メタレンズ(meta-lens)は、従来の光学レンズを超える性能を持つ次世代のレンズ技術です。ナノ構造を持つ人工的な表面で光を制御し、極薄で高精度な焦点合わせが可能となります。
メタレンズの仕組みや特徴、具体的な用途例、設計プロセスについて詳しく解説します。
メタレンズ(meta-lens)とは、従来の光学レンズと異なり、ナノ構造を持つ人工的な表面を使用して光を制御するレンズのことです。
従来のレンズは曲面を持ち、光の屈折によって焦点を合わせますが、メタレンズはナノメートルスケールの微細構造(メタサーフェス)を持つ薄いフィルムで構成されており、光の位相・振幅・偏光を精密に制御することができます。
メタレンズの仕組みは、誘電体の表面にサブ波長スケールの「メタ原子」と呼ばれる微細な構造体パターンを配置することに基づいています。このメタ原子パターンが入射光の位相を調整し、光の進路を制御します。
メタレンズは負の屈折率を持つメタマテリアルを利用しており、従来の光学レンズでは達成できない特性を持つ(例えば回折限界を超える分解能)ことが可能です。
メタレンズは、従来の光学技術の限界を超えた性能を提供できることから、以下の分野における新しい応用が期待されています。
カメラ /イメージングデバイス | ・スマートフォンカメラ ・デジタルカメラ ・顕微鏡 ・内視鏡 メタレンズは従来のレンズに比べて薄く平面的な構造なので、カメラ/イメージングデバイスの小型化が可能です。また、回折限界を超える高い分解能が得られるため、高画質な撮影が期待できます。 |
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AR / VRデバイス | ・ARヘッドセット ・VRゴーグル メタレンズは偏光の操作や分離などの機能を実現できるため、ARやVRの表示に適しています。コンパクトで軽量なデバイス設計が可能です。 |
センサー | ・自動車のセンサー ・LiDARセンサー メタレンズは広い波長範囲に対応できるため、可視光だけでなく赤外線などの波長域でのセンシング用途に使えます。 |
その他 | ・光通信 ・可変焦点レンズ ・分光器 メタレンズの特性を活かした様々な光学デバイスへの応用が期待されています。 |
フォトニクス分野における世界トップクラスのプロバイダーが手掛ける光解析ソフトウェアやフォトニクス・ファウンダリサービスを提供してきた合同会社LightBridge。同社はメタレンズの設計に有用なソフトウェア「Ansys Lumerical」と「Ansys Zemax」を取り扱っております。
Lumerical解析ツールは、光学シミュレーション、デバイス設計、電磁界シミュレーション、ナノフォトニックシミュレーション、プラズモニクス、光集積回路シミュレーションなど、多岐にわたる分野で利用されています。
FDTD | ナノフォトニックデバイス、プロセス、材料のモデリング(FDTD, RCWA,STACK) |
Accelerator | HPC上でシームレスに動作するハイパフォーマンスFDTDエンジン |
MODE | 導波路、ファイバー、カップラーの設計(FDE, EME,varFDTD) |
Multiphysics | 光学的、電気的、熱的効果をモデリングするためのマルチフィジクスシミュレーション(CHARGE, DGTD,FEEM, HEAT,MQW) |
INTERCONNECT | マルチモード、双方向、マルチチャネルのPICを検証するフォトニック集積回路シミュレーター |
CML Compiler | コンパクトモデルの作成、管理、INTERCONNECTのQAテストの自動化 |
Zemaxは、光学システムの設計、解析、最適化を実現する高度な光学設計ソフトウェアです。使いやすいインターフェースを備え、CADツールとの統合が可能で、構造・熱解析などの高度なシミュレーションをサポートします。
OpticStudio | 光学系、照明系、レーザー系の設定、解析、最適化、公差解析、ならびにシステム全体のカスタマイズ |
OpticStudio STARModule | 構造・熱・光学性能を含むことを可能にしたOpticStudioの機能拡張 |
OpticsBuilder | OpticStudioの光学設計をCADに変換します。光学性能に与えるパッケージングの影響の分析や、製造工程に渡す光学図面の出力が行えます |
