EVバッテリー生産工程における安全性確保のためのエアリークテスターの活用
EVバッテリー製造各工程に応じた試験方式の使い分けによる安全性確保
課題
EVバッテリーは漏れによる安全リスクが大きく、生産工程ごとに異なる試験方式が要求されます。
解決策
工程に応じて電気式・差圧式・トレーサーガス・DNCを使い分けるラインナップを提供します。
期待効果
各工程に最適化された検査品質と、ノイズ環境下での安定した検出が見込まれます。
EVバッテリー生産工程のリーク試験
ATEQのエアリークテスターは、電気自動車(EV)およびハイブリッド車(HEV)のバッテリーをはじめとする部品の気密性・流量を、生産工程の各段階で保証する用途で活用されます。バッテリーセルのリーク試験ではセルパウチに対するイオン化リーク試験から始まり、最終的にはバッテリートレイ全体への圧力リーク試験で完結する、というように、工程の進行に応じて試験方式を組み合わせる構成が特徴です。
検査対象は、バッテリー関連(パウチ/セル、ハウジング、冷却回路、モジュール、プラグ/ソケット、パック、ライン終端の最終検査)に加え、燃料電池(バイポーラプレート/燃料電池スタック/膜電極/組立)、電動モーター(コイル絶縁/オイル・水回路/インバーター)、水素タンク、車載電子部品(カメラ/コネクタ/センサー/配線/ライダー)、TPMS、バッテリー充放電・解析・バランシングなど、Eモビリティに関わる広範な部品をカバーします。
EVバッテリー製造における課題
EVバッテリーの製造では、バッテリーパックの漏れが性能・寿命の低下にとどまらず、電解液漏れに起因する熱暴走や火災といった安全リスクに直結するため、各構成部位に対してリーク試験が要求されます。Eモビリティ車両の生産工程では、セル・モジュール・パックの組立段階に加え、燃料電池、電動モーター、水素タンク、電子部品まで、部位ごとに異なる試験要求が存在します。
工程ごとに異なる検査要求
バッテリーの生産は、セル接続から始まり、モジュール化、パック組立を経て車両搭載に至ります。電解液充填済セルではイオン化方式、組立後のモジュール・パックでは差圧式、冷却回路ではフロー、というように、段階ごとに最適な試験方式が異なります。
工場環境のノイズによる検出感度阻害
工場の生産環境には、温度変動・圧力変動・振動など、リークテスト時の圧力読み取りに影響する外乱要因が多数存在します。これらの要因は圧力読み取りに影響し、誤判定の原因となります。
ATEQのエアリークテスターによる解決
工程別に最適化された製品ラインナップ
EVバッテリーの各生産段階に対して、ATEQは試験方式の異なる複数の機種を組み合わせて活用する構成を提供しています。電解液充填済みセルの絶縁検査にはB28(電気テスター)、漏れ位置の手作業特定にはIONIQテスター、モジュール・パック・ライン終端の気密試験には差圧式のF620、大容量バッテリーパックやハウジングの試験には大容量ワーク対応モデルのF620LV/F670LV、冷却回路など流量で評価する系統にはフローテスター、車体・カバー側のリーク箇所特定にはトレーサーガス機器H6000、というように、検査対象と工程に応じた選定が可能です。
電気式によるセル絶縁検査
ATEQが独自に開発したB28による試験方式では、バッテリーセル周辺の空気に対し、低イオン化電圧で酸素分子をイオン化させます。セルが正しく絶縁されていれば計測器は100%の読み値を示し、絶縁部に漏れがあればイオン化された酸素分子が穴を通って内部のセルに導通し、引火させることなく0%の絶縁率が表示されるため、その時点で機械または作業者が不良品を排除できます。
B28は生産ラインに組み込んで高速な合否判定が可能で、不合格となったセルはリワーク工程に回し、IONIQテスターのワンド(プローブ)でセル上の漏れ箇所をピンポイントに特定できます。
