製造現場の外観検査では、従来のルールベースAOI(Automatic Optical Inspection:自動光学検査)が苦手とする「にじみ」「シワ」「微細な擦り傷」といった曖昧な欠陥への対応や、ロット間のばらつきによる判定のぶれが長年の課題とされてきました。fastable.ai(ファスタブル・エーアイ)は、CNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)をベースとした独自のAIアルゴリズムで、こうした課題を解決するAI外観検査プラットフォームです。
欠陥の検出・分類にとどまらず、データ分析と工程改善支援までを一貫してサポートします。
目次
fastable.aiが選ばれる理由
50種類以上の欠陥を自動分類
従来のルールベースAOIは、欠陥の有無を「OK/NGの二択」で判定することが主流でした。fastable.aiは、欠陥の種類・発生場所・頻度をリアルタイムで把握・分類する点が大きな違いです。対応する欠陥は50種類以上に及び、同じ種類の欠陥でも重症度によるランク分けが可能です。例えばローラー痕であれば「重い・中間・軽い」に分類し、「軽度はOKとして流し、中度以上はNG」といった運用設定もできます。
「にじみ」「変色」「シワ」「微細な擦り傷」など、従来AOIが判定を苦手とする欠陥にも対応します。分類されたデータは欠陥傾向の把握や予兆検知への活用につながり、現場の工程改善を支える情報基盤となります。

高い再現性と安定した判定精度
素材の個体差やロット間のばらつきに左右されにくい、安定した判定を実現します。過去の検証実績では平均95%以上の認識精度を確認しています。ルールベース検査では困難だった一貫性のある判定が可能になることで、OK品をNGと誤判定する「過判定」を削減し、再目視の工数を大幅に減らせます。
お客様からは「不良品の流出がピタッと止まった」という評価をいただいており、単純な選別精度の向上にとどまらず、実質的な不良品流出の防止に貢献します。
豊富な学習データで短期間に立ち上げ
fastable.aiの学習データは2017年から蓄積を続け、累積20億件以上の規模に達しています。既に実績のある分野(例:アルミ箔・銅箔)では「9割は完成しており、残り1割のカスタマイズで即導入」できるレベルにあり、現場への立ち上げ期間を大幅に短縮できます。初期学習の目安は欠陥1種あたり10〜30枚(合計100〜150枚程度)です。
OK品とNG品の両方を学習させることで、微細な欠陥も見逃さない高精度な判定を実現します。学習量は増えますが、その分、精度の維持と再現性の向上につながっています。
検査から工程改善まで一貫支援
「検査 → 判定 → 分類 → 分析 → 改善」のプロセスを一体化している点が、従来AOIとの大きな差別化です。検出した欠陥データはFastable CoWork™(QMS・QAP)によってヒートマップや統計グラフとして可視化され、現場が即座に意思決定できる環境を整えます。
ライン条件の変更や新たな素材への対応が生じた場合も、継続学習によってモデルを迅速に最適化できます。

製品ラインアップ
Fastable Machine™(検査装置)
生産形態に合わせて4種類のモデルから選択できます。
FT-R2R(ロールtoロール製造向け)

- 速度、テンション、エッジ検出をカバー
- 織物
- アルミ箔
- 銅箔
- 塗布フィルムなど
FT-FLOW(流れ作業・ライン生産向け)

- 既存ラインへのスマート検査統合
- 農産物
- 食品包装
- 電子組立品など
FT-FLEX(多品種少量生産向け)

- 金属加工部品
- 携帯電話モジュール
- バッテリーモジュールなど
FT-RT(多面検査・円盤検査向け)

- 既存六面検査機へのAI統合アップグレード
- 受動部品
- 金属加工部品など
Fastable CoWork™(ソフトウェア)
検査ラインの管理・監視・分析を担うソフトウェアスイートです。3つのツールが連携し、検査から改善支援まで対応します。
CoWork™ QIK(Quality Integration Kit)

- タブレット操作で設備管理、システム設定、保守対応が完結
- 現場でのITリテラシーが低くても使いやすい設計
CoWork™ QMS(Quality Management System)

- リアルタイムモニタリング
- 欠陥の種類、頻度、履歴を一元管理
CoWork™ QAP(Quality Analytics Platform)