メタレンズの設計プロセスは、サブ波長構造を持つ「ユニットセル」や「メタ原子」を慎重に配置することで進行します。これらのユニットセルの形状を調整することで、平面波に対する要素上の位相を変えることができます。幾何学的なパラメータと位相の関係を求めた後、適切な位置に適切なユニットセルを配置することで、任意の位相プロファイルを持つメタレンズを作成できます。
最初のステップは、メタレンズのターゲットとなる位相プロファイルを定義することです。一般的なレンズタイプ(例:球面レンズや円柱レンズ)については、既知の解析解を使用することができます。
より複雑なシステムについては、OpticStudioの光線追跡および最適化機能を用いて理想的な位相マスクを設計することが可能です。
この段階では、ナノロッドの高さと半径を変化させ、透過率、位相、近視野像を取得します。所望の透過率と位相特性を与える最適な高さを選び、位相対半径のデータを保存します。
RCWAソルバーはユニットセルシミュレーションの推奨ツールです。FDTDとの比較により検証を行います。
ステップ2で作成した位相対半径のライブラリを使用して、メタレンズ全体の設計と解析を行います。
ターゲットの位相プロファイルと前のステップで得られた位相対半径のデータを基に、FDTDでメタレンズ全体を構築してシミュレーションを行います。大きなメタレンズの場合、メモリとシミュレーション時間の点で問題が発生することがあります。
シミュレーション結果の近視野は、遠視野解析に使用したり、Ansys OpticStudioでさらに伝搬させるために.ZBFファイルとしてエクスポートできます。
近視野ライブラリを用いたスクリプトで、メタレンズ全体の近視野/遠視野を再構築します。フルレンズの時間のかかるシミュレーションを避けることができ、効率的に設計が行えるようになります。
このアプローチは、より大きなメタレンズにも適用できます。
メタレンズの近視野を.ZBFファイルとしてエクスポートした後、OpticStudioのPOP(物理光学伝搬)ツールを使用してシステム全体をビーム伝搬させます。POPを使用することで、各表面での位相と放射照度のプロファイルを解析し、システム性能を評価できます。必要に応じて、伝搬結果に基づいて光学セットアップを再最適化することが可能です。
最後に、理想的なビームとターゲット位相マスクを伝搬させた結果を比較して、実際のビームを検証します。
メタレンズの物理的な形状やメタ要素の位置が設計されたら、そのパターン製作のためにGDSフォーマットにエクスポートします。多くの要素が含まれるため、GDSエクスポートには時間がかかることがあります。
polystencilコマンドの使用は高速で汎用性の高いGDSエクスポート方法として有効です。多数のメタ要素で構成される大型メタレンズにも対応します。
合同会社LightBridgeは、光技術に特化した会社です。なかでも、光通信、光センシング、光計測、光制御、医療分野などに専門的な知識と技術を持っています。
当社はフォトニクス分野における世界トップクラスのプロバイダが手掛ける光解析ソフトウェア/フォトニクス・ファウンダリサービスを提供しています。特に、シミュレーションソフトは高度な光学シミュレーションが必要な産業や研究分野で高い評価を受けています。また、2022年から開始したフォトニクス・ファウンダリサービスは、業界最高水準のテクノロジーと専門知識を提供する海外のファウンダリ企業と提携し、光集積回路のプロトタイプ作製、および小規模製造をサポートしています。このサービスは、コストパフォーマンスも高く、光技術を取り入れた製品を開発する企業や研究機関にとって、非常に価値のあるものです。
光技術の専門家集団である合同会社LightBridgeは、独自の技術力とノウハウを持っており、お客様のニーズに合わせた最適なソリューションを提供することができます。光技術やフォトニクス分野でのソリューションをお探しの方には、合同会社LightBridgeが魅力的な選択肢であることは間違いありません。
出展団体名 | 合同会社LightBridge |
所在地 | 〒164-0001 東京都 東京都中野区中野4-10-2 中野セントラルパークサウス2F エキスパートオフィス中野CP 101号室 |
設立年月 | 2015年04月 |
URL | https://www.lightbridge.co.jp/ja/ |