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圧力コントローラーの確度仕様の読み方|相対確度・FS確度と検査要件への当てはめ方

圧力コントローラーの確度仕様は、機器の性能を評価するうえで欠かせない情報です。しかしカタログに記載される「相対確度」「フルスケール確度」「複合確度」といった表記は、それぞれ意味する内容が異なり、正しく読み解かなければ機器選定を誤る原因になります。
本記事では、圧力コントローラーの確度仕様の種類と読み方を整理し、自社の検査要件への当てはめ方やTUR(Test Uncertainty Ratio)の考え方まで解説します。

この記事で分かること

  • 相対確度・フルスケール確度・複合確度の定義と違いがわかる。
  • カタログスペックから実際の許容誤差を計算する方法がわかる。
  • 自社の検査要件に対して適切な確度仕様を選ぶ判断基準がわかる。
  • 確度保証期間とTURの基本的な考え方がわかる。

確度仕様の種類と意味

圧力コントローラーのカタログには、確度を表す指標がいくつかの方式で記載されています。方式ごとに「何を基準として誤差を示しているか」が異なるため、それぞれの定義を正確に把握することが機器選定の出発点になります。

相対確度(% of Reading / % RDG)

相対確度は、その時点での指示値(読み値)に対する誤差の割合で確度を表す方式です。指示値が大きいほど許容誤差の絶対値も大きくなり、逆に指示値が小さいほど許容誤差の絶対値も小さくなります。測定レンジの広い範囲で安定した精度比率を期待できるため、レンジの中間〜上限付近での使用が多い用途に適しています。

フルスケール確度(% of Full Scale / % FS)

フルスケール確度は、機器の最大定格値(フルスケール)に対する誤差の割合で確度を表す方式です。許容誤差の絶対値はレンジ全体で一定となるため、指示値が小さい領域ではフルスケールに対する誤差の割合が相対的に大きくなります。低圧領域での使用比率が高い場合は、この特性に注意が必要です。

複合確度

複合確度は、相対確度とフルスケール確度を組み合わせた表記方式です。たとえば「±0.01% RDG ± 0.01% FS」のように、読み値に依存する成分と固定成分の両方を合算して許容誤差を求めます。レンジ全体での誤差特性をより現実的に表現できるため、高精度な圧力コントローラーで採用されることがあります。

カタログスペックの読み方

確度の定義を理解したうえで、カタログに記載された仕様から実際の許容誤差を数値として把握することが重要です。表記方式によって計算方法が異なるため、同じ数値に見えても実運用での誤差は大きく変わります。

許容誤差の計算方法

相対確度の場合、許容誤差は「指示値 × 確度(%)」で求めます。フルスケール確度の場合は「フルスケール値 × 確度(%)」で求めるため、指示値に関係なく一定の絶対値になります。複合確度の場合は、両者を算出してから合算します。

確度方式計算式許容誤差の特徴
相対確度(% RDG)指示値 × 確度%指示値に比例して変動する
フルスケール確度(% FS)フルスケール値 × 確度%レンジ全体で一定の絶対値
複合確度(指示値 × % RDG)+(FS値 × % FS)両成分の合算

レンジ内の使用領域による影響

フルスケール確度の機器をレンジ下限付近で使用すると、指示値に対する誤差の比率が大きくなります。たとえばフルスケールの10%程度の圧力を制御する場合、指示値に対する実質的な誤差率はカタログ値の数倍に達することがあります。

このため、カタログスペックを比較する際は、実際に使用する圧力帯での許容誤差を計算したうえで判断する必要があります。確度方式が異なる機器同士を単純に数値だけで比較すると、誤った結論に至る可能性があります。

検査要件への確度の当てはめ方

機器の確度仕様を理解しても、それを自社の検査要件に正しく当てはめなければ適切な選定はできません。検査対象が求める許容誤差と、圧力コントローラーの確度仕様を定量的に照合する手順が必要です。

検査許容差と機器確度の関係

検査要件には、被検査機器に対する許容誤差(検査許容差)が定められています。圧力コントローラーの確度は、この検査許容差よりも十分に小さい必要があります。一般的には、検査に使用する基準器の不確かさが検査許容差に対して一定の比率以下であることが求められます。

