製品に混入した金属異物を検出する
金属検出機は、製品に混入した金属異物を検出するための装置です。特に食品や薬品の製造過程で使用され、消費者の安全を守るだけでなく、企業の品質管理にも大きな役割を果たします。
本記事では、金属検出機の基本的な原理や用途、検出可能な金属の種類、そしてその選定ポイントについて詳しく解説します。
金属検出機は、製品に混入した金属性異物を検出するための装置です。主に食品や薬品などの製造過程で使用され、消費者の安全を守り、企業の品質管理に重要な役割を果たします。
X線検査装置が苦手とする、薄い箔状の金属や、サビなどの粉状の金属、金属成分を含む印刷インクなどにも高感度で反応します。
金属検出機は、食品や医薬品など体内に入る製品の検査に多用されています。特に、食品工場では食品安全を徹底する「HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)」の衛生管理方法が完全義務化されたことに伴い、金属検出機の使用が増加しています。
食品内の異物を検出する装置としては、金属検出機以外にもX線検査装置があります。金属検出機は、金属の検出に特化しているため、比較的構造がシンプルで価格も手頃であり、小型化が可能なため、導入が容易な装置です。
一方、X線検査装置は金属だけでなくガラスや樹脂などの異物も検出可能ですが、構造が複雑であることや大型であることから、比較的高価であり導入が難しいことがあります。そのため、対象物や予算に応じて、これらの装置を単独で使用するか、組み合わせて使用することが一般的です。
金属検出機は、主に発信コイルと受信コイルを使用して磁界の変化を検知し、金属を検出する装置です。この技術は電磁誘導の原理に基づいています。
発信コイル(送信コイル)
発信コイルは交流電流を流すことで、周囲に交変磁界を生成します。この磁界は周囲の空間に拡がり、金属物体に到達します。
受信コイル
発信コイルが生成した磁界は、金属物体が存在する場合、その金属物体内に渦電流(エディカレント)を発生させます。渦電流は逆の磁界を生成し、結果として元の磁界を歪めます。
受信コイルは、この歪みを検出します。
磁界の生成
発信コイルが磁界を生成し、その磁界が空間を通って金属物体に到達します。
渦電流の発生
金属物体が磁界に入ると、その中で渦電流が発生し、逆向きの磁界を生成します。
磁界の変化
渦電流によって生成された逆磁界が元の磁界を歪め、その変化が受信コイルによって検知されます。
信号処理
受信コイルが検知した磁界の変化は、信号処理装置によって増幅され、金属物体の存在を示す信号に変換されます。
金属検出機の性能は、使用する周波数、コイルの形状、サイズ、配置、および周囲環境などによって影響を受けます。高周波数を使用すると、小さな金属片や非鉄金属の検出に優れていますが、鉄などの大きな金属物体の検出には低周波数が有効です。
金属検出機は、主に磁性金属と非磁性金属の検出に利用されます。
磁性金属は、磁場に対して強く反応する金属です。主な例として鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)などが挙げられます。これらの金属は低周波の磁場で効果的に検出されます。
鉄(Fe)
鉄は最も一般的な磁性金属であり、金属検出器で容易に検出できます。鉄は低周波の磁場に対して強い反応を示し、その結果として金属検出器は高い感度で鉄を検出します。
コバルト(Co)
コバルトも磁性金属であり、鉄と同様に低周波で効果的に検出されます。コバルトは特殊な合金や高強度磁石に使用されます。
ニッケル(Ni)
ニッケルはステンレス鋼の合金成分としてよく使用されます。低周波の磁場に反応しやすいため、金属検出器で容易に検出できます。
非磁性金属は、磁場に対して反応が弱いか、全く反応しない金属です。これらの金属は高周波の磁場で効果的に検出されます。代表的な非磁性金属には、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ステンレス鋼(特定の種類)などがあります。
アルミニウム(Al)
アルミニウムは軽量で耐食性が高いため、航空機や建築材料などで広く使用されています。アルミニウムは非磁性金属であるため、高周波の磁場で効果的に検出されます。
銅(Cu)
銅は優れた導電性と熱伝導性を持ち、電線や電子部品に広く利用されています。銅も非磁性金属であるため、高周波の磁場で検出されます。
ステンレス鋼
ステンレス鋼は、鉄、クロム、ニッケルなどの合金であり、種類によっては磁性を持たないものもあります。特にオーステナイト系ステンレス鋼は非磁性であり、高周波の磁場で効果的に検出されます。
金属検出機には、主に「電磁誘導方式」「磁気誘導方式」の2種類があります。 金属検出機の選定には、検出感度、コスト、設置環境、検査対象の特性などを考慮する必要があります。
電磁誘導方式の金属検出機は、磁性金属と非磁性金属の両方を検出することが可能です。広範な金属検出能力を持つため、多くの産業で使用されていますが、アルミ包装品内の金属検出には難があります。また、塩分量や水分量の変化に影響を受けやすく、環境条件によって検出精度が変わる可能性があります。
また、用途や設置場所に応じて、「コンベヤ式」「シュート式」「落下式」「パイプ式」などの様々なタイプがあります。
磁気誘導方式の金属検出機は、主に磁性金属、特に鉄などを検出するために使用されます。この方式は、非磁性金属であるアルミや銅などの影響を受けないため、特定の用途において非常に有効です。例えば、鉄片の混入を検出する必要がある場合に適しています。
システムスクエアは、高感度な金属検出機を開発・製造・販売している異物検査機の総合メーカーです。
システムスクエア「金属検出機」の特長 |
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高感度検出 新開発のコイルにより、外部ノイズへの耐性を強化し、より高感度で安定した検出が可能です。 2周波検査技術により、鉄系と非鉄系の両方の異物を同時に高感度で検出できます。 |
使いやすさ 5.7インチの大型カラータッチパネルを搭載し、直感的な操作が可能です。 自動感度設定機能により、誰でも簡単に最適な検査モードを選択できます。 |
安定性 バランス対策により、長期間にわたって安定した検査精度を維持します。 位相追従機能により、商品の形状や温度変化による誤作動を抑制します。 |
多様な製品ラインナップ 落下型金属検出機など、様々な用途に対応した製品を提供しています。 |
高度な管理機能 USBデータ管理やネットワーク管理機能(オプション)により、検査データの記録や複数台の機械の一括管理が可能です。 |
新検査モード 新アルゴリズムによる「Eモード」検査を全機種に標準搭載し、水分や塩分を多く含む商品でも高い検出性能を発揮します。 |