外観検査とは?

外観検査は、外観に関連する問題を確認する検査方法であり、生産ラインにおいて非常に重要なステップです。外観の異常は、傷や異物の付着だけでなく、部品や製品ごとに異なる欠けや変形、位置のずれなどを指します。
生産工程には、強度検査や耐圧検査、またタッチパネルの感度検査など多様な検査が存在しますが、外観検査もその中の一つです。電子部品産業、自動車産業、日用品分野、医療機器分野など、さまざまな業界で外観検査は欠かせない工程となっています。
外観検査が求められる理由
外観検査が求められる要因は、主に以下の2つに分けられます。
品質保証のため
外観検査は、製品の品質を保証する重要な手段です。実施することで「所定の基準や規格に合致する製品」だけが市場に送り出されます。メーカーは、一貫した品質の製品を顧客に提供する必要がありますが、大量生産の場合、不良品の数も増加する可能性があります。不良品が顧客に届くリスクを避け、信頼性を維持するためにも、外観検査は欠かせない要素なのです。
製造工程の改善と品質の維持のため
外観検査によって不良品が発見された場合、その原因究明が必要です。製造過程や設計における問題点を特定することで、その原因を解消し、同様の不具合を未然に防ぐことが可能となります。
例えば、時計組み立て工程で「規定外のデザインの時計」が生じた場合、この事象の背後に作業者の誤った手順があると考えてみましょう。外観検査によって問題が浮き彫りになることで、作業プロセスにおける改善の余地が明確になるのです。
外観検査の検査項目例
外観検査項目は、部品や製品によって大きく異なりますが、以下のような検査項目に分類されます。
| 形状 |
決められた形状との違いや、変形・欠損など |
| 寸法 |
決められた寸法との違いなど |
| 構造 |
組み合わせや組み立てのズレなど |
| 色 |
変色、色ムラ、色目や色調の違いなど |
| 表面の見栄え |
シワ、凹凸、ツヤ、ムラ、筋、劣化など |
| 傷 |
表面のキズやスレなど |
| 付着物 |
異物、汚れ、チリ、ほこりなど |
| 組み立ての問題 |
傷、ズレなど |
| 仕上がりの問題 |
丁寧さ、バリ、欠け、突起、加工時の治具の跡など |
これらの項目において、規格や仕様書などから逸脱していると、検査に通らなくなります。
外観検査の手法

外観検査の手法は、目視によるものと検査装置を活用したものに分類されます。また、近年ではAIを取り入れた検査システムの活用が進んでいる傾向もあります。
目視検査
目視検査は、肉眼で直接対象物を観察し、外観上の欠陥や異常を検出する手法です。官能検査とも称され、視覚の他に味覚、嗅覚、触覚、聴覚の五感を活用します。この手法は形状や素材にとらわれず、外観的な不良や異常を素早く発見する柔軟性が特長です。また、特別な機器や設備が必要ないため、比較的低コストで実施できます。
しかしながら、目視検査は検査員の主観的な判断に依存するため、経験や感覚による影響を受けやすく、一貫性に欠ける可能性があります。また、時間帯や環境によって結果が異なることや、長時間の作業による集中力の低下、検出の見逃しや誤判定が生じる可能性も考えられます。
外観検査装置の活用
外観検査装置は、人の代わりに製品を検査する装置です。設定された検査ルールに基づき、製品が適合すれば良品、違反すれば不良品と判定します。主に画像処理を通じてルールを適用し、自動化が可能です。しかし、複雑な判断や多くの項目の場合、装置が限界に達することもあり、検査員の介入が必要なケースもあります。
AI外観検査システムの活用
AI外観検査システムは、目視検査と外観検査装置の利点を結合した方法です。あらかじめ設定した条件に加えて、AIがデータの特徴を学習し、品質判断を行う能力があります。このシステムは複雑な製品にも適用可能であり、個人差を排除するメリットがあるため、近年多くの企業が導入に踏み切っています。
外観検査を自動化するメリット

前述した外観検査装置や検査システムを活用することで、外観検査の工程を自動化することができ、以下のようなメリット・効果を期待できます。
検査時間の短縮
自動化されたシステムは人間よりも素早く検査を実施できるため、検査にかかる時間を短縮することが可能です。また、機械は疲労することなく連続して作業できる特性があります。
検査コストの削減
自動化システムの導入には初期コストがかかりますが、長期的には検査コストを削減することができます。採用や人件費などのコストと比較して、どちらが経済的に有利かを評価することが重要です。
ヒューマンエラーの防止
人間はミスを犯す可能性を常に抱えており、疲労や注意力の欠如により検査の精度が低下することがあります。また、個々の検査員によってバラツキが生じることもありますが、機械は一定の精度を維持できます。
人材不足の解消
外観検査の自動化により、人手不足や技術継承のリスクを軽減できます。製造業界では特に少子高齢化の影響で検査員の確保や教育が難しくなる傾向があり、若年就業者数の減少も顕著なため、人手に頼る目視検査は将来的な制約要因となる可能性があります。
AI外観検査に欠かせない「画像処理技術」とは?

AIを活用した外観検査システムを導入するためには、画像処理技術の応用が欠かせません。
人間の目で行う検査を画像処理で代替することにより、検査の効率と精度を向上させることが期待されます。画像処理による検査は、主に「画像データの取得」と「画像データの解析」という二つの段階で行われます。
まず、画像データの取得では、対象物を検査するためのカメラなどを用いて画像を撮影します。次に、撮影された画像データをコンピュータに取り込み、専用のソフトウェアを用いて解析を行います。画像データの解析では、あらかじめ設定した検査項目やそれぞれの基準値に基づいて、対象物の状態を判定します。
| 画像処理とは? |
| 画像処理とは、撮影した画像データを基に、ある条件下に当てはまるパターンを検知したり、基準値と比較して良否を判定したり、大きさを測ったりする等、取得した画像データの解析にまつわる技術全般を指します。 |
画像処理技術を活用した検査の成功事例
ある食品メーカーでは、画像処理技術を応用した外観検査装置を導入することで、不良判定が難しい食料品(カット野菜)の検査の半自動化を実現しました。
| 課題背景 |
カット野菜の品質検査において、髪の毛混入や色の違いなどの難解な不良判定が多かった。このため、目視による検査では基準の一貫性にバラつきが見られました。さらに、大量生産の必要があるため、必要な検査員も多く必要であり、検査コストが課題となっていました。 |
| 導入効果 |
AIの学習機能を組み込んだ画像処理技術を利用する外観検査装置を採用しました。この装置は、髪の毛混入や色味の違い、大きさの極端な変化などの不良判定基準をAIに繰り返し学習させることで、高い精度の検査品質を達成しました。人間ではなく機械が判定するため、検査基準の一貫性が向上しただけでなく、人と機械が協力して半自動的に検査を実行する環境も構築しました。これにより、検査員の確保にかかるコストを軽減する成果も得られました。 |