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産業用カメラ

CoaXPressとは?規格のメリットやCoaXPressカメラ・製品を紹介

CoaXPress(CXP)は、マシンビジョン分野で高速な画像データ伝送を実現するために開発されたデジタルインターフェース規格です。1本の同軸ケーブルでデータ転送・カメラ制御・電源供給を同時に行えるシンプルな接続方式と、最大12.5Gbpsの高速性を兼ね備え、半導体検査や高速生産ラインなど高い性能が求められる現場で広く採用されています。

本記事では、CoaXPressの基本的な仕組みや5つの主要メリット、Camera Link・GigE Vision・USB3 Visionとの比較、さらに導入が適したアプリケーションまでを解説します。

この記事で分かること

  • CoaXPressが1本の同軸ケーブルでデータ・制御・電源を多重化する仕組みがわかる。
  • 高速転送・長距離伝送・低遅延・高信頼性など5つの主要メリットを理解できる。
  • CoaXPress 1.0/1.1から2.0/2.1への規格進化のポイントがわかる。
  • Camera Link・GigE Vision・USB3 Visionとの違いを比較表で把握できる。
  • 半導体検査や高速生産ラインなど、CoaXPressが適したアプリケーションを知ることができる。

CoaXPress(CXP)の概要

CoaXPress(CXP)は、マシンビジョン(コンピュータに人間のような視覚機能を持たせる技術)の分野で、高速な画像データ伝送を実現するために開発されたデジタルインターフェース規格です。まずは、その基本的な特徴から見ていきましょう。

産業用画像処理の高速化を実現する国際規格

CoaXPressは、2010年12月に最初のバージョンがリリースされた産業用画像処理向けの国際規格です。現在は、JIIA(日本インダストリアルイメージング協会)によって規格の管理・策定が進められており、世界中の50社以上の企業がCoaXPressに対応した製品を提供しています。

オープンかつロイヤリティフリーの規格であるため、特定のメーカーに縛られることなく、幅広い選択肢の中からカメラや周辺機器を選定できるのが大きな特徴です。これにより、ユーザーは自社のシステムに最適なコンポーネントを自由に組み合わせることができます。

1本の同軸ケーブルで実現するシンプルな接続

CoaXPressの最も大きな特徴は、1本の同軸ケーブルだけで「高速な画像データ転送」「カメラの制御信号」「カメラへの電源供給」の3つを同時に行える点にあります。この電源供給の仕組みはPoCXP(Power over CoaXPress)と呼ばれています。

使用される同軸ケーブルは、アナログカメラの時代から広く使われてきた実績のあるもので、コスト効率が高く、柔軟で取り回しがしやすいという利点があります。また、ケーブルの構造上、外部からの電磁ノイズの影響を受けにくく、工場のようなノイズが多い環境でも安定した通信が可能です。

このケーブル1本でシステムを構築できるというシンプルさは、単なる利便性にとどまりません。ケーブルやコネクタ、外部電源といった部品点数が減ることで、設置時の配線ミスや接続不良のリスクが低減します。さらに、システム全体の故障点を減らすことにもつながり、長期的な信頼性の向上と、メンテナンスコストを含めた総所有コストの削減に貢献します。

CoaXPressがもたらす5つの主要なメリット

CoaXPressは、現代の高性能な画像処理システムに多くのメリットをもたらします。ここでは、その中でも特に重要な5つのポイントを解説します。

高速・大容量のデータ転送

最新のCoaXPress 2.0規格では、ケーブル1本あたり最大で12.5Gbpsという極めて高速なデータ転送が可能です(この速度はCXP-12と呼ばれます)。この転送帯域は、最新の高解像度CMOSセンサーが持つポテンシャルを最大限に引き出し、インターフェースがデータ転送のボトルネックになることを防ぎます。

さらに、複数のケーブルを束ねて使用することで、転送帯域を拡張できる「スケーラビリティ」も特徴です。例えば、4本のケーブルを使えば、合計で50Gbpsという膨大なデータを転送できます。

長距離伝送と高い配線自由度

CoaXPressは、他の高速インターフェース規格と比較して、非常に長い距離のデータ伝送が可能です。最も高速なCXP-12でも最大35mから40m、速度を落とせば100mを超える長距離伝送にも対応します。

これは、最大でも10m程度のCamera Link規格や、5m程度のUSB3 Vision規格と比較して大きなアドバンテージです。フィルム製品の製造ラインのように、生産設備が大型化し、カメラと画像処理用のPCを離れた場所に設置せざるを得ない場合でも、CoaXPressであればレイアウトの制約を受けにくく、自由度の高いシステム設計が可能になります。

