セラミックスなど先端材料の造粒と複合化を支えるミニスプレードライヤー
目的の機能に応じた先端材料の粒子設計を、造粒と複合化で実現
課題
微細な一次粒子はそのままでは流動性や成形性に難があり、目的の粉体への造粒が求められます。
解決策
スプレードライによる造粒と複合化で、流動性の良い球状顆粒や複合微粒子を作製します。
期待効果
目的の機能に応じた粒子設計と、再現性の高い効率的な試作研究の実現が期待できます。
セラミックスなど先端材料の粒子設計
セラミックスや電池材料をはじめとする先端材料の研究開発では、電子部品用の中間材料など、目的の機能を持たせた微粒子を設計する場面が数多くあります。スプレードライ(噴霧乾燥)は、液体材料を霧状に噴霧して瞬時に乾燥させ、乾燥と粉末化を1ステップで行う手法です。一次粒子を球状の顆粒に造粒したり、母材となる材料に別の材料を複合させた微粒子を作製したりと、単なる乾燥にとどまらない粒子設計に活用されています。
こうした材料開発では、どの材料をどの配合で組み合わせ、どのような乾燥条件で処理すれば目的の粉体が得られるかを、少量の材料で多くの条件を試しながら見極める試行錯誤が欠かせません。ラボスケールのミニスプレードライヤー S-300は、この基礎研究から試作までの粒子設計を対象とした装置です。
アプリケーション例
- タンタル酸リチウム(LiTaO3): 電子セラミックスパウダー(BaTiO3/LiNbO3/PLZT/ZnO)
- アルミナ: ゾル・ゲル経由のセラミックスパウダー
- ナノアルミナ(Al2O3): プラズマスプレーコーティング用のナノ粒子懸濁液
- カーボンナノチューブ: ゴム複合材料(スチレンブタジエンゴム)への均一分散
- 中空ガラススフィア: 水素貯蔵/燃料電池/光拡散剤
- メソポーラスシリカ: 触媒/分離/センサー技術向け材料
- 超電導セラミックス: 高温超電導セラミックスの研究
- 電池用複合材料: グラフェン系複合材料などのリチウム電池向け材料
先端材料開発における課題
微粒子の流動性とハンドリング
微細な一次粒子は流動性が劣り、そのままでは成形やハンドリングが難しいことが知られています。先端材料の製造では、微粒子を適度に凝集させて球状の顆粒に造粒し、流動性とハンドリング性を高める工程が求められます。
複合微粒子の均一な作製
電池材料や電子部品用の中間材料などでは、目的の機能を持たせるために複数の材料を組み合わせた複合微粒子が必要になります。単に混ぜ合わせるだけでなく、母材と別材料を均一に複合させた状態で微粒子化することが課題となります。
少量・多条件の試作研究
研究開発の段階では、材料の配合や乾燥条件を変えながら最適点を探る試行錯誤が欠かせません。少量の材料で多くの条件を検討したい場面が多く、大型の装置で行うと1回ごとの作業負荷が大きくなります。
ミニスプレードライヤー S-300による解決

造粒と複合化による粒子設計
スプレードライは、一次微粒子を分散させたスラリー(懸濁液)に結合剤や分散剤を配合し、霧状に噴霧して瞬時に乾燥させる手法です。液滴が乾燥する過程で微粒子が適度に凝集し、流動性の良い球状の顆粒が得られます。
さらに、母材となる材料に別の材料を組み合わせたスラリーを噴霧乾燥することで、複数の材料が均一に複合した微粒子を1ステップで作製できます。母体原料を別材料で包括した複合原料粒子を構築できるため、電池材料や電子材料など、目的の機能を持つ粉体の設計に活用されています。
少量・多条件に適したラボスケール設計
ミニスプレードライヤー S-300は、実験台にも設置できるコンパクトな設計のラボスケール装置です。少量の材料でも処理しやすく、基礎研究から試作までの粒子設計に適しています。
主要部品はレバー操作やネジの緩め締めだけで、工具を使わずに一人でも素早く着脱できる構造になっています。運転ごとに必要な分解と洗浄の手間が抑えられるため、材料や条件を変えながら繰り返し運転する多品種・多条件の試作研究を効率よく進められます。
安定した微粒子回収を支える機構
噴霧に用いるノズルの噴射孔は、研究段階でさまざまな材料を試す際に目詰まりを起こすことがあります。S-300には可動式のクリーニングニードルが標準で備わり、手動または一定間隔の自動運転で目詰まりを除去するため、運転を止めずに処理を続けられます。
また、乾燥した粉末を集めるサイクロンには、静電気によるサンプルの付着を抑える特殊コーティングが施されています。これにより、少量の試料からでも効率良く粉体を捕集できます。
運転記録と再現性・スケールアップ
S-300は、温度・送風・送液などの運転パラメータの推移をグラフとして表示し、レポート形式のPDFやCSVファイルとして記録・出力できます。運転条件を1つのメソッドとして保存し、読み出して再設定することも可能です。
これらの機能により、実験条件の管理や記録が容易になり、再現性の向上とスケールアップの検討に役立ちます。また、従来モデル(B-290)で得られた研究データを再現できるよう設計されており、これまでの研究成果を活かしながら新しい装置へ移行できます。
S-300活用による期待効果
目的の機能に応じた粒子設計
造粒と複合化を使い分けることで、球形や多孔質、高純度、複数材料の組み合わせなど、目的の機能に応じた粉体を設計できます。電池材料や電子材料、セラミックスなど、粒子の形態や組成が最終製品の性能を左右する用途で、材料開発の幅を広げることが期待できます。
試作研究の効率化
少量の材料で多くの条件を試せるラボスケール設計と、工具不要の分解洗浄やノズルの目詰まり対策により、繰り返しの試作研究を効率よく進められます。材料コストと作業時間を抑えながら最適条件を見極められるため、研究開発のコスト削減につながることが見込まれます。
再現性の向上と研究成果の継承
運転条件の記録と各設定値を維持する制御により、実験ごとのばらつきを抑えた再現性の高いスプレードライが期待できます。取得したデータはスケールアップの検討にも役立ち、従来モデルの研究成果を活かしながら装置を移行できるため、研究の継続性を保てます。
関連製品・サービス
ミニスプレードライヤー S-300
ミニスプレードライヤー S-300は、ビュッヒ社が開発した次世代のラボスケールのスプレードライヤーです。
主な特徴として、乾燥用の熱風量を一定に保つ調整機構や、ポンプ送液量を簡単に校正できる機構が備わっています。
また、出口温度と最終製品温度の両方を監視し、熱に敏感な試料を保護することが可能です。
化学分野や先端材料の研究開発、特に電極用材料の研究開発で活用されており、ラボスケールのカテゴリーでは唯一無二のスプレードライシステムとして位置づけられています。