製造業の生産性向上において、粉体搬送の自動化は重要な要素となっています。
粉体搬送装置の導入により、粉体搬送における作業効率の向上、品質の安定化、作業者の負担軽減など、様々なメリットが得られます。一方で、装置選定時には粉体の特性や用途に応じた適切な検討が必要です。
本記事では、粉体搬送の基礎知識から具体的な装置の種類、導入時の注意点まで詳しく解説します。
粉体搬送とは、粉粒体を必要な場所まで移送することです。例えば、食品工場では、グラニュー糖、脱脂粉乳、小麦粉、塩などの粉状原材料が粉粒体に該当します。
また、化学製品、薬剤(錠剤・カプセル)、飼料・肥料なども粉体搬送の対象となります。
人力での搬送作業を代替できる「粉体搬送装置」の導入は、製造プロセス全体の効率化と安全性の向上に貢献します。
人力での搬送作業を自動化することは、搬送の高速化や労力の削減を実現する重要な要素となります。
産業用途において、大量の粉粒体を遠距離まで安定的かつ効率的に搬送できる利点も備えており、生産ラインの効率化に大きく貢献します。
搬送精度が向上し、定量搬送や粉粒体の計量が可能となることから、製品の品質管理が格段に向上します。
また、密閉構造の採用で異物混入のリスクを大幅に低減することができ、製品の安全性と信頼性が確保されます。
原料入り袋の人力による搬送作業時間が短縮され、作業工程全体の効率化が図れます。
人員削減や配置転換も実現でき、作業者1人当たりの負担軽減につながると同時に、人的資源の最適な活用が可能です。
配管の長さや配置位置を変更することで、必要な場所への粉体搬送を自由に行うことが可能です。
生産ラインのレイアウト変更や工場の拡張時にも、柔軟な対応が可能となり、将来的な設備の拡張性も確保できます。
重量物の搬送や持ち上げ作業が削減され、作業者の肩や腰への負担が軽減されます。
また、密閉構造による粉体飛散の防止は、化学物質の吸引や粉塵爆発などの危険性を排除することにつながり、作業環境の安全性が大幅に改善されます。
搬送装置と粉粒体の相性が悪い場合、搬送時に粉粒体の形状が維持できない可能性があります。
特に、粒子が脆弱な原料や、摩擦により変質しやすい材料を扱う場合には、事前に十分な適合性の確認が必要となります。
エア吸引搬送などでは、搬送ホース内部の清掃が困難であり、頻繁に原料を切り替える用途には適していません。
残留物による製品の交差汚染を防ぐため、特に食品や医薬品などの製造現場では、清掃方法や切り替え手順の確立が重要な課題となります。
高所や大量の粉体を搬送する場合、強力なブロワが必要となり、大容量の電力が求められるため、設備コストが増加します。
また、継続的な運転に伴う電力消費量の増加は、ランニングコストにも大きな影響を与えるため、導入前の詳細な費用対効果の検討が不可欠です。
粉体搬送装置には以下の主な種類があります。
機械式搬送装置 | ベルトコンベア スクリューコンベア バケットコンベア(バケットエレベーター) |
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流体式搬送装置 | バキュームコンベア(吸引式) 圧縮空気式 ニューマチックコンベア(空気輸送装置) |
これらの装置は、粉体の特性、輸送距離、環境条件などに応じて選択されます。
株式会社金星の粉末搬送装置をご紹介します。ガス搬送式を採用し、独自の技術によりミクロンサイズからナノオーダーまでの微粉末の定量供給を高精度に実現。大気曝露なしの搬送により、大気中への粉末の放出を防ぐことができます。
ラボ用から量産機まで、用途や環境に応じたカスタマイズが可能です。溶射業界をはじめ、化粧品や食品など多様な分野で課題解決をサポートします。