- ヒートマップ、統計グラフによる欠陥傾向分析
- 日、週、月単位での分析や工程別不良率ランキングにも活用可能
柔軟な提供形態
お客様の設備環境に合わせて、3つの提供パターンから選択できます。
| フルセット | ハードウェア(装置)+ソフトウェア(AI)の一括提供 |
|---|---|
| ソフトウェアのみ | お客様が既にお持ちのAOI設備を活かして、AI判定部分のみを導入 |
| カメラ+ソフトウェア | カメラとAIソフトウェアのみを提供 |
fastable.aiのコアはCNNファインチューニング技術を中心としたソフトウェアです。既存設備を有効活用した導入も可能なため、設備投資の規模を抑えながら段階的にAI外観検査を取り入れることができます。
用途例
ロールtoロール製造(アルミ箔・銅箔・塗布フィルム)
アルミ箔の外観検査はKapito Inc.が最初に実績を積んだ中核分野であり、豊富なノウハウと学習データを蓄積しています。FT-R2Rが対応し、表面・裏面・ピンホール(0.1〜0.2mm)を同時に検査します。位置・種類・寸法をデータ化し、20μmの微細欠陥の検出実績もあります。
大手コンデンサーメーカー(日系複数社)での導入実績があり、中国の日系工場での採用を経て日本本社への展開へとつながった事例もあります。対象素材としては、LiB電極材・EDLC用基材・機能性フィルムなども含まれます。
テキスタイル・繊維
アルミ箔・銅箔で培ったロールtoロール(R2R)技術の横展開として、繊維業界にも適用しています。FT-R2Rを活用し、高速ラインでのミクロン単位の傷・変色・異物を検出します。世界的な有名スポーツブランドのサプライヤーへの導入実績があります。
電子部品・MLCC
MLCC(Multi-Layer Ceramic Capacitor:積層セラミックコンデンサ)のセラミック薄膜外観検査にも対応しています。大手MLCCメーカー複数社への導入実績があり、日本国内でMLCCを製造している企業へのアプローチも積極的に進めています。
金属加工部品・食品
MIM(金属射出成形)やプレス加工などの金属加工部品、農産物をはじめとする食品にも対応します。多品種少量生産向けのFT-FLEXやライン生産向けのFT-FLOWを用途に応じて選択できます。食品検査では、作業者が手動で取り除く半自動タイプからロボット連携の完全自動タイプまで対応可能です。ラインスキャンカメラとエリアカメラの使い分けはありますが、CNNファインチューニングのベース技術は共通しているため、分野をまたいだ横展開がスムーズに行えます。
導入の流れ
Step 01|サンプル評価
まず、お客様から画像や実際のワークをお借りし、検査が可能かどうかの評価を行います。この段階で概算見積もりも提示します。アルミ箔・銅箔など既存の実績がある分野であれば、実質無償でのデモ評価が可能です。新規分野で開発要素がある場合は、POC(Proof of Concept:概念検証)費用が発生することがあります。
Step 02|現場デモ(POC)
サンプル評価の結果をもとに、実際の現場でデモ(POC)を実施します。お客様の現場条件に合わせてCNNファインチューニングを行い、判定精度を確認します。
Step 03|本導入・運用支援
本導入後も継続学習によってモデルを最適化し、新たな欠陥種別への対応も自動ラベルで迅速に進められます。Kapito Japan株式会社の日本法人が運用支援・技術窓口として一貫してサポートします。再学習・モデル修正は本社技術陣が対応し、日本法人がスムーズに橋渡しを行う体制を整えています。
Kapito Japanについて
事業内容
Kapito Japanは、台湾・新竹市に本社を置くKapito Inc.が開発するAI外観検査プラットフォーム fastable.ai の日本における販売・技術サポートを担う企業です。
Kapito Inc.の創業者はシリコンバレーでCNN画像認識のAI開発を手がけた技術者で、そのノウハウをもとに外観検査ビジネスをスタートしました。電解アルミコンデンサーのアルミ箔検査を起点に、銅箔・繊維・MLCC・食品・金属加工部品へと領域を広げ、日本・台湾・中国の3拠点で展開しています。
2018年にはNVIDIA Inspection Partnerに選定されました。これは最新のNVIDIA技術情報や定期的な勉強会・セミナーに優先的にアクセスできる、厳選されたパートナー企業の1社です。台湾本社での優秀イノベーション賞受賞や、『日刊産業新聞』(2025年3月13日号)へのインタビュー掲載などの実績があります。
会社概要

| 企業名 | Kapito Japan株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-17-4 アクシーズ7号館ビル10F |
| 設立年月 | 2024年4月 |
| URL | https://www.kapito.ai/home-jp/ |
