IoTのイメージとしては、従来は、一般家庭での家電製品をインターネットに接続しておくスマートホームとしての活用が一般的でしたが、近年では産業IoTソリューションの活用が注視されています。その背景としては、IoT技術が業種や業態に縛られない特徴を持っている点や、人材不足による働き方改革推進が重視されていることが挙げられます。ここでは、産業IoT導入のメリットや、実現に向けたステップ、更には製造業における活用事例を紹介します。
様々なモノ・デバイスがインターネットに接続している状態や仕組みを表す「IoT」という言葉は、今や世間に広く浸透しつつあります。従来のIoTに対して持たれているイメージとしては、一般ユーザーが家庭で活用するものでした。例えば、家電製品を常時インターネットに接続しておくことで、外出時でも部屋を暖かくしたり、お風呂にお湯を溜めておくことができます。このように、IoTのイメージはスマートホームとしての活用が一般的でした。
しかし、近年では産業向けIoTソリューションの活用が注目を集めています。その背景としては、IoTという技術が業種や業態に縛られない特徴を持っている点が挙げられます。また、人材不足や働き方改革推進の機運が高まっていることも影響しています。企業が生産効率を高める一つの解決策として、IoTの活用が期待されているからです。
これまでの企業におけるインターネットの活用は社内LANで完結しているケースがほとんでした。というのも、社内のネットワーク環境を整えるだけで企業が生産活動を行うのには十分であり、社外ネットワークを活用するのはメリットよりもセキュリティ面におけるリスクの方が大きかったからです。
しかし、IoTソリューションの浸透によって、企業が生産活動の中で外部ネットワークに繋ぐ価値が高まるようになりました。企業が保有する機械設備・センサ・液晶デバイス・ソフトウェア等をネットワークに接続することで、生産活動におけるあらゆるデータを収集し、データドリブンによる客観的な経営判断ができるようになります。
IoTを導入するメリットには様々なものがありますが、代表的なメリットとしては「データドリブンによる経営判断」を実現できる点があります。主観的な判断では現場と経営陣に開きが生まれやすいものですが、収集したデータを基に経営判断をすることで両者に納得感も生まれやすいです。また、機械設備の状態をリアルタイムでモニタリングできるため「異常・故障の予防保全」を実現できるメリットもあります。
IoTを導入するにあたっては、3つのステップを経る必要があります。
まずは、データを収集して工場を「見える化」します。その後、データ収集によって得られた課題感を解決するために「機械の制御」を行います。そして、この課題分析と改善のサイクルを「自動化」できるようにAIに学習させるのが理想的な流れです。
製品名 | 特徴 |
---|---|
デンソーウェーブ IoT製品 | 1000種以上の機器と接続し、データ管理機能で継続的なカイゼンに追従できる「真のIoT」システムを実現します。 |
IoTプラットフォーム「Toami」 | 作業進捗とボトルネックの自動抽出、設計不具合の自動抽出、工程表の自動設定が可能です。 |
netFIELD | セキュリティを担保し、エッジデバイスのアプリ更新やリモート管理、更に容易なデータ連携をサポートするオープンなプラットフォームです。 |
SensorCorpus | 誰でも簡単にセンサー情報を収集・蓄積・活用できるユニバーサルなIoTプラットフォームです。 |
iXacs(アイザックス) | 現場で使いやすいデータ可視化ツールであり、製造ラインの状態を自動的に可視化し、現場、管理者、経営陣が共にデータを共有し、企業文化を醸成することを目指しています。 |
IoTによる工場の見える化システム | 工場向けのIoTシステム「Nazca Neo Linka」は、生産設備の稼働データを一元管理し、各種センシング機器のデータも取得できます。柔軟な拡張性と既存システムとの連携も可能です。 |
機器の鼓動を把握する Heartbeat Technology | ライフサイクル全体を通じて診断、検証、監視の機能を提供し、「プロセス最適化」「稼働率向上」「コスト削減」を実現します。 |
IIJ 産業IoTセキュアリモートマネジメント | IoT化のための包括的なソリューションが産業機器メンテナンスの効率化を実現します。 |
工具IOT化ツール | 今お使いのものに後付けできるIOTツールで、ヒューマンエラー防止、見える化を実現します。 |
IoTテレマティクスサービス「Drive Tracer」 | 通信型ドライブレコーダーの情報を活用し、安全で効率的な運行業務を支援します。 |
工場のカイゼンを継続して行うには、さまざまな設備やアプリケーションを”つなぎ”、拡張・展開が可能なIoTシステムを構築することが必要不可欠です。
デンソーウェーブのIoT製品が提供する、1000種以上の機器 (250種以上のプロトコル対応) との接続性と、データの収集・加工・保存・通知・公開に特化したデータ管理機能で、継続的なカイゼンに追従できる「真のIoT」システムを実現します。
