ウエハー洗浄に欠かせない薬液や純水を高精度に計測
半導体製造のウェットプロセスでは、多種多様なタイプの薬液や純水が使われます。そのため、高い精度で流量をコントロールでき、且つ流す液体の特性に影響を及ぼさない材質で作られた流量計が不可欠です。本記事では、コフロックが開発・製造している高精度の流量計を詳しく解説します。
半導体製造で使用する流量計に求められる条件は主に3つあります。
半導体製造は、成膜加工や回路パターン形成など400〜600ほどの工程があります。ウエハー洗浄は有機物や汚染物質、パーティクルの除去、酸化の防止に必要な工程で、品質維持を担う重要なプロセスです。
ウエハー洗浄に用いられる薬液の供給・管理が製品の品質に直結するため、半導体製造で使われる流量計は高精度の計測・管理機能や高いクリーン度を保つ構造が必要です。
また、特殊な薬液を使用する工程もあるため、耐薬液性のある流量計が求められます。
コフロックの温度補正付カルマン渦流量計 FML-300シリーズは、カルマン渦の周波数を利用して流量を計測するカルマン渦流量計に、温度センサを内蔵した流量計です。
流体の温度が変わると粘度も変化し、カルマン渦の周波数も変化します。そのため、一般的なカルマン渦流量計の計測では液温変化時に精度に誤差が生じます。
一方、コフロックが開発した温度補正付カルマン渦流量計は、温度センサを内蔵することで持続的に温度を監視、さらに流体の温度の変化に合わせて流量を補正します。そのため、カルマン渦が生じる流体であれば、常に高い精度で計測できます。例えば、洗浄槽を使うバッチ式洗浄でも使用可能です。
FML-300シリーズの接液部は、半導体製造ライン等での使用実績が多いNew PFAで構成されています。New PFAは、優れた耐熱性/耐薬品性/耐候性を有するフッ素樹脂の素材です。一般的なPFAと比較して有機物質やフッ素イオン、金属イオンなど不純物の流出が少ないのも特徴です。また、オーリングレス設計となっています。
FML-300シリーズは、可動部を必要としない構造です。流量センサや温度センサは渦発生体とともに本体部分に内蔵されています。そのため、可動部がある構造の流量計に比べて、発塵リスクを軽減させ、摩擦や摩耗による故障のリスクを低減できます。
一般的なカルマン渦流量計に温度センサを接続して流体の温度を測る方法もありますが、温度センサに対して薬液耐性を持たせる対策などが必要になるため、追加でコストがかかります。
一方、コフロックの温度補正付カルマン渦流量計は、接液部にはNew PFAを使用しており、耐薬液性を担保しつつ、一つの計測器で流量も温度も計測可能です。そのため、省スペース化とコスト削減を実現できます。
超音波を利用して流量を計測する超音波流量計 FML-500は、耐薬液性に優れたNew PFAを使用した流量計です。また、管内に障害物がないストレート構造を採用しています。
サイズ | 本体+チューブ W230mm × H90mm × D35mm (本体W80mm) |
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最大流量(液体) | 液体 200mL/min~5L/min |
精度 | ±2〜3%F.S. |
水中を進む超音波は流れと同じ方向であれば早く、逆方向であれば遅く到達する特性があります。超音波流量計は、この特性を利用し、上流側と下流側に設置された2つの送受信機間における超音波の伝播時間差を計測することで流量を測定します。
超音波を用いることで、流体に非接触での計測が可能となり、数cc/min・数百cc/minといった、カルマン渦が発生しないような低流量の流体も高精度で計測できます。
コフロックの超音波流量計の流路はストレート形状で設計されており、滞留部がありません。
また、障害物や可動部がないことから発塵を抑えられるため、半導体製造工程においてもクリーン度を維持できます。
New PFAは一般的なPFAと比較して、有機物質やフッ素イオン、金属イオンなど不純物の流出が少ない素材です。さらに耐薬液性や電気絶縁性、非粘着性、低摩擦性といった特性も有しています。
コフロックの超音波流量計は、接液部にNew PFAを採用することで、高いクリーン度を維持しています。
コフロックは創業75年を超える「流体を科学する」メーカーとして、高品質で高付加価値のある製品を世界に送り続けている企業です。
国内にある2つの工場と6つの拠点から、流量制御・流量計測機器、ガス発生装置、エンジニアリング装置などを製造・販売しています。
また、高度な技術を使った機械設計やシステム開発だけでなく、お客様に寄り添ったサービスも提供しています。