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直流電圧・電流発生器の仕様と用途別の選定基準

直流電圧・電流発生器は、DC電圧やDC電流を高精度に出力し、計測器の校正や検証に使用される基準器です。校正対象となる機器の種類や要求される確度によって、選ぶべき仕様が大きく異なります。

この記事では、直流電圧・電流発生器の主要な仕様項目の読み解き方と、用途に応じた選定基準、導入前に確認すべきポイントを解説します。

この記事で分かること

  • 直流電圧・電流発生器の役割と基本的な仕組みがわかる
  • 確度・分解能・安定度など主要仕様項目の見方がわかる
  • 校正対象や要求精度に応じた選定の考え方がわかる
  • 導入前に確認すべき周辺条件や運用上の注意点がわかる

直流電圧・電流発生器とは

直流電圧・電流発生器は、指定した値のDC電圧またはDC電流を高精度に出力する計測器です。主にマルチメーターや電流計などの校正・検証において、基準信号源として使用されます。

校正業務では、被校正器(DUT)に既知の信号を入力し、その指示値との差を評価します。このとき基準信号源の確度が校正結果の信頼性を左右するため、発生器自体に高い精度と安定性が求められます。

機器によって出力できるレンジや確度が異なるため、校正対象に合った仕様の機器を選定することが重要です。電圧のみ出力するタイプ、電流のみのタイプ、両方を1台でカバーするマルチファンクションタイプなど、形態も多様です。

主な仕様項目と見方

直流電圧・電流発生器を選定する際には、カタログや仕様書に記載されるいくつかの項目を正しく読み解く必要があります。ここでは、特に重要な仕様項目とその意味を整理します。

確度(Accuracy)

確度は、出力値が設定値からどれだけ正確であるかを示す指標です。一般的に「±(ppm of reading + ppm of range)」や「±(% of reading + % of range)」の形式で表記されます。

ppm表記の場合、値が小さいほど高精度であることを意味します。確度の仕様は出力レンジや経過時間(校正後の期間)によって異なるため、使用条件に合った値を確認する必要があります。

出力レンジと分解能

出力レンジは、発生器が出力できる電圧・電流の範囲を示します。校正対象がカバーする測定範囲に対して、十分な出力レンジを持つ機器を選ぶことが基本です。

分解能は、出力値を設定する際の最小刻みを表します。分解能が高いほど細かい値の設定が可能になり、被校正器の各スケールポイントに合わせた校正がしやすくなります。

安定度とノイズ

安定度は、一定時間内における出力値の変動幅を示す仕様です。短期安定度と長期安定度があり、校正作業の所要時間に応じてどちらを重視するかが変わります。

出力に含まれるノイズ(リップルや残留ノイズ)も確認すべき項目です。高感度な被校正器を扱う場合、ノイズが測定結果に影響を与える可能性があるため、低ノイズ特性の機器が適しています。

用途別の選定基準

直流電圧・電流発生器は、用途によって重視すべき仕様が変わります。ここでは代表的な用途ごとに、選定時のポイントを解説します。

デジタルマルチメーターの校正

デジタルマルチメーター(DMM)の校正では、DMMの確度仕様に対して十分な精度マージンを持つ発生器が必要です。一般的に、基準器の確度はDUT確度の1/4以下(TUR 4:1)を目安とします。

DMMは電圧・電流・抵抗など複数のファンクションを持つため、マルチファンクションタイプの発生器を選ぶと1台で効率よく校正できます。出力レンジがDMMの全測定レンジをカバーしているかも確認が必要です。

アナログメーターの校正

アナログ指示計器の校正では、各スケールポイントに対して安定した出力を維持できることが重要です。指針の読み取りに時間がかかるため、短期安定度が良好な機器が適しています。

また、出力の微調整がしやすい操作性も選定のポイントです。ダイヤルやエンコーダーで出力値を細かく調整できる機器であれば、作業効率が向上します。

センサー・トランスミッターの検証

温度センサーや圧力トランスミッターの検証では、mVオーダーやmAオーダーの微小信号を正確に出力する能力が求められます。低レンジでの確度と分解能を重点的に確認します。

フィールドで使用する場合は、携帯性やバッテリー駆動の有無も選定基準に加わります。据え置き型の高精度モデルとは異なる観点での評価が必要です。

導入時に確認すべき点

機器の仕様だけでなく、運用面や周辺条件も導入前に検討しておく必要があります。ここでは、見落としやすいポイントを整理します。

校正の不確かさとトレーサビリティ

発生器自体の校正についても計画が必要です。購入後の定期校正の頻度、校正にかかるコストと期間を事前に確認しておくと、運用計画が立てやすくなります。

ISO/IEC 17025認定校正への対応や、校正証明書の内容(不確かさの明記)も確認項目です。品質管理体制の要求事項に適合するトレーサビリティを確保できるかを検討します。

使用環境と接続性

発生器の仕様は、温度や湿度などの使用環境条件のもとで規定されています。実際の使用環境が仕様条件の範囲内であるか確認が必要です。

自動校正システムへの組み込みを想定する場合は、通信インターフェース(GPIB、USB、LAN等)の対応状況も確認します。制御ソフトウェアとの互換性やコマンド体系も選定の判断材料となります。

総合的なコスト評価

導入コストは機器の購入価格だけではありません。定期校正費用、消耗品、修理対応の可否といったランニングコストも含めて評価する必要があります。

また、1台でカバーできる校正範囲が広い機器を選ぶことで、複数台の機器を揃えるよりも総コストを抑えられる場合があります。必要な機能と予算のバランスを考慮した検討が重要です。

[直流電圧・電流発生器]に関連するFAQ

直流電圧・電流発生器と直流電源装置はどう違いますか?

直流電源装置は負荷に電力を供給する目的の機器で、直流電圧・電流発生器は校正や検証のために高精度な基準信号を出力する目的の機器です。発生器は出力の確度や安定度において電源装置より厳密な仕様が求められます。

マルチファンクションタイプと単機能タイプのどちらを選ぶべきですか?

複数種類の計測器を校正する場合はマルチファンクションタイプが効率的です。一方、特定の物理量のみを高精度に出力したい場合は、単機能タイプの方が高い確度を得られることがあります。校正対象の種類と要求精度に応じて判断します。

発生器自体の校正はどのくらいの頻度で行う必要がありますか?

メーカー推奨の校正周期は多くの場合1年ですが、使用頻度や品質管理体制の要求によって異なります。校正履歴から安定性の傾向を把握し、自社の運用に適した周期を設定することが望ましいです。

この記事のまとめ

  • 直流電圧・電流発生器は、計測器の校正において基準信号源として使用される高精度な機器である
  • 確度・出力レンジ・分解能・安定度が主要な仕様項目であり、校正対象の要求に合わせて評価する
  • 用途に応じて重視すべき仕様が異なるため、被校正器の種類と精度要求から逆算して選定する
  • 導入時には機器仕様だけでなく、トレーサビリティの確保、使用環境条件、ランニングコストも含めて総合的に検討する

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