廃棄物リサイクルにおけるリチウムイオン電池検出のための画像解析アルゴリズムの活用
X線画像の明るさ分布と形状の解析による、廃棄物中のリチウムイオン電池の高精度な判別
課題
X線画像では電池もモーターなどの金属部品も同じ黒い塊に写り、透過率だけでは判別が困難です。
解決策
明るさ分布のばらつきと形状の特徴をロジック化し、電池に固有のパターンとして判別します。
期待効果
金属部品と電池を高い精度で識別し、廃棄物処理場での火災事故リスクの低減が期待できます。
X線画像によるリチウムイオン電池の判別
本ユースケースは、廃棄物処理やリサイクルの選別工程において、廃棄物に混入したリチウムイオン電池をX線画像から判別する用途です。
リチウムイオン電池は小型家電や日用品に広く使われており、使用済みの製品に残ったまま廃棄されることがあります。これらが解体や破砕の工程に入ると発火・火災の原因となるため、処理の前段階で電池の有無を確認することが重要になります。
そこで、廃棄物をX線装置で撮影し、その画像を解析してリチウムイオン電池の混入を検出します。検出した電池は危険物として分別し、安全な処理につなげます。Human Sense AI は、X線検査装置やリサイクル選別装置に組み込む形で、この判別工程を自動化します。

廃棄物リサイクルにおける課題
リチウムイオン電池は小型家電や日用品に広く使われ、廃棄物に混入したまま処理されるケースが少なくありません。全国に約1,000ある廃棄物処理施設では、リチウムイオン電池が原因とみられる火災が年間400件以上発生しており、増加傾向にあるとされます。国としても対策に予算を確保するなど社会的な課題となっており、解体や破砕の作業前に、廃棄物へリチウムイオン電池が混入していないかを判別する技術が求められています。
金属部品との判別困難
廃棄物中のリチウムイオン電池はX線画像で確認する手法が一般的ですが、電池もモーターなどの金属部品も同じように黒い塊として写るため、X線の透過率だけでは両者を判別できません。電池が含まれない廃棄物まで危険と誤判定してしまうことが課題です。
X線強度の変動
X線の出力強度は変動しやすく、一定に保つことが困難です。そのため同じ電池でも黒く写る場合と薄いグレーに写る場合があり、画像の明るさの絶対値だけでは安定した物質の特定が難しくなります。
画像解析アルゴリズム Human Sense AIによる解決
Human Sense AI は、人が目で見て脳で判断するプロセスをベースとした独自開発の画像解析アルゴリズムです。X線画像のリチウムイオン電池判別では、明るさの絶対値ではなく明るさの分布や形状の特徴に着目することで、黒い塊の中から電池を見分けます。
明るさ分布の解析
X線画像内のリチウムイオン電池が写る範囲について、明るさの絶対値ではなく明るさの分布(ヒストグラム)のばらつき度合いを解析します。リチウムイオン電池は内部が金属で覆われ、内側に別の部品を含まないため、明るさのばらつきが小さく一定のパターンを示します。
一方、モーターなどは軸や内部構造を持つため、ばらつき方が異なります。この違いを手がかりにすることで、X線の強度が変動しても安定した判別が可能になります。
構造特徴のロジック化
明るさの分布に加えて、対象の形状や大きさといった構造的な特徴をロジックとして組み込みます。リチウムイオン電池の形状は角型と円筒型に限られ、小型家電向けではサイズもおおむね決まっています。この既知の特徴に照らして候補を精査することで、形や大きさが合致しない金属部品を除外し、誤検出を抑えます。
明るさの分布と形状の両面から判定する多段の解析によって、判別の確からしさを高めています。
判定根拠の透明性
判定の過程がブラックボックスにならない設計も特徴です。候補となる領域の抽出から、明るさの分布や形状による精査、最終的な判定までの処理過程を段階的にたどることができます。なぜその対象をリチウムイオン電池と判定したのかを確認できるため、現場で納得感を持って運用でき、判定基準の調整や検証も行いやすくなります。
Human Sense AI活用による期待効果
X線画像によるリチウムイオン電池の判別に Human Sense AI を活用することで、以下の効果が期待できます。
発火事故リスクの低減
透過率の近い金属部品とリチウムイオン電池を高い精度で識別することで、廃棄物にまぎれた電池の見落としを抑えられます。解体や破砕の作業前に危険物を検出できるため、廃棄物処理場での火災事故のリスク低減につながることが期待できます。
既存装置の付加価値向上
一般的なPCで動作し、既存の撮像システムと連携できるため、リサイクル選別装置などの既存設備にソフトウェアとして組み込む形での活用が可能です。大規模な設備更新を伴わずに高精度な判別機能を付加でき、既存装置の付加価値向上につながることが見込まれます。
関連製品・サービス
Human Sense AI 独自開発の画像解析アルゴリズム
近年、画像解析技術は急速に進化していますが、従来のAIは膨大な教師データを必要とし、未知の異常に対応が難しいという課題がありました。
フォージビジョン株式会社が開発した Human Sense AI は、この課題を克服する革新的な技術です。
従来のAIとの違いや、具体的な応用事例についてご紹介します。