物流現場における搬送業務は長時間かつ身体に負荷がかかる重労働です。そのため、採用や育成が上手くいかず、人手不足に悩まされている現場も少なくありません。そのような現状において、近年注目を集めているのがAGVやAMRのような、搬送業務を代替できる台車ロボットです。特にAMR(自律走行搬送ロボット)は人と協働することを念頭に開発されたロボットであることから、柔軟な活用が可能であり重宝されています。この記事では、AMRの特徴や選び方のポイントなどについてご紹介します。
AMRとはAutonomous Mobile Robotの頭文字をとった略称であり、日本では自律走行搬送ロボット・協働型搬送ロボットなどと呼ばれている搬送業務を行わせることができるロボットです。協働という名称が示している通り、人とロボットが共同で搬送業務を行える特徴を有しており、例えば物流現場では人が商品をラックから取り出して搬送はAMRに任せるというスタイルのピッキング業務の分担が普及してきています。
特に近年ではコロナ禍において非接触なオペレーションが求められる現場も多いことから、業務の半自動化を実現するAMRの導入を進める企業が、物流現場のみならず様々な業態の製造現場で増えています。
AMRの特徴やメリットとして、「人とロボットの協働」「環境への柔軟な対応」という2点をご紹介します。
AGVが「ある地点からある地点までを運ぶ台車機械」であるのに対して、AMRは「人との稼働範囲の共有を前提とした搬送ロボット」であり、両者の開発コンセプトは大きく異なります。
従来のロボット・機械はあらかじめ指示やプログラミングを受けた動作のみを行うものであり、むしろその点が繰り返し作業を求められる物流現場や製造現場においては重宝されていました。そのため、人が業務を行うエリアとロボット・機械に作業を行わせるエリアはしっかり分別されているのが一般的です。しかし、AMRが有する地図の自動作成機能により、決まった動きをしない人との協働が可能となります。これはモノづくり業界において画期的な変化であり、人とロボットが一緒に業務を行う流れはますます浸透していくでしょう。
物流現場の倉庫や工場の製造ラインにおいて、設備や人の配置が変わるというのはよくあることです。当然、作業現場の環境・レイアウトに変化が生じた際には、搬送を行わせるロボットに対しても搬送ルートの変更を実施しなければなりません。しかし、場合によってはレイアウト変更が頻繁に行われるケースもあり、そのような現場においてはあらかじめ決められたルートのみしか走行できないAGV(無人搬送車)が無駄になってしまうという問題も起こり得ます。
一方、AMR (自律走行搬送ロボット)であれば、周辺環境に合わせて自動で搬送ルートを算出してくれるため、環境の変化が生じやすい現場でも導入がしやすいというメリットがあります。
それでは、工場・倉庫の省人化に貢献するおすすめのAMR関連製品をご紹介します。
製品名 | 特徴 |
---|---|
製造現場向け自動搬送ロボット「AspinaAMR」 | 簡単に導入可能な、コンパクト設計のAMRです。機能拡張にも柔軟に対応します。小回りが利くため、狭い通路でも走行できます。国産AMRならではのサポート体制により、安心して運用いただけます。 |
工場・倉庫の運搬を変革する「iRAYPLE AMR」 | 高性能なロボットハードウェアと先進的な自動化ソフトウェアを融合させた画期的なAMRソリューションです。 |
自律移動ロボット「Keigan ALI」 | 設定が簡単でカスタマイズ性が高く、さまざまな場面でご利用いただける自律移動ロボットです。 |
Rtino(アルティノ) | 地図自動作成機能と自律移動機能を連携し、従来の自律移動ロボットの問題点を解決します。利用者はリモコンなどでの操作や地図の作成が不要であり、障害物が生じても自動的に回避します。 |
AGILOX(アギロックス) | 高い「群知能」を備えた「新世代」の自律走行搬送ロボットです。 |
INABAのAGV導入サポート | 専門知識や導入経験がないお客様でも安心して最適なAGVを導入できるよう、技術商社の因幡電機産業株式会社がトータルでサポート。メーカーの枠にとらわれず、幅広い視点からお客様の課題を整理し、最適な提案をいたします。 |
AMR 自律走行型(協働)搬送ロボット | 単純作業を自動化することで、人々はより高度な作業に集中し、生産性が向上し、コスト効果が高まり、素早い投資回収が可能になります。例えば、アセンブリの為の部品搬送や材料輸送、医療施設内での書類の配布や回収、クリーンルーム内での機材の配送などに活用可能です。 |
ForwardX の AMR | ForwardXの第4世代AMRは、自律走行、柔軟な実行、短期間導入、協同作業が可能であり、業務効率向上とコスト削減を支援するリーダー的存在です。 |
自律走行型運搬ロボット Lanky Porter | 音声コミュニケーションを駆使して、博物館、ホテル、医療施設、学校など様々な施設でホスピタリティを提供することができる、多機能なロボットです。お客様ガイド、販売促進、質疑応答、遠隔操作、自動充電などの機能が実現可能です。 |
AspinaAMR は、製造現場向けの自動搬送ロボットです。簡単に導入可能で、機能拡張にも柔軟に対応します。コンパクトな設計で小回りが利くため、狭い通路でも走行できます。国産AMRならではのサポート体制により、安心して運用いただけます。