IoTサービスに必要な機能を1つにしたIoTプラットフォームです。
作業進捗の「見える化」とボトルネック自動抽出(人とモノの動態監視)、作業進捗の「見える化」とボトルネック自動抽出(人とモノの動態監視)、設計不具合の自動抽出(加工順自動生成)、工程表の自動設定(対策工程立案場内物流予測)が可能です。
netFIELDは設備データを自動収集しエッジ処理するだけでなく、セキュリティを担保し、エッジデバイスのアプリ更新やリモート管理、更に容易なデータ連携をサポートするオープンなプラットフォームです。
近年急速に普及しているコンテナ技術によりアプリ開発に注力できる環境を提供し、製造現場に付加価値を与えます。アプリの開発は短期間で、かつ維持開発を大幅に低減する効果があります。
産業用ネットワークに物理的に接続するだけで、周期通信データを自動解析し、必要なデータを選択表示するなど、直ぐにお使い頂けるアプリも取り揃えています。
SensorCorpusは、誰でも簡単に本格的なIoTサービスを利用できることをコンセプトに、業種や目的に関係なく小規模から誰でも簡単にセンサー情報を収集・蓄積・活用できるユニバーサルなIoTプラットフォームです。
iXacs(アイザックス)は、現場の人々が簡単に使えるところにこだわりを持って作られています。
今まで見えなかったり手動で記録していた製造ラインの状態が、自動で可視化。
それにより現場、現場管理者、経営者が共にデータを見て話す企業風土を醸成します。
Nazca Neo Linka(ナスカ・ネオ・リンカ)は、「工場マネジメント」をコンセプトに開発した生産設備向けIoTシステムです。多彩な接続方法に対応し、専用インターフェースがなくても設備と接続できるので、メーカーや年式問わず工場にある様々な設備の稼働データを一元管理できます。
流量計、レベル計、分析計、温度計向けのHeartbeat Technologyは、ライフサイクル全体を通じて診断、検証、監視の機能を提供します。
最小限の労力で最高のパフォーマンスを実現し、オペレーターは測定ポイントを完全に制御できます。
Heartbeat Technologyは「プロセス最適化」「稼働率向上」「コスト削減」を実現します。
「IIJ産業IoTセキュアリモートマネジメント」は産業機械や工場設備をIoT化するための各種デバイスから、セキュアなネットワーク、クラウド、さらにデバイス管理機能やデータを見える化するアプリケーションまでを包括的に提供するソリューションです。
産業機械・計測器メーカー向けの「Machinery」と、工場設備・生産管理部門向けの「Factory」の2種類をお客様別にご用意しています。
ヒューマンエラー防止、見える化をテーマに、後付をコンセプトとして開発リリースしたIOTツールとなります。
工具の買替が発生しないため、導入コストを抑えることができます。トルクドライバー、電動ドライバー、エアドライバー、トルクレンチ、デジタル測定器に対応、作業データを無線送信、記録できるため、ヒューマンエラー防止による品質向上、ダブルチェック代用による工数削減、作業ログ分析による工程改善が見込めます。
通信型ドライブレコーダーで録画した動画や検知した情報をクラウドで収集し、管理者がリモートで運転状況を確認できるサービスです。
過去の情報はもちろんリアルタイムの情報も確認することができます。
IoTソリューションの特徴として業種や業界に縛られない点を前述しましたが、今回は一つのケースとして製造業分野における活用事例をご紹介します。
IoTの真の価値はデータドリブンによる攻めの経営にありますが、その前段階として生産を行う設備の安定化を実現する必要があります。そのためには、機械設備にセンサを取り付け、様々なデータを収集します。データの活用方法としては、機械の稼働に異常を検知した際にアラームを発生させること、あるいは、稼働状況の乱れを検知してより安定的な稼働に向けて改善策を講じることがなどが挙げられます。
近年では、機械設備だけでなく、作業者にもセンサを取り付けてデータを収集するIoTの活用方法もあります。工場内のあらゆる生産活動に関わるデータを収集することによって、最適な製造ラインを実現することができたり、属人的になりやすい熟練の作業者の技術力を客観的な視点に基づいてマニュアル化したりすることが可能となります。いわば、データを活用することによって、工場内のムダを徹底的に省き、最大効率の形を探ることがIoTの活用によって可能となるわけです。
IoTソリューションは、個別に発達してきたテクノロジーを繋ぐ技術です。様々な要素・モノをネットワークに接続することで、これまで実現できなかった効率化を最大限に発揮することができるようになります。
しかし、IoTを実現するには専門的な知識が必要す。既に企業が保有しているものを活用できるケースもあれば、一から新しい環境を構築しなければならないケースもあり、克服したい課題感によってIoT化の実現に向けたステップも異なってきます。まずは一度、IoTを活用することによって実現したいことを逆算し、その実現に向けて必要な手法を問い合わせることから始めてみてはいかがでしょうか。