低遅延でリアルタイム性の高い制御

CoaXPressは、データの遅延(レイテンシー)が非常に小さく、かつその遅延時間が常に一定に保たれるように設計されています。これにより、ジッター(信号のタイミングの揺らぎ)が極めて少ない、正確なカメラのトリガー(撮影タイミングを指示する信号)制御が可能です。

特に、複数のカメラを精密に同期させて撮影する必要があるシステムや、高速で動く対象物を正確なタイミングで捉える必要がある検査では、このリアルタイム性能が不可欠です。ネットワークを介してデータを送るGigE Vision規格では原理的に避けられない通信の遅延や揺らぎの問題も、CoaXPressでは発生しません。

高い信頼性とノイズ耐性

CoaXPressは、データをパケット単位で送信し、各パケットにCRC32と呼ばれるチェックサム(誤り検出符号)を付加することで、データの完全性を保証しています。万が一、伝送中にデータエラーが発生しても、それを確実に検出できる仕組みです。

前述の通り、物理的なケーブル自体が持つ高いノイズ耐性に加え、プロトコルレベルでのエラー検出機能、さらにはケーブルの接続が一時的に失われた際に自動でリンクを回復する機能も備わっており、非常に信頼性の高いデータ伝送を実現します。

システム構成の簡素化とコスト効率

1本のケーブルでデータ、制御、電源をまかなえるため、システム全体の配線が非常にシンプルになります。特に、複数のカメラを使用するシステムでは、ケーブルの本数や外部電源の数を大幅に削減でき、コスト削減と省スペース化に大きく貢献します。

CoaXPressの導入には、PC側にフレームグラバーボードと呼ばれる専用の画像入力ボードが必要になります。

一見すると、これは追加のコストに見えるかもしれません。しかし、このフレームグラバーが画像取り込みに関する専門的な処理をすべて担うため、PC本体のCPUにほとんど負荷をかけません。これにより、PCは画像解析などの本来のタスクにリソースを集中でき、システム全体のパフォーマンスが安定します。フレームグラバーは、システムの安定稼働を保証するための重要な投資と言えます。

CoaXPressの技術的な仕組み

ここでは、CoaXPressがどのようにして1本のケーブルで多様な機能を実現しているのか、その技術的な仕組みを少し掘り下げて見てみましょう。

データ・制御・電源を多重化する伝送方式

CoaXPressは、カメラとPCを1対1で接続する、非対称なポイント・ツー・ポイントのシリアル通信規格です。

「非対称」とは、データの流れる方向によって速度が異なることを意味します。カメラからPCへ画像データを送る「ダウンリンク」は最大12.5Gbpsと非常に高速ですが、PCからカメラへ制御信号を送る「アップリンク」は最大41.7Mbps(v2.0の場合)と比較的に低速です。これに直流の電源(DC電源)を重ね合わせることで、1本のケーブル上での信号の多重化を実現しています。

また、伝送されるデジタルデータは8b/10bエンコーディングという方式で符号化されます。これは、信号の電気的なバランスを保ち、長距離でも信号品質を維持するための技術です。

Power over CoaXPress(PoCXP)による電源供給

PoCXPは、ケーブル1本あたり最大13Wの電力を24Vの直流で供給できます。この仕組みには、産業用途に求められる高度な安全機能が組み込まれています。

PC側のフレームグラバーボードにはPTU(Power Transmitting Unit)と呼ばれる電源制御ユニットが搭載されています。PTUは、ケーブルが接続されると、まず相手が正規のPoCXP対応機器であるかを検知する手順を実行します。そして、対応機器であることが確認できた場合にのみ、安全に電源供給を開始しますす。

さらに、過電流保護(OCP)機能も備わっており、万が一ケーブルのショートや機器の過負荷が発生した際には、即座に電流を遮断してカメラやボードを保護します。

CoaXPress規格の進化

CoaXPressは、技術の進歩に合わせて進化を続けています。ここでは、初期のバージョン1.0/1.1から、現在の主流であるバージョン2.0/2.1への進化点を見ていきましょう。

CoaXPress 1.0/1.1から2.0/2.1への進化点

2019年にリリースされたCoaXPress 2.0は、規格にとって大きな飛躍となりました 21。最大の変更点は、転送速度の大幅な向上です。従来の最大6.25Gbps(CXP-6)に加え、新たに10Gbps(CXP-10)と12.5Gbps(CXP-12)という2つの高速モードが追加され、帯域幅が2倍になりました。

