全の保守サポート | サポートセンターと全国のサービス拠点が連携し、国内の多くの地域で業界最高水準の2時間以内※オンサイト対応を可能とします。 |
| 初期投資の抑制 | 期間と機器構成にもとづく月額固定の料金設定により、初期投資を大幅に抑え、支払を平準化します。 |
※交通事情・天候・対象機器の設置地域などによっては、2時間を超える場合や翌営業日の対応になることがあります。
水冷システムの構成要素
水冷システムを構成するCDU・水冷リアドア・水冷統合ソフトウェアを紹介します。お客様の構成に合わせて組み合わせてご提供します。
CDU(Coolant Distribution Unit)
CDU(Coolant Distribution Unit/冷却水循環装置)は、サーバーに冷却水を循環させ、その熱を外部に放出する装置です。

| 冷却能力 | 200kW |
|---|---|
| サイズ | 4U |
| 消費電力 | 最大1.8kW |
水冷リアドア(RDHx)
水冷リアドア(RDHx:Rear Door Heat Exchanger)は、ラックの背面ドアに設置し、建屋の冷却水を利用してラック内機器の排熱を冷却する製品です。空調の電力消費を抑え、ラックの搭載密度を高めることができます。
建屋設備とラックの責任分界点が明確で、導入のハードルが比較的低いため、水冷の入口となる製品です。

| 冷却能力 |
78kW(供給水温14℃・リアドア排気24℃時) 44kW(供給水温24℃・リアドア排気27℃時) |
|---|---|
| 流量 | 100LPM以下 |
| 圧力損失 | 200kPa以下(流量100LPM時) |
水冷統合ソフトウェア
水冷統合ソフトウェアは、CDU・サーバー・水冷リアドアを統合的に監視・制御するソフトウェアです。
GPU冷却の効率化によるコスト削減

CDU追加・冗長化による柔軟・最適な水冷能力の提供

富士通の水冷技術40年の実績
40年以上の水冷技術の歩み
富士通が水冷技術の開発を始めたのは1980年代初頭です。当時の大型コンピュータは高速処理のために発熱量が大きく、効率的な冷却が求められていました。富士通は冷却能力の高い水冷技術を開発し、1985年に発表した超大型汎用コンピュータ「FACOM M-780」に初めて搭載しました。その後、スーパーコンピュータ「VP-2000」シリーズなどにも採用されました。
やがてCPUロジックの変化によって発熱量が下がり、一時は空冷で対応できる時代が続きました。しかし、スーパーコンピュータの性能向上に伴ってシステムの発熱量が再び大きくなり、2000年代後半から水冷技術が改めて採用されるようになります。スーパーコンピュータの開発では、冷却性能だけでなく耐故障性にも優れた水冷技術を磨いてきました。
こうして高性能・高発熱のコンピューティングで培ってきた技術とナレッジを、富士通はAI基盤となるGPUサーバーの冷却へと適用しています。

水冷技術の適用事例
富士通の水冷技術は、社会基盤を支える高性能・高密度のスーパーコンピュータに適用されてきました。
| スーパーコンピュータ「富岳」 (理化学研究所計算科学研究機構) |
2021年3月より本格運用を開始。防災や創薬のシミュレーション、人工知能・ビッグデータ分析など、幅広い分野での利用が想定されています。 |
|---|---|
| スーパーコンピュータ「京」 | 2011年6月にTOP500で性能世界一となり、水冷技術が世界一の性能に貢献しました。 |
| 線状降水帯予測スーパーコンピュータ (気象庁) |
2023年3月に稼働を開始。線状降水帯の予測精度の向上と防災活動の支援強化に取り組まれています。 |
独自の沸騰冷却技術(2相冷却)
沸騰冷却(2相冷却/VLLC:Vapor and Liquid Loop Cooling)は、富士通が特許を取得した独自の冷却技術です。
沸騰冷却式により、通常の水冷式の3.6倍から6倍の冷却性能を実現済みです。10年以上にわたり漏水無事故の実績を持ち、2017年には「Fujitsu SPARC M12-2」で量産化を実現しました。
冷媒には水を採用しており、PFASフリー・GWP(Global Warming Potential/地球温暖化係数)ゼロの自然冷媒として、環境負荷の低減にも配慮しています。
沸騰冷却技術のメカニズム
沸騰冷却式では、ユニット内部を減圧して水を沸騰させ、液体から気体への相変化(気化熱)によって熱を運びます。減圧によって沸点を制御できるため、プロセッサの特性に合わせた冷却が可能です。

量産例(Fujitsu SPARC M12-2)
- 2017年~
- 3.9GHz 24コアCPU(700W)x2個搭載
- 4Uラックマウント

富士通について
事業内容
富士通は、創立以来培ってきた技術力を基盤に、ITサービスやソリューション、製品まで幅広く手がけ、お客様のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するパートナーとして事業を展開しています。デジタルの力で業種の垣根を越えたエコシステムづくりをリードし、国連の持続可能な開発目標(SDGs)への貢献に取り組んでいます。
「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」というパーパスのもと、地球環境問題の解決、デジタル社会の発展、人々のウェルビーイングの向上を重点分野として、テクノロジーとイノベーションの力で社会全体に良い影響をもたらすことを目指しています。
会社概要

| 企業名 | 富士通株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 〒211-8588 神奈川県川崎市中原区上小田中4-1-1 |
| 設立年月 | 1935年6月 |
| URL | https://global.fujitsu/ja-jp |