空気から窒素ガスを発生。ガスコストの削減に貢献
窒素ガスは、レーザー加工の際に溶解した金属を取り除く「アシストガス」として使用されています。窒素ガスには金属の酸化皮膜の発生を抑える効果があり、レーザー加工において重要な役割を果たします。
本記事では、窒素ガスを効率的に生成する窒素ガス発生装置について詳しく解説します。
アシストガスはレーザー加工機で切断や孔あけをする際、溶解金属を除去する役割を果たすもので、酸素や窒素、圧縮エアなどがあります。
切断面の品質と生産効率を高めるには、高純度の高圧窒素ガスが適しています。
アシストガス(窒素ガス)はレーザー照射された場所を覆うように吹きつけることで、空気中の酸素と熱した金属が反応してできる酸化皮膜の発生を抑制する効果があります。特に二次加工が必要な工程では、酸化皮膜の影響を避けるため、窒素ガスの使用が不可欠です。
さらに高純度の窒素ガスを使用することで、切断面の着色を防ぎ、仕上がりの品質向上にもつながります。
また、窒素ガスで機器を覆うことで酸化を防ぎ、レーザー照射に使用されるレンズの汚染を抑える効果もあります。
窒素をアシストガスとして使用する場合、窒素ガス発生装置や液化窒素で窒素ガスを供給します。
レーザー加工機での切断で溶解金属を吹き飛ばすには、2MPa(大気圧の20倍)以上の高圧が必要です。
窒素ガス発生装置や液化窒素から発生した窒素ガスを高い圧力で使用する場合は昇圧器が必要となり、昇圧させるためには大量の窒素ガスが必要となるため、高額のランニングコストがかかります。
窒素ガス発生装置を導入すると、レーザー加工機を使う工程での生産効率の向上やコストカットが見込めます。
窒素ガス発生装置は身の回りにある空気を使って生成するため、タンクやローリーを使う可搬式液化窒素よりも低コストで使用できます。
レーザー加工機のアシストガスとして大量に高圧の窒素ガスを使用しても、液化窒素よりも大幅なコストダウンが見込めます。
アシストガスはレーザー加工機の型式、金属の板厚や種類によって、窒素の圧力・流量・純度が異なります。
窒素ガス発生装置は、装置製造時に最適な圧力・流量・純度で機種選定・製造することが可能です。稼働中のレーザー加工機に合わせた窒素ガス発生装置を提案可能です。
液化窒素の取り扱いは、高圧ガス保安法により法規制を受け、その業務に携わるためには、特定高圧ガス取扱主任者や高圧ガス製造保安責任者などの資格が必要です。
一方で、窒素ガス発生装置の操作には資格が必要ありません。そのため、専門資格を持つ人員を確保するための費用も削減できます。
災害や大雪などの天災などでガスボンベやローリーの供給が難しい状況でも、窒素ガス発生装置は電気の供給のみで窒素ガスを継続して生成できます。天候不良など思わぬトラブルが発生した場合でも、生産効率を維持できる可能性が高いのが魅力です。
NEXPシリーズは、窒素ガス発生装置NEシリーズと精製・昇圧機構をユニット化した高圧窒素供給システムです。
構成内容 | ①コンプレッサー ②オイルフィルターユニット ③窒素ガス発生装置 ④精製器 ⑤昇圧器(ブースターコンプレッサー) ⑥高圧用バッファタンク ⑦高圧用レギュレータ |
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コンプレッサーから 圧縮空気を供給し、窒素ガス発生装置で0.5MPa(純度99.99%)の窒素ガスを生成します。99.999%以上の窒素ガスが必要な場合は、精製器で窒素の純度を上げます。
続いて昇圧器で圧力を 4~4.9MPaに上昇させ、高圧用バッファタンクにガスを貯め、レーザー加工機に供給するといったシステムです。
タイプ | NEXP-22K | NEXP-37K |
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窒素純度 | 99.99%、99.999% | 99.99%、99.999% |
窒素ガス発生量※ | 30N㎥/h(500N㎥/h) | 60N㎥/h(1,000N㎥/h) |
製品寸法 | ■総寸法 ■PSA・昇圧ユニット ■タンクユニット | ■総寸法 ■PSA・昇圧ユニット ■タンクユニット |
消費電力 | 5.85kW+22KW(コンプレッサー) | 11.35kW+37KW(コンプレッサー) |
※周囲温度が20℃、湿度60%RHの環境条件下で0℃の大気圧に換算した値です。
NEXPシリーズでは、必要に応じて純度99.99%〜99.999%の窒素ガスを供給可能です。
窒素ガス発生装置で生成するのは純度99.99%までの窒素ガスです。さらに高純度の窒素ガスを使用する場合は、精製器で純度99.999%まで高めるシステムを採用しています。
精製器内で窒素ガスに含まれる残留酸素に水素を結合し、水に変化させることで、微量な酸素まで消滅させます。発生装置とは別に精製器を使うことで、システムの効率化を図る仕組みです。
NEXPシリーズは昇圧器の運転圧力を 4~4.9MPaに設定しており、レーザー加工機で求められる圧力3.5MPa以上の窒素ガスを連続供給することが可能です。高圧の窒素ガスを使用することで10mmを超えるステンレス材のレーザー切断加工切断が可能となり、切断時間の短縮などによる効率化が実現できます。
NEXPシリーズは窒素ガス発生装置を使用するシステムのため、液化窒素で使われるボンベ交換やガス充填は必要ありません。フィルター・昇圧器・バルブなどの定期的なメンテナンスを行うだけで、窒素ガスを安定して供給できます。
ただし、99.999%仕様の場合は精製器に供給する水素ガスが必要となります。
NEXPシリーズは構成機器をチャネルベース上に配置したコンパクトな編成のため、導入時の設置が容易です。
場合により、各機器の配置をお客様環境に合わせて変更して設計することも可能です。
設置場所に合わせたレイアウトでも機器の電源供給は1カ所に集約されるため、信号線の結線のみで連動自動運転ができます。
コフロックの強みは、窒素ガス発生装置を幅広い業界へ提供した経験から培った、トラブル対応や課題解決の豊富な実績です。設置後の定期メンテナンスやアフターフォローにおいても、お客様に寄り添った対応力・サービスに自信があります。
また、NEXPシリーズは窒素ガス発生装置NEシリーズや構成機器をチャネルベースに配置したユニットですが、各装置は必要に応じて変更が可能です。レーザー加工機の型式や用途、設置スペースに合わせて機器を提案します。さらに、設置の配管施工も同時に行えます。
コフロックは全国に6つの拠点と2つの国内工場を持つ、創業75年を超える企業です。
「流体を科学する」メーカーとして事業を広げており、流量制御・流量計測機器、ガス発生装置、エンジニアリング装置など、高品質で高付加価値のある製品を世界に送り出しています。
コフロックの窒素ガス発生装置は半導体、医療、各種産業機械、食品、大学や企業の研究など多種多様な分野で使用されています。