ドラッグデリバリーや生体材料の微粒子設計を支えるミニスプレードライヤー
薬物の放出制御や生体利用効率の向上に貢献する、医薬・生体材料の微粒子設計
課題
難溶性薬物の吸収改善や活性物質の放出制御に適した微粒子の設計が求められます。
解決策
スプレードライの非晶質化やカプセル化で、放出制御や吸収性を高めた微粒子を作製します。
期待効果
放出制御や吸収性を高めた微粒子設計により、薬物の生体利用効率の向上が期待できます。
医薬・生体材料における微粒子設計
創薬や製剤、医療材料の研究開発では、薬物や生体材料を目的の機能を持った微粒子へと設計する場面が数多くあります。たとえば、薬物の放出速度を制御するためのキャリア粒子、肺の奥まで届く吸入製剤用の低密度な微粒子、骨充填材などの生体材料の球状粉末などが挙げられます。
スプレードライ(噴霧乾燥)は、液体材料を霧状に噴霧して瞬時に乾燥させ、乾燥と粉末化を1ステップで行う手法です。噴霧する液の組成や乾燥条件によって、粒子の大きさや形状、空隙率、組成を調整できるため、単なる乾燥にとどまらず、目的の放出制御性や生体利用効率を備えた微粒子の設計に活用されています。ラボスケールのミニスプレードライヤー S-300は、こうした少量・多条件での試作研究を対象とした装置です。
アプリケーション例
- シリカゲル(SiO2)微粒子:非経口ドラッグデリバリー制御用のキャリア材料
- 中空ナノ粒子凝集体:吸入ドラッグデリバリーのキャリア(肺へ)
- ヒドロキシアパタイト(HAP):タンパク質・骨充填材の制御放出キャリア
医薬・生体材料開発における課題
難溶性薬物の吸収性
医薬品開発では、水に溶けにくい難溶性の薬物が数多く扱われ、体内での吸収性が課題となることが知られています。有効成分を効率よく体内に届けるためには、溶解性を高めて生体利用効率を改善する製剤設計が求められます。
活性物質の放出制御と保護
薬剤やタンパク質、ペプチドなどの活性物質は、必要なタイミングと部位で作用させるための放出制御が重要になります。また、これらの活性物質は熱や環境の影響を受けやすく、機能を損なわずに保護しながら製剤化することが課題となります。
投与形態に応じた微粒子設計
投与形態によって、粒子に求められる性質は大きく異なります。たとえば吸入製剤では肺の奥まで届く低密度の微粒子が、骨充填材などの生体材料では所定の多孔性を備えた球状の粉末が必要とされ、用途に応じた微粒子設計が求められます。
ミニスプレードライヤー S-300による解決

カプセル化と非晶質化による微粒子設計
スプレードライは、液体材料を霧状に噴霧して瞬時に乾燥させ、微粒子を得る手法です。噴霧する液に賦形剤やポリマーを組み合わせることで、単なる乾燥にとどまらない微粒子設計が可能になります。
難溶性の薬物では、有効成分を非晶質の状態で微粒子化する非晶質化により、溶解性を高めて吸収性の改善につなげられます。また、薬剤とポリマーを溶かした液を噴霧乾燥するカプセル化では、活性物質を包み込んで保護し、放出を制御した粒子を作製できます。
熱に敏感な試料の保護と再現性
スプレードライは液滴が瞬時に乾燥するため、材料にかかる熱の負荷が比較的少ない手法です。S-300は捕集容器部の温度を計測する製品温度センサーを備え、上限温度に対するアラームを設定できるため、熱に敏感な薬剤やタンパク質を保護しながら運転条件を最適化できます。
スプレーノズルには内部に冷却用の水を通せる構造があり、原料液への熱の保護に役立ちます。加えて、補助装置の除湿装置 S-396は空気中の湿度変動を抑え、水系材料のスプレードライの再現性向上に寄与します。
有機溶媒材料に対応するシステム構成
難溶性の薬物は、水ではなくアルコールやアセトンなどの有機溶媒に溶かしてスプレードライする場合があります。有機溶媒のスプレードライには引火などの危険が伴うため、S-300は補助装置のイナートループ S-395と組み合わせて対応します。
S-395は不活性ガスを乾燥用の熱風としてS-300に循環させ、酸素濃度と圧力を常時監視するインターロック機構を備えています。溶媒蒸気は回収されるため、特別な設備のない実験室でも有機溶媒の材料を安全に扱えます。
S-300活用による期待効果
放出制御と生体利用効率の向上
非晶質化やカプセル化を使い分けることで、難溶性薬物の溶解性を高めたり、活性物質の放出を制御したりする微粒子を設計できます。有効成分を必要なタイミングと部位で作用させる製剤設計につながり、薬物の生体利用効率の向上が期待できます。
熱に敏感な材料の保護と再現性
熱負荷の少ない乾燥と製品温度の監視により、熱に敏感な薬剤やタンパク質の機能を損ないにくい微粒子化が見込まれます。さらに、湿度変動を抑える運転により、季節や環境に左右されにくい再現性の高いスプレードライが期待できます。
少量・多条件の創薬・製剤研究の効率化
創薬や製剤の研究開発では、材料の配合や乾燥条件を変えながら最適点を探る試行錯誤が欠かせません。実験台にも置けるラボスケールのS-300は、少量の材料でも多くの条件を試しやすく、有機溶媒や熱に敏感な材料にも対応できるため、創薬・製剤研究を効率よく進めることが期待できます。
関連製品・サービス
ミニスプレードライヤー S-300
ミニスプレードライヤー S-300は、ビュッヒ社が開発した次世代のラボスケールのスプレードライヤーです。
主な特徴として、乾燥用の熱風量を一定に保つ調整機構や、ポンプ送液量を簡単に校正できる機構が備わっています。
また、出口温度と最終製品温度の両方を監視し、熱に敏感な試料を保護することが可能です。
化学分野や先端材料の研究開発、特に電極用材料の研究開発で活用されており、ラボスケールのカテゴリーでは唯一無二のスプレードライシステムとして位置づけられています。