製造業における自動化の進展に伴い、ハンドリングロボットの導入が急速に広がっています。単純作業の自動化による生産性向上はもちろん、作業者の負担軽減や安全性確保の観点からも、その重要性は年々高まっています。
本記事では、ハンドリングロボットの基本的な特徴や種類、導入のメリット、そして最新技術の動向までを詳しく解説します。
ハンドリングロボットは、主に工場内でワークの搬送や移動に使用される産業用ロボットです。マテリアルハンドリング(物の移動や取り扱い)を効率化するために開発されました。
工場の生産性向上や労働力不足の解消に貢献する重要な技術として注目を集めており、今後も工場の自動化ニーズに応じて、さらなる進化が期待されています。
特定の位置にあるワークを摘み上げ、所定の位置へ運び、そこに置く一連の作業を行います。
パラレルリンクロボットや水平多関節ロボット(スカラロボット)が主に使用されます。高速かつ正確な動作が特徴で、電子部品の実装や食品の仕分けなど、繊細な作業に威力を発揮します。
また、画像認識システムと組み合わせることで、ランダムに配置された部品の取り扱いも可能です。
製品をダンボールや発泡スチロールなどの容器に詰める作業を行います。
双腕型スカラロボットや人型ロボットなどが使用されます。複数のセンサーを搭載し、製品の形状や材質に応じて最適な力加減で梱包作業を実施。多品種少量生産にも対応でき、プログラムの切り替えで異なる製品の梱包も柔軟に行えます。
パレットに箱、袋、ケース、瓶、カートンなどの荷物を積み上げる作業を行います。主に垂直多関節ロボットが用いられ、人が持つには負担が大きい重量物の積み上げに適しています。
最大数百キロの重量物も安定して扱うことができ、プログラムにより最適な積み付けパターンを自動で生成。物流現場での作業効率向上と作業者の負担軽減に大きく貢献しています。
ハンドリングロボット導入は、人件費の節約や教育コストの削減につながります。24時間365日の連続稼働が可能となり、夜勤手当や残業代も不要です。
また、作業者の入れ替わりに伴う教育期間や習熟までの時間的ロスも解消されます。長期的な視点で見ると、初期投資以上の経済的効果が期待できるでしょう。
重量物のハンドリングによる事故リスクを軽減。腰痛などの身体的負担や、危険な作業環境での労働から作業者を解放します。
安全柵やレーザースキャナーなどの安全装置と組み合わせることで、作業現場の安全性が格段に向上します。
ミスのない安定したハンドリングが可能です。疲労による集中力の低下や人為的なミスがなくなり、品質の均一化が実現します。
位置決め精度は数十マイクロメートル単位まで保証でき、製品品質の向上に直結します。
人が作業するスペースが不要になり、工場内のレイアウトを最適化できます。通路幅や作業スペースを最小限に抑えられ、設備の集約化が進みます。
さらに、垂直方向のスペースも有効活用でき、限られた空間での生産性が大幅に向上します。
人間の作業者は、状況に応じて柔軟に対応できる利点があります。突発的なトラブルへの対処や、製品の微妙な状態変化への適応、作業手順の臨機応変な変更などが可能です。また、視覚や触覚を活用した繊細な判断や、経験に基づく予測的な動作調整も得意としています。
一方、従来のロボットは予め設定されたパターンに従って動作するため、柔軟性に欠ける側面があります。想定外の状況が発生した場合の対応が難しく、製品の形状や位置がわずかに変化しただけでもエラーが発生しやすいのです。
しかし、最新のAIと機械学習を応用したロボットハンドは、学習を通じて作業の精度や効率を向上させることができます。画像認識技術により製品の位置や姿勢を正確に把握し、力覚センサーによって最適な把持力を自動調整します。さらに、作業データの蓄積と分析により、より効率的な動作パターンを自己学習することも可能です。製品の個体差や環境の変化にも徐々に対応できるようになり、導入時の課題は着実に解消されつつあります。
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