差圧式による組立段階の気密検査
セルがイオン化リーク試験を通過すると、複数セルを組み合わせてモジュール、さらにパック、そしてトレイへと組み上げる工程に進みます。これら組立段階のリーク試験では、F620などの差圧式エアリークテスターを用い、ワーク開口部を封じて圧縮空気を注入し、所定時間後の圧力変動を測定することで気密性を判定します。
差圧式はマスターワークを使って測定するため、周囲圧や温度変動の影響をテストワーク・マスターワークの双方で同時に受けることで相殺でき、テストワーク側の漏れのみを圧力センサーの応答として捉えられる方式です。F620の測定精度は±(測定値×1%+1Pa)、フルスケールは標準で±500Paを実現しています。
DNC機能によるノイズ環境対応
ノイジーな工場環境でリーク試験を行う場面に対し、ATEQ独自のDNC(差圧ノイズキャンセリング)機能を活用できます。DNC機能はリークテスト時の外乱要因(温度変動・圧力変動・振動)による影響を解析し、背景ノイズを排除することで、検出システムの感度と信頼性を高めます。
大容量ワーク対応の差圧式モデル
EVバッテリーパックのような変形しやすく容量の大きいワークに対しては、F620LV(大容量ワーク対応モデル、最大200L)とF670LVが用意されています。F620LVはATEQが独自開発した高感度圧力センサを搭載し、F670LVは大容量ワーク対応の差圧式リークテスターで、いずれもATEQ独自のDNC機能と組み合わせることで0.1Pa/sec以下の圧力降下(1秒間に1/100mm水柱に相当する変動)を検出できます。これにより、容量が大きく、工場ノイズの影響を受けやすいEVバッテリーカバーの検査に対応します。
冷却・燃料電池・電子部品への対応
バッテリー単体だけでなく、冷却回路はフローテスターによる流量検査、燃料電池(バイポーラプレート、燃料電池スタック)はF620とH6000(トレーサーガス機器)の組合せ、車載電子部品(センサー・カメラ・コネクタ等)の防水試験はF620やF670によるエア漏れ試験、というように、Eモビリティ車両を構成する周辺系統にも対応する製品ラインナップが揃っています。
ATEQのエアリークテスター活用による期待効果
ATEQのエアリークテスターをEVバッテリーの生産工程に活用することで、以下の効果が期待できます。
工程ごとに最適化された検査品質の確保
電解液充填済セル段階での電気式イオン化検査、モジュール・パック段階での差圧式検査、冷却回路でのフロー検査、車体・カバー側でのトレーサーガス検査というように、各工程の検査対象特性に応じた試験方式を選択することで、量産工程全体にわたる気密保証と漏れ箇所特定が見込まれます。
ノイズ環境下での試験安定化
ATEQ独自のDNC機能により工場環境の温度変動・圧力変動・振動などの外乱要因を排除することで、微小リーク領域における誤判定の低減と検査再現性の向上が期待できます。
大容量バッテリーパックの高精度試験対応
F620LV/F670LV(いずれもATEQ独自のDNC機能と組み合わせ)により、変形しやすく容量の大きいバッテリーハウジング・パックに対しても、0.1Pa/sec以下の圧力降下を検出できる試験環境を構築できる見込みです。
関連製品・サービス
ATEQ エアリークテスター | 世界トップシェアメーカー
ATEQのエアリークテスターは、多機能で卓越した測定精度を備え、世界中のさまざまな課題に対応できる製品です。自動車、医療、電子機器、航空機など、多岐にわたる分野で高精度なエアリーク(空気漏れ)検出を実現しています。
ATEQは世界トップシェアを持つエアリークテスターのメーカーとして、グローバルな市場で高い評価を受けています。その技術力と信頼性により、世界各国の多くの企業に選ばれ、品質管理の向上に貢献しています。