燃料電池車・水素インフラにおける気密性確保のためのエアリークテスターの活用
水素経路全体を網羅するリーク試験ソリューションによる安全性の確保
課題
水素は可燃性・無臭・軽量のため、経路全体での気密性確保が安全性と規制適合の前提となります。
解決策
差圧式と水素トレーサーガスを使い分け、水素経路の各部品と完成車両に対応します。
期待効果
水素経路全体での試験品質を担保し、安全性確保とコスト効率化が期待できます。
燃料電池車・水素インフラのリーク試験
「燃料電池車・水素インフラのリーク試験」では、水素を用いる車両・設備の各構成要素について漏れの有無を確認します。対象は車載タンクや燃料配管、燃料電池スタック、ガスケット・継手といった水素経路の各部品から、補給ステーションのノズル・配管・調圧機器、さらに完成車両までと多岐にわたります。
これらの部品・システムでは、それぞれの工程に応じた試験方式が用いられます。バイポーラプレートや燃料電池スタックは差圧式による高精度な気密検査が中心となり、水素タンクや車両最終組立段階では水素そのものをトレーサーガスとして用いるリーク箇所特定の手法が併用されます。生産工程の各段階で適切な手法を選択することで、水素経路全体の品質を担保します。

水素システム設計における課題
水素は燃料電池車(FCV)や燃料電池トラック、産業用途、定置型電力など複数の領域での活用が想定される燃料です。水素経路は生成・輸送・補給・利用までを含み、自動車・エネルギー業界の横断的なテーマとなっています。各工程で気密性の確保とリーク検出の標準化が、業界に共通する課題となっています。
水素特性に起因する安全リスク
水素は可燃性が高く、漏洩は火災や爆発のリスクを直接招きます。無臭・無色のため漏れの目視確認が困難で、軽量で素早く拡散する特性も検出を難しくします。このため水素関連のあらゆる工程で、漏れの有無を装置で確認する厳格な試験手順が前提となります。
水素経路全体での網羅的試験要求
水素システムは、車載タンク・燃料配管・燃料電池スタック・補給インフラなど多数の要素が連なる経路全体で気密性を確保する必要があります。一カ所の漏れも全体の安全性を損なうため、部品単位の試験に加え、車両最終組立後の試験までが求められます。
規制適合と試験手法確立の負荷
多くの地域で水素燃料電池車の安全規制と基準が整備され、メーカーは部品単位・車両単位の試験結果で適合性を示す必要があります。電動車両のリーク試験ノウハウが蓄積される一方、水素は工程と部品形状に応じた試験手法の確立が業界課題となっています。
ATEQのエアリークテスターによる解決
水素リーク検出技術での実績と製品レンジ
ATEQはエアリークテスター分野で長年にわたる開発・供給の実績を持ち、水素リーク検出技術においても先駆的な取り組みを行ってきました。差圧式リークテスター(F620)と水素トレーサーガス検出器(H520・H6000)を組み合わせ、バイポーラプレート、燃料電池スタック、水素タンク、車両最終組立に至る水素経路の各工程に対応する製品レンジを提供しています。
水素経路における主な検査対象(例)
- 燃料電池スタック・バイポーラプレート・膜電極接合体(MEA)
- 車載水素タンク(バルブ・調圧器類)
- 燃料配管・継手・ガスケット
- 補給ステーションのノズル・配管・調圧機器
- 完成車両(最終組立後の試験)
差圧式F620による高精度な気密検査
F620は差圧式の方式を採用したエアリークテスターで、リファレンスボリューム(基準容量)を用いて被試験品との圧力差を測定します。両者で同時に発生する周囲圧や温度の変動が打ち消されるため、被試験品で生じたリークだけが圧力変化として検出されます。テスト圧の高さに測定精度が左右されない方式であり、バイポーラプレートや燃料電池スタックの気密検査、車両最終組立後の試験で活用できます。
燃料電池スタックでは、バイポーラプレートが膜電極接合体(MEA)の全面に水素と酸素を均一に行き渡らせ、セル内の水分管理も担う多機能な部品です。スタックでは酸素(O2)・水素(H2)・冷却水の3つの回路すべてで気密性を担保する必要があり、ATEQはこれら各回路のリーク試験に対応してきた知見を有します。
水素トレーサーガスによるリーク検出
水素タンクや車両最終組立段階では、水素そのものをトレーサーガスとして用いるリーク検出器(H520・H6000)が活用できます。水素はヘリウムと比較して安価で、揮発性が高く、無毒で人体・環境への影響がない特性を持ち、検査用ガスとしての扱いやすさにつながります。
H520はグラム/年(gr/year)やppm単位でのリーク量検出に対応するコスト効率の高い検出器です。H6000はポータブル機として、検査現場での漏れ箇所特定に用いられます。差圧式リークテスターと組み合わせることで、量産試験と現場での詳細検査の両方をカバーできます。
ATEQのエアリークテスター活用による期待効果
ATEQのエアリークテスターを活用することで、以下の効果が期待できます。
水素経路全体での試験工程の標準化
バイポーラプレートから燃料電池スタック、水素タンク、車両最終組立まで、水素経路の各工程に対応する製品を組み合わせて運用できます。試験方式・装置の選定が単一サプライヤーで完結することで、調達・保守・教育の負担軽減と、試験条件・記録形式の統一が見込めます。
高精度検査による規制適合性の担保
F620の差圧式は、周囲圧・温度変動の影響を抑え、テスト圧によらず安定した感度で測定できる方式です。バイポーラプレートや燃料電池スタックの気密検査、車両最終組立後の試験で活用することで、安全規制で求められる気密性能を製造工程で実証することにつながります。
水素ガス検査の運用効率と安全性
H520・H6000では、リーク検出のトレーサーガスとして水素そのものを使用します。ヘリウムを用いる検出器と比べて運用コストを抑えやすく、無毒・無害で環境影響もないため、検査現場や量産ラインでの安全運用が見込めます。
関連製品・サービス
ATEQ エアリークテスター | 世界トップシェアメーカー
ATEQのエアリークテスターは、多機能で卓越した測定精度を備え、世界中のさまざまな課題に対応できる製品です。自動車、医療、電子機器、航空機など、多岐にわたる分野で高精度なエアリーク(空気漏れ)検出を実現しています。
ATEQは世界トップシェアを持つエアリークテスターのメーカーとして、グローバルな市場で高い評価を受けています。その技術力と信頼性により、世界各国の多くの企業に選ばれ、品質管理の向上に貢献しています。