本体価格のみで1台から導入でき、スモールスタートできます。現場のパソコンで使える操作ソフトウェアは操作も簡単で、すぐに運用可能です。
iRAYPLE AMRは、高性能なロボットハードウェアと自動化を支援するインテリジェントなソフトウェアを併せ持つ製品です。棚搬送型AMRや自動フォークリフトなど、協調制御が可能な多様なロボットを提供しており、どの製品もコストパフォーマンスに優れています。
工場や倉庫の物流を自動化し、効率を大幅に向上することが可能です。
KeiganALIは、設定の容易さと導入の手軽さが特長の自律移動ロボット(AMR)です。このロボットは、カスタマイズ性が高く、多様なシーンで活用することができます。
主な特徴として、KeiganALIは簡単な設定で一台からの導入が可能な「スモールスタート」方式を採用しており、様々な場面で利用することができます。上部アタッチメントの工夫により、さまざまな場所での使用に対応できるようになっています。
レーザースキャナーと複数の障害物センサを搭載しており、人や障害物を自動で避けながら周囲の環境を認識して自律走行ができます。また、カメラによるライントレース(床面のライン追従)による高精度な走行も可能です。
従来の自律移動ロボットは、利用者があらかじめリモコンなどでロボットを操作して、地図を作成しておく必要がありました。また、ロボットの移動ルートに障害物が生じると、ロボットが動作を停止してしまうという問題点がありました。「Rtino」は地図自動作成機能と自律移動機能を連携させることで、これらの課題を解決していきます。
自動搬送ロボットシステム「AGILOX(アギロックス)」は、群知能による分散型の制御原理に従って自らの経路を計画することで、従来のAGVよりもはるかに高い柔軟性を実現します。
加えて、車両のプログラミングやティーチングも大幅に容易となり、保守やアップデートなどを含めて集中制御用ソフトウェアによるプログラムは不要です。
全車両を集中制御システム無しに運用でき、文字通り自律的に生産現場や倉庫内を自在に走行します。
専門知識や導入経験がないお客様でも安心して最適なAGVを導入できるよう、技術商社の因幡電機産業株式会社がトータルでサポート。メーカーの枠にとらわれず、幅広い視点からお客様の課題を整理し、最適な提案をいたします。
アセンブリの為の部品搬送、広大な施設内の材料輸送、医療施設内での書類の配布·回収、クリーンルーム内へ機材を届ける等、単純作業の自動化は、人がより高度な作業に集中する事を可能し、生産性向上による対費用効果を高め、素早い投資回収を実現します。
ForwardX の AMRは、第4世代の移動ロボットのリーダーとして企業のコスト削減、業務効率の向上を支援します。
同社製AMRは第4世代と呼ばれる視覚AMRに分類されます。第4世代走行ロボットは第1~第3世代と比べ様々な点で優れております。
お客様ガイド、販売促進、質疑応答、遠隔操作、自動充電などの機能が実現可能です。
キングソフト取り扱いのAIサービスロボットは博物館、図書館、ホテル、銀行、医療施設、学校、ショッピングモールなど様々な施設での活用が可能です。様々なシーンで音声コミュニケーションを駆使し、ご利用者様へこれまでロボットでは実現できなかったホスピタリティを提供します。
AMRと混同して比較されるものにAGV(無人搬送車)がありますが、どちらも目的地にまで荷物を搬送するロボット・機械であるということには変わりありません。両者の大きな差異としては、走行方式や移動範囲の違いが挙げられます。
AGV(無人搬送車)は、走行距離分の磁気テープやガイドを用意することで、そこに沿って決められたルートを搬送する台車ロボット・台車機械です。1980年頃から、物流現場の倉庫内や工場の製造ラインにおいて搬送業務の担い手として活用されてきました。
一方、AMR(自律走行搬送ロボット)は、カメラ・センサー等によるセンシング技術を活用して、自ら移動環境の地図を作成し、人や障害物を避けて移動をするロボットです。 つまり、AGVは予めた決められたルートを走行するのに対して、AMRは人や障害物等の環境の変化に応じて自ら走行ルートを決めるという特徴を持ちます。
前述した通り、近年ではコロナ禍における非接触によるオペレーションが求められている時代背景も後押しして、より人と協働をしやすいAMRが脚光を浴びるようになっています。
AMRの導入にあたって考慮しておくポイントとして「初期コストが妥当か」という点が挙げられます。
というのも、AMRはAGVと比較して、運用に向けての事前準備・開発がより多く求められます。特にロボットに作業環境を学習させ、自動で地図を作成させる際には、やはりある程度の専門知識を有した者によるティーチングが必要です。また、人とスムーズに共同して働くには細かな微調整が求められるという点も考慮しておかなければなりません。 そのため、実質的な運用に向けた投資コストと実稼働とのコストパフォーマンスをきちんと見極めた上で、AMR導入の検討を進めることをおすすめします。
今回は、物流現場の倉庫内や工場の製造ラインにおける搬送業務を代替する「AMR(自律走行搬送ロボット)」についてご紹介しました。走行方式・移動範囲によるAGVとAMRの違いについて、AGVと比較した際のAMRの特徴やメリットについて、そして、AMRを導入する際に注意すべきポイントについて、それぞれご紹介しています。
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