物質の中の水分量を測定するために使われる水分計。さまざまな種類があり、どのように選べば良いのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
今回は水分計の種類と、測定対象別の選び方を解説します。用途に合わせた選び方の参考にしてみてください。
水分計は、物質内にどれくらいの水分量が含まれているか測る機器です。
コンクリートやモルタルといった建材、木材、穀物、土壌などさまざまな物質の水分含有量を測定できます。
物質内にどれほどの水が含まれているかは、目視や重量の測定ではわかりません。
水を加えて練って使うモルタルやコンクリートは、水分量が多すぎれば脆くなってしまい危険です。
木材は十分に乾燥させ、水分量が少なくなれば反りや曲がりなどが発生しにくくなります。
水分計を使って水分量を測ることで物質の状態を把握し、物質の品質を保つ役割を担っています。
一口に水分計と言っても、種類はさまざまです。種類別の特徴と原理を解説します。
「電気式水分計」は測定対象の物質に電気を通し、水分量を測る機器です。
木材などもともと電気を通さない物質も、水を含むことで少しだけ電気を通すようになります。その性質を利用し、対象物質の抵抗程度から水分量を計算する原理です。
対象物質に針を刺して電流を流すため、表面に傷が残ってしまうデメリットがあります。
「光式水分計」は対象物に光を当て、反射する光の量で水分量を測る機器です。近赤外線は物質内の水分含有量によって、特定波長の吸収率が変化します。
その性質を利用し、吸収率の変化から水分量を導き出す仕組みです。
熱をほとんど持たない近赤外線は、対象物質に変化を与えづらく傷もつけないため、木材から食料まで幅広く使えます。
「土壌水分計」は、土の中の水分量を測定するための機器です。金属製の電極棒を土壌に刺し、水の誘導率を利用して計測します。
土壌に関する研究や、農業、観葉植物などにも用いられます。
水分計を選ぶ際には、測定したい対象に合わせた水分計を選ぶことが重要です。測定対象別のおすすめの水分計の種類を紹介します。
米や小麦などの穀物は、水分量によって品質が大きく左右されます。穀物の水分量を測る際には、一度に大量に測定できる「加熱乾燥式水分計」を用いるのが一般的です。
赤外線を照射し穀物を加熱乾燥させ、水分の蒸発による室料変化から水分率を計測する仕組みが用いられています。
コンクリートなどの建築材料の水分量が不適切だと、脆弱になり破損が起こる原因です。そのため建築現場などでは、「高周波容量式水分計」が主に仕様されています。
コンクリートやモルタルの表面に押し当てるだけで水分量が測れ、結果表示も早いです。
木材は水分量が多いと反りや曲がりが起こりやすくなるため、長時間の乾燥が必要です。木材の測定には電気式と光式のどちらも用いられます。
「電気抵抗式水分計」は木材に針を刺す必要があるため、化粧材などには不向きです。そのような用途の場合には、表面に押し当てるだけで測定できる光式が用いられます。
紙や段ボールも、用途に合わせてどちらも使うのが一般的です。
観葉植物を綺麗に維持するためには、十分な水を与えることが重要です。「土壌水分計」を使い、土の中の水分量を測ります。
土壌の種類によっては、水分計の差し込み部分が長く頑丈なものを選びましょう。
水分量は目では見えませんが、物質の品質に大きくかかわります。木材やコンクリートなどの水分量をきちんと測定していないと建物の安全性は保証できないでしょう。
また食品の乾燥が不十分だと腐ってしまったり、味が落ちてしまったりするおそれがあります。そのため水分計を用い、適切な水分量であることを確認することが重要です。
水分計の種類はさまざまですが、その中から用途に合わせたものを選びましょう。適切な水分計を使うことで、品質の向上につながります。