速度向上に伴い、アップリンクの速度も2倍になり、より高速なトリガー制御が可能になりました。また、高周波信号に対応するため、より小型で堅牢なMicro-BNCコネクタが規格に追加されています。

さらに、単なる高速化だけでなく、ソフトウェア面での機能強化も図られました。例えば、GenDC(Generic Data Container)への対応により、従来の2D画像だけでなく、3Dの点群データやマルチスペクトル画像といった、より複雑なデータ構造も扱えるようになりました。これは、CoaXPressが単なる「画像転送のパイプ」から、次世代の多様なデータを扱うための「インテリジェントなデータ転送基盤」へと進化したことを示しています。

機能 CoaXPress v1.0/1.1 CoaXPress v2.0/2.1
最大転送速度(/レーン) 6.25 Gbps (CXP-6) 12.5 Gbps (CXP-12)
アップリンク速度 20.83 Mbps 41.67 Mbps
主要コネクタ BNC, DIN 1.0/2.3 BNC, DIN 1.0/2.3, Micro-BNC
ソフトウェア機能 GenICam GenICam, GenDC, イベントチャネル, タイムスタンプ

他の主要な産業用カメラインターフェースとの比較

産業用カメラのインターフェースには、CoaXPress以外にもいくつかの選択肢があります。ここでは、代表的な規格である「Camera Link」「GigE Vision」「USB3 Vision」とCoaXPressを比較し、それぞれの長所と短所を明らかにします。

インターフェース

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接続 BNC/DIN/MicroBNC カメラリンクコネクタ LAN USB
ケーブル 同軸ケーブル カメラリンクケーブル LANケーブル USBケーブル
ケーブル長
※参考値
CXP-3:85m
CXP-6:35m
CXP-10:25m
CXP-12:25m
Base:10m
Medium:10m
Full:7m
100m 3m
伝送スピード CXP-3 :3.125Gbps
CXP-6 :6.25Gbps
CXP-10:10 Gbps
CXP-12:12.5Gbps
※最大50Gbps
Base:2.04Gbps
Medium:4.08Gbps
Full:5.44Gbps
1.0Gbps 5.0Gbps
ボード要否 ×
※必須ではない
×
※必須ではない
転送方法 シリアル パラレル シリアル シリアル

Camera Linkは長年にわたり高速画像処理の標準として使われてきましたが、CoaXPressは多くの点でそれを上回ります。特に、ケーブル1本あたりの転送帯域、ケーブル長、そして配線のシンプルさでCoaXPressが圧倒的に優位です。Camera Linkで高帯域を実現するには、太く硬い専用ケーブルが2本必要になる場合があり、可動部への設置や狭い場所での取り回しが困難でした。CoaXPressは、こうした課題を解決する後継規格と位置づけられています。

GigE Visionとの違い

GigE Visionは、汎用的なLANケーブルを使用でき、最大100mという長距離伝送が可能な点が魅力です。しかし、ネットワークを介するため通信遅延が大きく、その遅延時間も一定ではありません。そのため、厳密なリアルタイム性が求められる用途には不向きです。また、PCのCPUに高い負荷をかけるため、高負荷時にはフレーム落ち(画像の取りこぼし)が発生するリスクがあります。一方、CoaXPressは、圧倒的な転送速度と確定的な低遅延で、リアルタイム性を保証します。

USB3 Visionとの違い

USB3 Visionは、PCに標準搭載されているUSBポートを使える手軽さと低コストが最大のメリットです。しかし、ケーブル長が最大5m程度と非常に短く、産業用途としては大きな制約となります。また、コネクタの信頼性やノイズ耐性の面でも、工場の過酷な環境下での安定した運用には課題が残ります。CoaXPressは、ケーブル長、信頼性、性能のすべてにおいて、より高いレベルの要求に応えることができます。

CoaXPressの導入が適したアプリケーション

CoaXPressの持つ「高速性」「長距離伝送」「リアルタイム性」「高信頼性」という特徴は、特定のアプリケーションで大きな価値を発揮します。

半導体・電子部品の外観検査

半導体ウェハーやプリント基板の検査では、微細な回路パターンを検出するために高い解像度が求められ、同時に生産性を高めるために高速な撮像が必要です。CoaXPressは、この「高解像度」と「高フレームレート」を両立できる唯一無二のインターフェースであり、初期からこの分野で広く採用されてきました。

