プラスチック金型とは、プラスチック製品を作る際に使用する金属製の型です。歯ブラシや食器など、わたしたちの身近なプラスチック商品も、この型を使用して作られているものが数多くあります。
ここでは、プラスチック金型の種類、メリット・デメリットなどを詳しくご紹介します。
プラスチック金型は、プラスチック製品の製造に欠かせないものです。生産性が高く、プラスチック金型を使用した加工法は、日本だけでなく、世界中で広く用いられています。
金型によって、成形品の出来が8割決まると言われることもあるほど、プラスチック製品の製造において、非常に重要や役割を果たしています。
ここでは、射出成形用のものを例に、その構造をご紹介します。
射出成形用のプラスチック金型は、コアと呼ばれる凸型と、キャビティーと呼ばれる凹型から構成されます。互いの接触面を合わせることでできた空洞内に材料を注入します。
プラスチック金型には、一般的にスチール(鋼)が使用されています。スチールは熱が伝わりやすく、弾性が高いという特徴があります。
スチールにも多くの種類がありますが、プラスチック金型には、プレハードン鋼や焼入れ焼戻し鋼が、特に多いです。
プラスチック金型の法定耐用年数は、2年と定められています。ただし、耐用年数と寿命は異なり、製品を製造した回数によって、寿命は変わってきます。
メンテナンスによって金型の寿命は伸ばせますが、成形品の寸法に狂いが出てきた場合は、新しいものに替えが必要です。
ここでは、プラスチック金型を使用することで得られる、4つのメリットをご紹介します。
プラスチック金型を使用すれば、製品の大量生産が可能です。ただし、少量生産の場合は、金型のコストが高くつくため不向きです。
プラスチック製品の製造方法としては、直接プラスチックを削って製造する方法、シリコンの型を使用して製造する方法などがあります。
ただし、これらの方法は、完成品の精度にばらつきが生じやすいため、高精度の製品を製作するためには、プラスチック金型を使用すると良いでしょう。
金型は、削ったり肉盛りをしたりすることが可能です。そのため、設計の変更があった場合でも、ゼロから型を作り直さずに済むというメリットがあります。
プラスチックの成形時、バリと呼ばれる設計にない突起が発生すると、寸法に狂いが生じたりケガにつながったりするため、バリ取りを行う必要があります。
プラスチック金型を使用することで、バリの発生が少なくなり、後の加工の負担も少なくなるというメリットがあります。
プラスチック金型の使用には、デメリットも存在します。メリット・デメリットの両方を踏まえた上で、金型の製作を検討すると良いでしょう。
プラスチック金型の製作には、安価なものであっても数十万円、高価なものであれば、数千万円もの費用がかかります。
また、金型の保管やメンテナンスにも、別途料金がかかります。
製品の生産数や生産期間、予算などを考慮し、プラスチック金型を製作するかどうかを決めると良いでしょう。
金型の構造やメーカーによって異なりますが、金型の作成には、一か月以上の期間が必要となる場合がほとんどです。そのため、余裕を持った発注をしなくてはいけません。
小型の金型を扱うメーカーは多いものの、中型・大型のものを扱うメーカーは限られるため、注意が必要です。
プラスチック製品を製造する際、よく使用されている成形方法が射出成形です。
このほか、ブロー成形、真空・圧空成形など、さまざまな成型方法があります。
射出成形は、複雑な形にも対応可能で、大量生産ができるというメリットがあります。
射出成形金型は、「コールドランナー金型」「ホットランナー金型」の二種類に分けられます。
ランナーとは、プラスチックを流すための道のことです。コールドランナー金型は、このランナーを冷やし、成形した製品と一緒に取り出す設計です。
ホットランナー金型は、ランナーレス金型とも呼ばれています。ランナーを熱してプラスチックが溶けた状態を保つことで、ランナーを取り出さずに成形ができる設計です。
一回ごとにランナーを取り出す必要がないため、ゴミとなるランナーが発生せず、経費の削減にもなるというメリットがあります。
まず、金型を閉じ、溶かしたプラスチックを流し込みます。次に、冷却または加熱をして成形を行います。最後に、金型を開いて成形品を取り出します。
プラスチック金型を使用することにより、高精度の製品を大量生産できる、成形品の加工が少なく済むなどのメリットが生じます。
ただし、高価格で作成に時間がかかるというデメリットもあるため、生産数や生産期間、予算などを考慮し、適切な製造方法を選択すると良いでしょう。