使用圧力帯での確度確認

検査で使用する圧力ポイントが複数ある場合、各ポイントでの許容誤差を個別に計算して確認します。フルスケール確度の機器では、低圧側の検査ポイントで要件を満たせないケースが生じやすいため注意が必要です。

相対確度の機器であれば低圧側でも比率が一定ですが、ゼロ近傍では別途ゼロ点安定性の影響を考慮する必要があります。検査要件を満たすかどうかは、カタログの代表値ではなく各ポイントでの実計算値で判断してください。

レンジ選択の考え方

検査ポイントの圧力範囲に対して、圧力コントローラーのレンジが大きすぎると、フルスケール確度方式では不利になります。可能であれば、検査ポイントがレンジの上限側に近くなるようレンジを選ぶことで、実質的な確度を改善できます。複数のレンジモジュールを切り替えて使用できる機器であれば、各検査ポイントに適したレンジを選択する運用も有効です。

確度保証期間とTURの考え方

圧力コントローラーの確度仕様には、その値が保証される期間が紐づいています。また、検査・校正の信頼性を評価するうえで、TUR(Test Uncertainty Ratio)の概念を理解しておくことが重要です。

確度保証期間とは

カタログに記載される確度は、校正後の一定期間内に限り保証されるのが一般的です。この期間を確度保証期間(有効期間)と呼び、多くの場合は6か月または1年間で設定されています。確度保証期間を超えて使用した場合、仕様に記載された確度が維持されている保証はなく、再校正が必要になります。

TUR(Test Uncertainty Ratio)の基本

TURは、被試験機器の許容差と基準器の不確かさの比率を示す指標です。「被試験機器の許容差 ÷ 基準器の不確かさ」で算出され、値が大きいほど検査の信頼性が高いことを意味します。

一般的な品質管理基準では、TURが4:1以上であることが推奨されます。ただし、近年の規格動向ではTURが4:1を下回る場合でも、ガードバンドの設定など適切な手法を用いることで対応可能とされるケースもあります。

TURを踏まえた機器選定

圧力コントローラーを検査用の基準器として使用する場合、被試験機器の許容差に対してTURの要件を満たせるかを事前に確認します。確度保証期間の終了間際には経時変化によって不確かさが増大する可能性があるため、保証期間内でのTUR余裕も考慮に入れる必要があります。

確度仕様とTURの関係を正しく理解することで、検査要件に対して過不足のない機器選定が可能になります。

[圧力コントローラー 確度]に関連するFAQ

相対確度とフルスケール確度の違いは何ですか?

相対確度は指示値(読み値)に対する誤差の割合で、フルスケール確度は機器の最大定格値に対する誤差の割合です。相対確度では指示値が小さくなると許容誤差の絶対値も小さくなりますが、フルスケール確度では許容誤差の絶対値がレンジ全体で一定になります。

TURはどのように計算しますか?

TURは「被試験機器の許容差 ÷ 基準器(圧力コントローラー)の不確かさ」で算出します。たとえば被試験機器の許容差が±0.1 kPaで、基準器の不確かさが±0.025 kPaの場合、TURは4:1となります。一般的にはTUR 4:1以上が推奨されます。

確度保証期間を過ぎた圧力コントローラーはそのまま使えますか?

確度保証期間を過ぎると、カタログ仕様の確度が維持されている保証はありません。検査・校正に使用する場合は再校正を行い、確度が仕様範囲内であることを確認したうえで使用する必要があります。

カタログの確度方式が異なる機器同士を比較するにはどうすればよいですか?

実際に使用する圧力ポイントごとに許容誤差の絶対値を計算し、その数値で比較します。確度方式が異なるとカタログ上の数値だけでは正確な比較ができないため、使用圧力帯での実計算が欠かせません。

この記事のまとめ

  • 相対確度・フルスケール確度・複合確度は誤差の基準が異なり、同じ数値でも実際の許容誤差は変わる。
  • カタログスペックは使用する圧力ポイントごとに許容誤差を計算して評価する。
  • 検査要件に対しては、検査許容差と機器確度を定量的に照合してTURを確認する。
  • 確度保証期間内での運用と定期的な再校正が、検査の信頼性維持に不可欠である。

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