高速な生産ラインでの品質管理

印刷物の検査や液晶パネルの欠陥検査、食品・飲料のパッケージ検査など、高速で流れる製品をインラインで検査するアプリケーションにも最適です。CoaXPressを導入することで、検査システムが生産のボトルネックになることを防ぎ、工場全体の生産性向上に貢献します。実際に、Camera LinkからCoaXPressへ移行したことで、生産性が4倍以上に向上したという報告もあります。

医療やライフサイエンス分野

高精細なライブセルイメージング(生きた細胞の観察)や、手術支援ロボットの「目」となるカメラ、医療用の診断装置など、リアルタイム性と高い解像度が人命に関わるような分野でもCoaXPressは活用されています。

これらのアプリケーションに共通しているのは、「失敗のコストが非常に高い」という点です。半導体検査での欠陥の見逃しは、高価な製品の不良につながります。食品検査での異物混入の見逃しは、大規模な製品回収に発展しかねません。CoaXPressは、こうしたリスクを許容できない、最高の性能と信頼性が求められるミッションクリティカルなシステムを支えるための、最適な選択肢と言えるでしょう。

CoaXPress エリア/ラインスキャンカメラ

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産業用カメラの高速化・高解像度化が加速する中、従来の課題であった発熱問題を解決する革新的な設計思想で開発されたジャパンボーピクセルのCoaXPressカメラシリーズ。

Ultra Low Power FPGAの採用により、カメラの消費電力・発熱を大幅に抑え、業界最小クラスの筐体サイズを実現。半導体や電子部品など、より厳密な検査が求められる製造現場に最適なソリューションを提供します。

29mm角の小型モデルから65MPの高解像度モデルなど、豊富なラインナップで多様化する検査ニーズにお応えします。

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[CoaXPress]に関連するFAQ

CoaXPressではなぜフレームグラバーボードが必要なのですか?

CoaXPressは専用のシリアル通信規格であるため、PC側で信号を受け取るためにフレームグラバーボードが必要です。フレームグラバーが画像取り込みの専門処理を担うことで、PC本体のCPU負荷を抑え、システム全体のパフォーマンスを安定させる役割も果たします。

CoaXPressのケーブルはどのくらいの距離まで伝送できますか?

転送速度によって伝送可能な距離が変わります。高速なCXP-12モードでも35mから40m程度の伝送が可能で、速度を落とせば100mを超える長距離伝送にも対応します。Camera LinkやUSB3 Visionと比較して、配線自由度が高い点が大きな特徴です。

CoaXPress 1.xと2.0の違いは何ですか?

CoaXPress 2.0では、ケーブル1本あたりの転送速度が従来の6.25Gbps(CXP-6)から12.5Gbps(CXP-12)へと倍増しました。さらに、Micro-BNCコネクタの追加や、3D点群データ・マルチスペクトル画像を扱えるGenDCへの対応など、ハードウェア・ソフトウェアの両面で機能が強化されています。

GigE Visionと比べたCoaXPressの優位点は何ですか?

GigE Visionはネットワークを介するため通信遅延が大きく、遅延時間も一定ではありません。一方、CoaXPressは確定的な低遅延を実現しており、厳密なリアルタイム制御が求められる検査用途に適しています。また、フレームグラバーが画像取り込みを処理するため、CPU負荷によるフレーム落ちのリスクも低減できます。

PoCXP(Power over CoaXPress)にはどのような安全機能がありますか?

PoCXPでは、フレームグラバー側のPTU(電源制御ユニット)が接続先の機器を検知し、正規のPoCXP対応機器であることを確認してから電源供給を開始します。さらに、過電流保護(OCP)機能を備えており、ショートや過負荷が発生した際には即座に電流を遮断してカメラやボードを保護します。

この記事のまとめ

  • CoaXPressは、1本の同軸ケーブルで高速データ転送・カメラ制御・電源供給を同時に行える産業用画像処理の国際規格である。
  • CoaXPress 2.0では、ケーブル1本あたり最大12.5Gbps、4本束ねて最大50Gbpsの高速転送に対応している。
  • 長距離伝送(CXP-12でも35〜40m)、確定的な低遅延、高いノイズ耐性により、工場環境での安定運用に適している。
  • Camera Link・GigE Vision・USB3 Visionと比較して、高速性・伝送距離・リアルタイム性のバランスに優れている。
  • 半導体検査、高速生産ラインの品質管理、医療・ライフサイエンス分野など、高い性能と信頼性が求められる用途に適している。

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